「履歴書」は消えて、採用活動は効率化する(今はまさに時代の転換点)

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job interview編集部注Chris RickbornUnrabbleのCOO兼共同ファウンダーである。中小規模企業、とくにスタートアップ企業における人材採用ソリューションを提供している。Unrabbleのツイッターアカウントは@unrabble

オフィスを片付ける際、何年も前のものが入っている段ボール箱を久しぶりに開けてみることになった。入っていたのはパームパイロット、ミニカセット式のテープレコーダー、そしてフロッピーディスクの山なども出てきた。失われたテクノロジーを見つけ出すタイムマシンのような状態だ。ガサガサと探っていると、ポラロイド写真やポケットベルなども出てきた。またファイルには何かの理由で保管しておこうと考えた履歴書や、さまざまのメーカーの製品カタログなども出てきた。

発見したものは全て、今では何かしらの進化を遂げたか、あるいは他のものによって駆逐されたものばかりだ。テクノロジーの産物であるとも言えない製品カタログも、今ではウェブサイトによって代替されている。ウェブサイトでの方がより詳しい内容を説明できる。段ボールから発見したものの中では、唯一履歴書だけが変化の荒波をかいくぐって生き続けているようだ。

考えてみれば、プロダクトやビジネスプロセスのライフサイクルがあまりに短いことに困惑してしまうほどだ。あるいは「イノベーション」により、すぐに新しいものに置き換えられていく。そのような中で、個人の作成する履歴書だけが、未だ旧来の1、2ページのドキュメントとしての姿を保っているのだ。30年前と同様の書式で作成され、そして印刷したり、メールで送ったり、あるいはどこかにアップロードしておいたりする。

但し、変化の流れがないわけではない。その流れが今のところは見えにくいだけなのだ。実のところ、インターネットが履歴書を消し去りつつある。現在のところはその動きは遅々としたものではある。しかしクラウドサービスがより信頼できるものとなり、ネットワーク上に保管される情報がより広範なものとなり、そしてさらにソーシャルメディア上での活動が広がっていけば、個人についての情報も、ネットワーク上でこそ表現されるものとなっていく。そしてこれは履歴書という存在を駆逐していくことになるだろう。

現在、人を雇用しようとする人が、履歴書上の情報とネット上の情報の比較作業などを行なっているのは間違いのないところだ。この流れは最終的に、履歴書という形式を無用のものとしていくに違いない。LinkedInBeKnown、あるいはBranchOutなどのサービスを利用すれば、今でも自分の情報を履歴書形式にまとめずとも仕事への応募ができるようになってきている。またAbout.meもカバーレターとして利用できるようなサービスを展開している。さらにVizualize.meRe.vuなどは、これまでのキャリアをインフォグラフィックで示してくれるようなサービスも展開している。

これまで利用されてきた履歴書という形式が「オンラインプロフィール」にとってかわることにより、雇用者および求職者の双方に大きなメリットをもたらすこととなる。求職者側としてみれば、スキルや能力、これまでに行なってきた業務をより統括的に示すことができる。また雇用者側は表面を飾った履歴書や、同じような表現で応募者を能力以上のものに見せかける履歴書に惑わされることがなくなる。「オンラインプロフィール」を活用することにより、ミスマッチを減らし、まさに適材適所を実現する出会いがもたらされることになる。これは大きな進歩だと言うことができよう。

「オンラインプロフィール」という新時代の履歴書は、これまでの制約を取り払ってくれるものとなる。さまざまなコンテンツを用いることができるわけで、スキルや強み、あるいは雇用者が必要としている業務内容についての実績などをダイナミックに表現することができるようになる。求職者は、サイトのアクセス解析を行うのと同様な形で、雇用者がどのように情報を見て回ったのかを分析して、自らの情報を改善していくことができるようになるだろう。この将来型履歴書は、企業と求職者にとっての出会いの場となり、双方にとって選別に伴う大いなる無駄を省くことができるものとなる。また、プロフィール情報がインタラクティブなものとなることにより、採用担当者と求職者、およびその他ステイクホルダーとの間のコミュニケーションやコラボレーションを活発にすることができるだろう。それにより採用活動が迅速かつ効率的に行われるようになる。

