Work 3.0
oDesk
Gary Swart
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雇用はますます“非勤務非社員”化する–経済指標はオンライン労働の実態を正しく拾っていない

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Heyzap、驚きの404ページは1日で作られた

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編集者注記: このゲスト記事を書いたGary Swartは、今急成長しているオンラインの仕事場oDeskのCEOだ。このサービスは今、ここを通じてオンラインの仕事人たちが年間3億ドルあまりを稼いでいる。

経済はまだ苦境を脱せずにあがいているが、しかし今用いられている各種の経済指標は、雇用を従来型の雇用に限定している。でも、企業ではなくさまざまな現場で、一対一の雇用者被用者関係の中で仕事を見つける人は、どれぐらいいるのだろう? それとも、こんな見方は時代遅れか?

Columbia Business SchoolのRita McGrath教授も、同じことを考えているようだ。最近のHarvard Business Reviewの記事の中でMcGrathは、“正規の”雇用こそがつねにもっとも安定的で望ましいとする、世の中の一般的な通念に対して、疑問を投げかけている。彼女は曰く、“みんなが、それで当たり前と思っている社会的概念の多くが、比較的安定した雇用関係ないし、人間に“定職”があることを前提としている*。いつになったらわれわれの思考は、今の新しい現実に追いつくのか?”〔*: 何かの入力フォームには必ず、“職業”や“勤務先”の欄があったり…。〕

この、定職、ないし安定雇用〜安定勤務先を絶対善とする社会観は、今実際に仕事を探している人や、誰かに仕事を頼みたいと思っている人たちにとって、どんな意味を持つのだろう?

雇用の形式は今、大きく変わっているし、進化している。現在の“正規の”経済指標では高い失業率が慢性的に続いており、多くの求職者が求めているような“正規の”求人求職市場はもう二度と回復しないのかもしれない。人びとは、それを心配している。自分の視野の正面に、本稿で述べるような新しい雇用形式を置くことは、不安もあり、なかなかできない。でも、不安を感じる必要はない。世界中の人材に、こんなに迅速に、簡単に、そしてスケーラブルにアクセスできる時代は、これまでなかったのだ。

機会は無限にある

新しい雇用モデルが始まっている。Web 3.0時代のそれを、Work 3.0と呼ぼう。Work 3.0では、仕事はオンデマンドであり、仮想的であり、そしてリモートだ。そしてそれは、ごく最近、始まったばかりだ。

たとえばThumbtack.com。ここは地元企業のための人材のマーケットプレースで、正社員はほんの数人しかいない。サンフランシスコを本拠地とするThumbtackは、シリコンバレーの全体と、人材を奪い合っている。GoogleもFacebookもZyngaも、そしてベンチャーキャピタルに支えられた未来のホットなスタートアップたちも、みんなが一流の人材を探している。しかしThumbtackは、彼らのように最近調達した資金を高い給料やぜいたくな社員福祉に投ずるのではなく、社内のスタッフを極少におさえつつ、世界中に分散する120名あまりのチームメンバーに仕事をさせる。こうやって同社は、一貫して低コストを維持しながら、創業から今日までで収益を150倍に成長させた。

オンラインワークの急成長によって、企業の人材獲得の方法と人事構造も変わり、国境をまたがる多国籍のチーム編成が可能になった。彼らの時間帯もスキルセットもさまざまだ。そしてそれと同時に、世界中の労働者が世界中の労働需要に対応して働けるようになり、機会が地域や自国の労働市場に限定されなくなった。

このWork 3.0のモデルでは、仕事は通勤可能な範囲に限定されない。テネシー州の田舎に住むグラフィックデザイナーが、ニューヨークやロンドンのデザイナーと同じ仕事にアクセスできる。地理的境界が消えたことによって、新しいものの見方や新しい開発方式も可能になっている。またそれによって個人は、自分が心から関心を持てるプロジェクトを選ぶ自由を獲得した。もちろん日程なども、自分の都合に合ったものを選べる。

さらにこの変化は、グローバルな労働力をより幸福にし、また生産性を高めてもいる。Harris Interactiveの最近のアンケート調査によると、合衆国の労働者たちは在宅勤務…通勤可能な正社員としての在宅勤務…に大きな代償を払っている: 34%がソーシャルメディアと疎遠になり、25%がスマートフォンの使用をあきらめ、17%が昇給をあきらめ、5%が配偶者を失っているのだ。

Work 3.0の未来

オンラインワークは各年70%の成長率で伸びている。また、それを支える技術もどんどん良くなっている。2012年には、オンラインワークの求人件数は600万と予測されていて、Web経由で行われるそれらの仕事の賃金総額は10億ドルを超えると推計される。

これまでのブロードバンドアクセスとコラボレーション技術の進歩が、今日をもたらしたのだが、でもオンラインワークとその環境の進歩はこれからも続く。インターネットアクセスの普遍性とスピード、企業が最適人材を、そして労働者が自己に最適の仕事を見つけるためのアルゴリズム、グローバルな賃金支払い方式、などなど改良を要する分野は山ほどある。これらの状況と技術の改善によって、オンラインワークの採用はさらに加速され、これからの新たな採用者(雇用者と被用者の両方)ですら、Work 3.0モデルによる仕事の進め方を、快適に感じるようになるだろう。

そしてその採用が臨界質量に達したら、その時点ではオンラインワークはきわめて当たり前の、日常の一部になり、今雇用者被用者双方が感じている、あるいは体験している、大小のハードルはなくなっているだろう。つまり、そのころになると、今Googleで何かを検索するのと同じ気軽さと自然さで、オンラインで人材や仕事を獲得できるようになる。

通勤や社員化/準社員化を前提とする従来的な雇用モデルが、不況前の高水準に戻ることはないだろう。しかし次の数年では、“正規モデル”で失われた仕事を埋め合わせてあまりあるほどの大量の仕事が、インターネット上に氾濫するだろう。

Work 3.0は今、動き出したばかりだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))