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ついに国の造幣局が公式にデジタル貨幣を作る–カナダ造幣局の“MintChip”

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日常的な決済のデジタル化は、もはや逆らえない動きのようだが、でもまだその最終解はない。既存のカードと銀行システムを使う寄生的な取り組み(Squareなど)や、NFCの単独技術を志向するプロジェクト(Google Walletなど)はあるが、まだどれも、ふつうの消費者が“これならお店に5ドルのお札を渡すのとおなじぐらい簡単”と言えるものではない。

そんなシステムを今、カナダの造幣局(Royal Canadian Mint)が作ろうとしている。プラットホームを特定しない、シンプルでセキュアな代替通貨だ。この言い方だと、Bitcoinを連想する人がいるかもしれないが、実は両者の比較は成り立たない。カナダ造幣局が考えているMintChipは、仮想通貨ではなくて、これまでも試みられたことのある仮想財布だ。ただしもちろん、その初めての完全な成功例を目指している。それが、見果てぬ夢に終わる心配は、ないのだろうか?

まず、MintChipはBitcoinとは全然違う、という点を説明しよう。Bitcoinは要するに、新しい形の通貨だ。一定のルールを帯びた“リソース”が、現金とはまったく違う方法で交換される。ある意味ではとてもセキュアだが、そのセキュリティの根幹となっている部分が、既存の、みんながよくなじんでいる支払いの方法との、決定的な違いを作りだしている。ふつうの消費者には、違和感がある。しかもその貨幣価値が乱高下するので、日常的な買い物や支払いには使えない。

MintChipのMintは造幣局の意味だが、mintはたまたまアイスクリームのフレーバーでもある。そしてその“ミントの香りのするチップ”は、信認されたハードウェアと単純明快なアカウントを使ってカナダドルをセキュアに交換する方法だ(将来的には他国の通貨も)。チップ本体は、microSDカードやお店のPOSシステムなど、いろんなデバイスに組み込める。MintChipの価値はMintChipのブローカーがチップに転送し、その後は、複数のチップ間に(オンラインまたはオフで)転送できる。

そのシステムはセキュアで匿名だ、と主張されているが、しかしハードウェアの信認と仲介者に依存するシステムには必ず、不正に対する脆弱性がある。匿名性も、その徹底は難しい。アカウントが番号で表されていても、それは名前やカードに結びついているから、匿名性は確実ではない。その仕様からは、アカウントや決済情報が保存される場所や方法は分からない。極端な言い方をすると、ドラッグを買っても絶対ばれなければ、匿名性は完全と言えるけどね。

信認を伴う独立のハードウェアを使うことも、弱点になる。悪人がハッカーを雇って、ブローカーや商業者にばれないように不正な決済を偽造する事件が、いずれは起きそうだ。少なくとも、現在得られている情報を見たかぎりでは、安心して採用できそうもない。クレジットカードも、それをめぐる犯罪は多いが、でも広く採用され普及している。MintChipにはまだ、利用規模の大きさというアドバンテージがない。

Mintは立派な取り組みではあるけれども、上に述べたような理由で、失敗の可能性もある。しかし失敗は成功への一里塚、改良のための大ヒントだ。最初の失敗でプロジェクトをあっさり放棄する必要はない。

最後にビッグニュース(最後まで読んでくれた人へのごほうび): 造幣局はコンテストを行い、賞品として数千ドル相当の純金がもらえる。最優秀のアプリケーションを作った者には10オンスの金塊、その価額はおよそ17000ドルだ。審査員は、造幣局の人たちのほかに、Google、eBay、CBCからも招かれる。決済に関心があって金塊が好きなデベロッパは、トライしてみよう。

[出典: Hacker News]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))