但し、履歴書をシュレッダーにかけるのは少々待ってもらいたい。完全に新時代の「オンラインプロフィール」に移行するまでには、プライバシー問題や行動スタイルなど、解決しておかなければならない問題がいくつかあるのだ。たとえば最近、LinkedInを利用して求職者の選定を行う作業を手伝ったことがあった。そこで気づいたのが、未だに多くの人が履歴書という書式を利用していることだ。LinkedInに「オンラインプロフィール」が登録してあるのに、なぜ別途履歴書という書式で情報をまとめる必要があるのか。見てみると履歴書には、プロフィールとして登録されている情報よりも詳細な情報が記載されているケースが大半だった。

ここからいくつかのことがわかる。まず、求職者たちは応募する仕事毎に履歴書を使い分けたいと考えているようだ。また公開プロフィールに、これまでの経歴全てを書かない人も多い。情報が独り歩きしてしまうことを危惧しているのだろう。また、雇用者側も履歴書の提出を義務付けているところが多いようだ。採用にいたるプロセスは大きく変化しつつあるが、この辺りは未だ旧来のスタイルが好まれることもあるようだ。

USA Todayの記事によれば、35%近くの履歴書において学歴、経歴、特定業務に関するスキルについてあからさまな嘘が記載されているのだそうだ。この点からも「オンラインプロフィール」を活用するメリットが見えてくる。履歴書は求職者と雇用者の間でやり取りされるだけだが、プロフィール情報は多くの人の目にさらされることになり、そのような中で嘘を主張することは甚だ困難なことだからだ。

「オンラインプロフィール」についても、雇用者との間でプライベートにやり取りできるようにするという仕組みが必要となっていくのかもしれない。但し、他にも情報をオンライン化することのメリットはあり、結局のところこの流れは変わらないはずだ。

1) 有意義なコラボレーションを促進する。紙の履歴書の上にメモ書きをして、山積みになった履歴書のふるい分け作業を職場の誰かに依頼したりすることが多くある。しかし人材募集もオンラインで行なって、情報がオンラインに集まるようになっていれば、求職者の評価を順次行なっていくことができる。評価やレビューもオンライン上にまとまり、採用者側としては個々の求職者についての一致した見解を持つことができるようになる。

2) 情報を持ち運べる。デスクに山積みにした履歴書に、誰がベストなのかなどとメモを記しておいても出張になったり、自宅から作業をしている時には全く役に立たない。しかしデータがクラウド上にあるのなら、インターネットにアクセスできる環境であればどこからでも応募書類にアクセスすることができる。またコメントもオンラインで残しておけば、これもまたいずこからでも参照できることになる。

3) パフォーマンスの向上。インターネットをうまく活用して採用活動を行えば、紙の履歴書に頼って行う現在のプロセスに比べてはるかにコストおよび時間を削減することができるようになる。採用活動をオンラインで行い、さらに応募も「オンラインプロフィール」によって行うことができるようにすれば、採用活動に関わる時間を節約して効率化することができるようになる。プロフィールの評価、共有などもはるかに簡単に行えるようになり、適切な人材を採用するまでの時間を大幅に短縮することとなる。

こうしたことを考慮するに、従来の履歴書というスタイルは消え去っていくことになるのだろう。文字のみで記された履歴書が消えることにより、求職者にとっても雇用者にとっても採用活動の精度を向上させることができるようになる。私が段ボールの中に発見したガジェットのように、履歴書も非常に有効なツールとして機能したことがあった。今まさに、私たちは時代の移り変わりを目にしているのだろう。

[image via flickr/bpsusf]

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(翻訳:Maeda, H)