Windows 8にはなぜ9種類ものバージョンが?–OSビジネスにおけるAppleとの違いを考えてみよう

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吉と出るか凶と出るか知らないが、Windows 8は9種類あるらしい。Windows 7より、3つ多くなった。それは、Windows 8 Consumer Previewのレジストリを見た者からの非公式のニュースだ。その9つとは、Windows 7の6つのエディションにプラスして、Windows 8 Professional Plus、Enterprise Evaluation、そしてARMエディションだ。これで計9つ…AppleのOS Xより7つ多い。

この違いは両社の、OSの売り方に関する姿勢の違いを反映している。デスクトップコンピューティングを依然として大きく支配しているMicrosoftは、OEMのネットブックから大企業のIT環境に至るまで、実に多様な環境に対応するためのバージョンを用意する。バージョンごとの違いは、特定のアプリケーションのあるなし、ネットワーキングのサポートやセキュリティ機能の違いなどだ。これに対してAppleは、何もかも一つのバスケットに放り込んで、たった一つの消費者向けデスクトップOSを売る。それとは別にOS Xのサーババージョンがあり、それは”Server For Everyone”(万人のためのサーバ)と呼ばれる。

違いは価格にも現れる。OS Xは29ドル99セント、Serverはわずかに49ドル99セントだ。Windows 7のStarterとBasicは非売品だが、インターネット上で100ドル弱で売られている。一般消費者向けのWindows 7 Home Premium、Professional、そしてUltimateは、Microsoft Storeの価格でそれぞれ、199ドル、299ドル、319ドルだ(アップグレード価格はこれらよりやや低い)。

Windowsのバージョン履歴は混乱してて分かりにくい。しかもお値段が一台の新品のコンピュータ並だ。さらに、OSに数百ドルを投じるだけでなく、アプリのアップグレードなどにもお金がかかる(あるいはアップグレードせずに我慢する)。Windowsの海賊版がやたら多いのも、当然だ。

Appleはあらゆるものを一つのバージョンに押し込んで、しかも比較的安く提供する。Appleは基本的にハードウェア企業で、たまたまソフトも売っているにすぎないからだ。Appleの売上の主体はあくまでもハードウェア、ソフトウェアではない。Appleがソフトを提供するのは、ユーザに今後のハードウェアも買う気になってもらうためだ。電気代のうち、照明のぶんぐらいはソフトの稼ぎを充てよう、と思っているわけではない。

ソフトウェアしか売る物のないMicrosoftは、そんな余裕がない。同社はWindowsやOfficeのようなソフトで稼がなければならない。それ以外の収益源はない。しかしWindows 7の前までは、企業がなかなかWindowsを最新バージョンにアップグレードしてくれなかった。Windows XP SP3で十分だ、何も不満はない。ちょっと前のWindows 2000もそうだ。Windows VistaはWindows MEに次ぐ惨事だった。Windows 7は起死回生の逆転ホームランだったが、今度は企業顧客にWindows 8にアップグレードしてもらうのが、難題になる。

Windows 7は、出してすぐにヒットした。リリースからわずか3週間後に、デスクトップの全市場の4%のシェアを占めた。Microsoftは半年で1億本以上を売り、同社のオペレーティングシステムの売上における、最速記録を作った。2012年1月現在でMicrosoftはWindowsを5億2500万本以上売ったと推計されているが、それに大きく貢献したのが、Windows 7の<6バージョン戦略>だろう。

でもこれは、どっちが勝った負けたという話ではない。デスクトップオペレーティングシステムに関して、MicrosoftとAppleは考え方が根本的に違う。デモ隊をMicrosoft本社の前に繰り出して、“OSに300ドルも取るのは暴利だ!”と叫んだとしても、Microsoftは、自分のやり方は正しい、数字が証明している、と思うだけだ。Appleはこのところ連戦連勝で、Macのマーケットシェアが毎年増えるたびに、OS Xの部分修正をしてるだけだ。その逆ではない。しかしAppleにとってのMountain Lionの重要性と、MicrosoftにとってのWindows 8の重要性を比べると、その大きさがハムスターと恐竜ぐらい違う。

Windows 8は今年の後半にリリースされ、それによってついにMicrosoftも、巷間言われるポストPCの世界に踏み込む。その前途は、厳しい。 Windows 8はOS Xの爆発的な成長を抑え、かつ、iPadにも勝たなければならない。そこでこの前のWindows 7のときのように、消費者向けの試用バージョンを提供したのだ(そのダウンロード情報はここ)。Windows 8は単なるホームラン以上のものである必要がある。Appleとのワールドシリーズ第7戦における、逆転サヨナラ満塁ホームランぐらいでないと、だめだね。

[画像クレジット: engadget]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))