スタートレックの「トライコーダー」を一家に一台へ―何でも測定できるポケットデバイスのプロトタイプ開発中

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スタートレックでドクター・マッコイが使うハンドヘルド医療デバイス「トライコーダー」の現実版を作ろうという試みがこれまでにもいくつかあった。QualcommがスポンサーになったTricorder X-Prizeもその一つで、基本的な健康情報を測定して15種類の病気の診断ができるポータブル・センサーを開発するのが目的だ。われわれもレーザーを使って遠隔的に脈拍や体温を測定できるデバイスを紹介したことがある。

しかし今回紹介するThe Tricorder Projectはヘルスケアが目的ではない。Peter JansenがMcMasters Universityで博士課程の大学院生だったころにとりかかったプロジェクトで、目的は環境から科学的な情報を収集することになる。彼は磁力、電波、温度、その他目に見えない環境情報を可視化することに強い情熱を抱いており、そのための安価でコンパクトなデバイスを作りたいと考えた。スタートレックの惑星先遣隊が持って行きたがるようなデバイスだ。

最新のMark IIモデルには温度(環境温度測定と赤外線によるスポット測定)、磁力(3軸)、距離(超音波ソナー)、GPS、気圧、色相と輝度、その他を測定する機能が組み込まれている。将来はさらに拡張されるかもしれない。紫外線、赤外線、pH、水質、空気の質、音波関係等々、候補はいくらでも考えられる。しかし現状でも非常に強力なマルチセンサーに仕上がっている。測定結果はタッチスクリーンの2つのOLEDディスプレイに表示される。大きさはポケットに入る程度でOSは(もちろん!)Lunuxだ。

すぐ頭に浮かぶのは、「どうしてiPhoneやAndroidのようなスマートフォンを利用しないのか?」という疑問だろう。そのJansenによれば、その理由には技術上と方針上のものがあるという。

この〔独自デバイスという〕アプローチを取った主な理由は、標準化とオープン化を実現するためだ。特定のメーカーの規格や標準インタフェースに従わなければならい場合、問題が複雑化しすぎる。

またTricorderプロジェクトの目的は家庭や科学教育の現場で広く利用されることなのでと、 非常に安価な専用デバイスを利用するのが適切な方向だった。

記事トップの画像がMark Iで、すぐ上の画像が改良型のケースに収められたMark IIだ。Mark IIIは不具合があってお蔵になった。開発中のMark IVは画像処理とデータの可視化の改良に重点が置かれているという。赤外線画像表示も含まれる予定だ。

このプロジェクトで特に重要なのは価格だ。こうしたデバイスを普及させるにはとにかく徹底したコストダウンしかない。Jansenは部品をすべて安価な既製品でまかなうことで価格を200ドル程度に押さえられるよう努力しているソフトウェアと設計図はまったくのオープンソースだから無料だ。製品は標準的電子パーツのみを使っているので基本的な技術(ハンダ付け、回路基板製作)さえあれば組み立てられる。しかし普及のためにはハンダ付けの必要なパーツをあらかじめに基盤に組み付け、筐体とともにキットで提供できるようにする必要があるだろう。

こうしたトライコーダー的プロダクトは今後ポピュラーになっていくだろうか? それはわからないが、Jansen やQualcommのプロジェクトが興味深いことは間違いない。Jasenのプロジェクトの技術的詳細はこちら

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+