どうやったら開発のコストを少なくできるか? 答え:コードを書かない

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もう2週間前ほどの話になってしまって恐縮なのだが、Eric Riesがやってきてリーンスタートアップについて説いてまわったとき、リーンスタートアップを実践する1つの興味深い話を聞いた。それはデジタルガレージのイベントで、同社のCTOを務めるIan McFarland(@imf)が講演した話なのだけど、彼はアジャイル開発の専門家でいかに無駄をなくしてプロダクトを開発するかについて語っていた。

彼の話はこんな感じだ:

「どうやったら開発のコストを少なくできるか? コードをなるべく少なく書くことだ。コードは資産じゃない、負債だ。コードは書くのにお金がかかるし、維持するのにはもっとお金がかかる。仕事をこなすのに必要な分だけコードを書くということだ。」

そして会場に質問が投げかけられる。

「じゃぁ、もっとも少なくコードを書くということはどういうことか?」

答えは……「書かない」だ。

リーンスタートアップではプロダクトから顧客の声を聞くことを求めてフィードバックして開発することを説いている。それは実際にユーザーにヒアリングすることもあるけど、振る舞いを読み取ることに重点をおいている。だから、開発者は新しいプロダクトを作るのに、まずはコードを書いて簡単なデモレベルのものをつくろうとする。だけど、彼はコードを「書く」前にもやることがあるという。たとえば紙によるモックアップだ。これだけでも十分な役割を果たすことがある。

この講演のときにちょうど僕の前に座っていたあるスタートアップの経営者は、すでにこれを実践しているということだった。先にペイパーモックアップを作って(ウェブなら画像をブラウザーで見せるだとか)、それをもとにユーザーにヒアリングをして、そからフィードバックを得て実際に製品の開発にはいるんだそうだ。スマートフォン向けのプロダクトでもそうしているという話を聞いた。

実はEric Riesもジョーク交じりに講演でおんなじようなことを言っていた。それは彼の本にも載っているIMVUの話なのだけど、6カ月もかけて開発した製品を実際にリリースしたときには、誰もダウンロードして使おうとさえ思わなかったということだった。

だから、こんなことならまずは「こういう製品があるからここからダウンロードできます」ってウェブページだけを作るのでよかったんじゃないかと話している。そして実際には製品を作らないで、どれだけのユーザーがそのウェブサイトのダウンロードボタンを押してくれるかを見ればよかったんじゃないかなということだ。

それによって、ユーザーがそういったたぐいの製品をほしがっているかどうかがわかるし、そこから製品を開発したっていいってことだ。それは冗談にせよ、何カ月もかけて開発して使われない製品を作るようなムダな時間の過ごし方を避けるためのヒントにはなっている。

そもそもエンジニア、モノづくりをするひとたちには一度作ったものには愛着を持ってしまう。それは自分が労力をかけたことに対する強い思いなのかもしれない。だから、作った機能がユーザーに使われないムダなものだとしても、開発エンジニアに愛着があることによって変更がかけられないなんてこともあるしね。

Ian Mcfarlandが唱えている開発の話はすべてのことに当てはまるということではないのかもしれないけれど、いいヒントにはなるんじゃないかな。

(画像はすべてIan McFarland氏の講演資料より)