最大手出版社Random Houseが図書館向けeブックの価格を3倍に–それは必要悪か?

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一般書籍としては世界最大の出版社Random Houseが、図書館へのeブックの売り方を変えた。とくに大きな変更は、多くの本の価格を3倍にしたことだ。全国の図書館が、不満を表明している。

発表があったのは1か月前で、もうすぐ値上げすると言っていた。多くが大幅値上げを覚悟したが、人気のあるジャンルや書籍は一律に最大で300%の値上げとなる。25ドル未満のeブックはなくなり、よく知られている本の中には100ドルを超えてしまうものもある。

Plymouthの図書館員Kathy Petlewskiは、こう言う: “一瞬、Random Houseは図書館を敵視している、と感じたわ”。

しかし大幅値上げに対する困惑は、ある種の索漠たる感謝の気持ちで薄められる。この出版社は実は、図書館に対して協力的なのだ。ほかの大手出版社はきわめて苛酷冷酷だ: HarperCollinsのeブックは“貸し出し回数26回までだ。HachetteとMacmillanは一部の本しか図書館に提供しない。PenguinやSimon&Schusterなどそのほかの出版社は、図書館がeブックを貸し出すことを認めていない。だからRandom Houseは、ある意味では今のところ、出版社の態度の良いお手本だ。同社は発売と同時に図書館にも新刊を提供する。

(Digital Shiftに、この件に関する出版社のポリシーを説明している優れたページがある。)

本を公共的に提供するのに、こんなむちゃくちゃな額を課金するのは、たしかに醜悪だが、でも見えるのは、壁際に追い詰められている出版社の姿だ。彼らのどんな経営姿勢も、賞賛には値しないが理解には値する。それが、困難でしかも悲惨な結果になることもありえる、彼らの行動路線なのだ。

結局これらの企業が直面しているのは、本を1冊売ったらそれが同時に100人の人に貸し出されるかもしれない(実際にはそれはまだないが)、盗まれない、傷まない、簡単に複製されてしまう、等々という事態だ。eブックの貸し出し回数を制限したり、相当な高価格にするのも、やむを得ないかもしれない。彼らにとっては、新しい市場で古い流儀がまったく通用しないのは困るのだ。図書館とその利用者も、出版におけるデジタル革命がもたらす利便を、フルに享受すべきか? 彼らはそう考えていないのだが、しかしそんな彼らが正当化されるわけでもない。

しかし、テクノロジやアイデアが二者のうち一者だけを利することは、めったにない。eブックの場合なら、それによって出版社は、これまでの出版事業につきものだった間接費の多くを、無しにできる。市場を拡大し、配布を高速化できる。しかし自分だけはそのような利便を享受し、他方にはそれを認めない(古い流儀や観念を押しつける)のなら、それは実現し得ない望みだ。今彼らが固執しているのは、そのような、非現実的な望みである。

今日の一件での犠牲者は図書館だが、忘れてならないのは、出版社は毎日々々犠牲者であることだ。図書館は出版社の犠牲になり、出版社は進歩の犠牲になる。でも結局負けを認めなければならないのは、どっちのほうか?

図書館が負けるわけにはいかない。図書館は資金も乏しく利用者の少ないところが多いが、しかしそれでも図書館はきわめて重要な公共サービスだ。テク世界の一部は、図書館を時代遅れとけなすが、それは間違っている。図書館の形式は今後の数十年で大きく変わるだろうが、公共施設/公共サービスとしての図書館には数千年の歴史がある。どんなに変わっても、その必要性はなくならないだろう。でも大きな出版企業は、かなり現代の発明であり、どっちかというと、そのうち絶滅しそうだ。

[出典: The Digital Reader]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))