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Next Issue Mediaは定額で雑誌が読み放題となるサービス。まずはAndroidタブレット用アプリから

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映像配信ではNetflix、音楽配信ではSpotifyなど、「定額で一定期間コンテンツを楽しみ放題」というサービスが浸透しつつあるが、いよいよ雑誌にもこのモデルが登場した。米大手出版社のCondé Nast、Hearst、Meredith、News Corp.、Time Inc.の5社が参加したジョイントベンチャーNext Issue Mediaが雑誌版Netflixとでも呼ぶべきサービスを立ち上げている。

同社が先日リリースしたのが、Android搭載タブレット向けのニューススタンドアプリ。月額の固定料金(月刊誌だけの場合は9.99ドル、週刊誌も含める場合は14.99ドル)を払うだけで、最大32誌の電子版が読み放題になる。いずれもElleやEsquire、Timeなど、出資した出版社が刊行している有名誌ばかりだ。残念ながらiPad版は未発表だが、この夏にも発表される予定とのこと。なお、現在提供されているAndroidアプリは日本では使えない。

月額15ドルで32誌が読み放題、というのが高いか安いかは判断が難しいところだが、対象誌については75誌程度にまで拡張することが計画されている。さらに出資した5社以外の出版社の雑誌を含めることも検討中とのことだ。個別の雑誌を定期購読中のユーザーに対してどのような割引を提供するのかについては明確になっていないが、料金と公開範囲のバランスについては、今後ユーザーの反応を見ながら最適化が行われてゆくことだろう。それよりは、今のところAndroid(Android 3.0 HoneycombもしくはAndroid 4.0 Ice Cream Sandwich)版アプリしかなく、対応端末数がボトルネックになる恐れの方を早急に改善すべきかもしれない。

Netflix型の雑誌購読サービスについては、以前Amazonも同様のサービスを計画中と報じられたことがあった。しかし実現には至っておらず、定期刊行物の電子版という点では、Next Issue Mediaは大手出版社による初の試みとなる。それだけ実現するのが難しかったサービスであるともいえ、先ほどのように既存の購読者の扱いをどうするか、外部からの参入をどう考えるか、得られた収益をどう配分するのかなど答えが明確にされていない課題も多い。

仮に経営面や技術面での問題がクリアされ、Next Issue Mediaのサービスが順調に運営されるようになったとして、このモデルはどこまで消費者に受け入れられるのだろうか。予想を難しくしているのは、雑誌というメディアが幅広いスタイルで消費されているという点だろう。「ざっと読んでおしまい」という雑誌がある一方で、「資料として何年間も保存する」という雑誌もある。あるいは喫茶店や病院の待合室のように、置いてある雑誌で時間を潰すだけで満足な場合がある一方で、特定の経済誌の特集が読みたいなどという場合もある。「読み放題」というモデルがぴたりとはまるシチュエーションや、それに適した雑誌ラインナップをどこまで把握できるかが成否に大きく影響するかもしれない。

ともあれ、様々なモデルが実験されることは消費者にとっては歓迎すべき状況だ。雑誌との新しい付き合い方を見出せるようなサービスに成長することを期待したい。

【追記】
日本では同様のサービスとして、「ビューン」が2010年に登場している。こちらは30日間450円(税込)という料金設定で、対応端末はiPad、iPhone/iPod Touch、携帯電話(ソフトバンク)、Android搭載スマートフォン。提供コンテンツは新聞・雑誌・書籍など合わせて43タイトルとなっているが、紙媒体と同じ分量のコンテンツが公開されるわけではなく、閲覧可能な範囲は各タイトルによって異なる。また提供コンテンツを女性向けに絞ったバージョンとして「ビューン for Woman」があり、女性誌12誌などを30日間250円(税込)という料金で閲覧することができる。

一見して分かるように、ビューンの場合はコンテンツ分量を意図的に落とし、料金も低く抑えることで紙媒体からの差別化が行われている。デジタル端末での新たな雑誌消費スタイルを確立するという点では、ビューンのアプローチも合理的だろう。一方でユーザーが紙媒体と同じ内容を期待していた場合には不十分な内容であり、サービスが提供するものとユーザーの期待とをどう一致させてゆくのかが成否のカギを握りそうだ。