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ハリー・ポッター(Harry Potter)が書店と出版社をバイパスして直販という大きな賭

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Pottermore.com detail

今日(米国時間3/27)は出版の歴史における画期的な日だ。Harry PotterA(ハリー・ポッター)のデジタルコンテンツの総合窓口であるPottermore.comがオープンし、ここがHarry Potterのeブックとオーディオブックの独占取扱店になる。つまり売れっ子作家が、出版社のサイトやオンラインの書店をバイパスして直接、一般大衆にeブックを提供するのは、これが初めてだ。読者はここから直接コンテンツを買って、自分のリーダー環境にロードすればよい。

しかしHarry Potterは書店にとって逃せぬ大魚だから、Pottermoreは大手書籍ポータルの一部、すなわちAmazonBarnes & Nobleに対し、アフィリエイト契約により、Pottermoreのリンクを置くことを認めた。つまり両社がPottermoreから自社商品として‘仕入れる’のではなくて、“ここで売ってますよ”というリンクがあるだけだ。Amazon はその仕組みを説明し、B&Nでは[買う(Buy Now)]ボタンを押すとPottermoreで買うというダイアログがポップアップする。

たいへんなことになったけど、でもこれが、eブックやそのほかのコンテンツ(アプリなど)の売り方の、未来の主流になるのだろうか?

SmashwordsのCEO Mark Cokerは、今日のPottermoreの立ち上げを“出版の歴史の重大な分岐点”と呼ぶ。配布や流通を行う者(出版社や書店)と著作家との力関係が、逆転したからだ。“今日は暗い一日だ、なぜなら、これからは著名な著作家…出版社の儲けのタネ…の全員が、デジタルの著作権のあり方について再考するようになるからだ”。

このサイトでのeブックやオーディオブックの販売に関する条件等は公開されていないが、Cokerの推計では従来出版社が著作家に払っていた12.5〜17.5%の印税に対し、PottermoreではRowlingが定価の70〜90%を取るだろう、という。“当然ながら、出版社は太刀打ちできない。今やコントロールを握るのは作者であり、彼らの立場が断然強くなるのだ”。

ただし、それが著作家にとって望ましいことではあっても、Cokerの予想では小売企業側もそう簡単には折れないだろう。“つまりこれまでの、自分が仕入れて売るという形から、アフィリエイトマーケターに変わり、顧客の体験に対するコントロールを部分的に失うのだ”。〔顧客体験の主要部分は著作家サイトが提供する。〕

しかし顧客体験のコントロールを(サイトの)パブリッシャーと作者が握ることは、新しい展開なので、充実までに時間を要するだろう。Pottermoreも、まだ現状はたどたどしい、と某観測筋は言っている。

ロンドンのEnders AnalysisのアナリストBenedict Evansは、“これからどこで何を買うのか、事前にはっきり分かっている人にとっては、買うときのユーザ体験はまあまあだ。でも、eブックの初心者に対しては、今のPottermoreサイトの説明等はとても貧しい。試しにiPadで、あのサイトをナビゲートしてごらん”、と言う。

Harry Potterのような本は、eブック未体験の一般大衆や子どもたちにとってeブック初体験となるだけに、eブックの普及促進という視点から見るとこれは確かに問題だ。

Pottermoreでは、最初の3つのeブックがそれぞれ$7.99(£4.99)で売られ、次の4冊は各$9.99(£6.99)、セットでは$57.54(£38.64)となる。

しかし奇妙なのは、合衆国にいる人が”GB”(グレートブリテン)すなわち英語バージョンを選ぶと、最初の3つはやや安く($7.92)になり、次の4冊はやや高く($11.10, $61.34)になる。しかも、今のところ合衆国は‘圏外’なので、実際には買えないのだ。

また、自分の本をJ.K. Rowlingのやり方で売ろうとする著作家は、どちらかというと少数派だろう。“J.K. Rowlingのような超大物だからできることさ”、とCokerは言う。Cokerは自分も本を売ってる立場なので、eブックのこれまでのサプライチェーンで彼女は十分儲けられるはず、という見方には偏りがあるかもしれない。でも、その彼すら、“今度の計画で彼女は大成功を収めるだろう”、と認めざるをえないのだ。

しかしそれは、誰にでもできることではない。Cokerは曰く、“JKRはPottermoreに数十万、もしくは数百万ドルを投じただろう。正確な額は分からないが、New York Timesのベストセラーリストに載る程度のふつうの著作家にはできない投資だ”。

今日立ち上がったPottermoreのサイトは、いろんな点で、とても良くできてるようだ。今本誌は同サイトに、初期の売上やトラフィックについて問い合わせている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))