3歳と少し。Foursquareの歴史を振り返り、そして未来を予測する

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naveen_dennis編集部注AJ Aroraは以前Yahoo!のプロダクト部門で仕事をしていて、またTechCrunchのインターンだったこともある。現在はローカルディスカバリーおよび電子商取引に関する業務を行なっている。3月に3歳となったFoursquareについて、プロダクトマネージャー的視点からその成功の歴史を振り返ってみようというのが本記事だ。ちなみにAJはFoursquareと直接的な関係を持ってはいない。

6年前、今ではすっかりお馴染みとなった「Hack Day」イベントに参加するためにシリコンバレーに向かった。利用できる技術をなんでも利用して、ウェブアプリケーションの開発を競うというイベントだ。VCやシリコンバレーの有名人たちが審判役でやってきていて、すばらしい賞品も用意してくれた。司会はMike Arringtonで、参加者たちをまるでロックスターであるかのように扱ってくれたことを思い出す。

自分自身のことを振り返ってみると、何かを作るということにはすぐにとりつかれてしまった。最高のものを生み出してきたスティーブ・ジョブズなどの先人たちのあとを追いたかったのだ。プロダクトマネジメントにはいろいろなやり方があるが、しかし成功した製品に共通する基本哲学といったものも見つけ出した。

  1. 製品を投入するチャンスをしっかり理解する
  2. そのチャンスをものにするプロダクトを作る

ということだ。

下に示すタイムラインで、Foursquareが成功を掴むことになった「チャンス」についてまとめてみようと思う。技術的、マーケット的、そしてビジネス展開の面におけることをまとめてある。プロダクトについての理解は十分だということであれば、本稿最後に記した今後の展開予測の部分まで読み飛ばしていただいてかまわない。

尚、情報開示の意味で記しておくが、個人的にはFoursquareと何の繋がりもない。しかしファウンダーたちにman-crush(夢中になるという意味がある)してしまったのだ。彼らの行動を振り返ることにより、上に示した哲学の実践例を示すことができると思う。

  1. 1999年 モバイルブラウザとSMSモバイルウェブブラウザとSMSの登場によって生じたチャンスに、Dennis Crowleyは「チェックイン」という概念を思いつき、Dodgeballというモバイルソーシャルネットワークの提供を開始した。

    このサービスは2005年、Googleによって買収された。しかしGoogleは本プロダクトをサポートせず、サービスは閉鎖され、Dennisと共同ファウンダーのAlex Rainertは、不満を抱えたまま退社することとなった。

  2. アプリケーションストアとSDK2007年、iPhoneが発売開始となった。大きな出来事ではある。しかしこれは「スマートフォン革命」の「半分」しか示していない。残りの半分とは2008年のiOS用SDKの公開だ。開発されたモバイルアプリケーションが人々の生活を変え、そして生活の変化がさまざまなプロダクトを生み出すチャンスを生み出した。

    そしてバーやレストランに到着するという事実自体が、単なる日常の出来事にとどまらず、ゲーム風の出来事になった。手に入れたスマートなデバイスで、位置情報のブロードキャストをするようになったのだ。

    「チェックイン」再起動

    こうした流れの中、BrightKiteFireBall、およびLooptなどが、Dodgeballの機能拡張版とでも言うべきサービスをリリースした。この中でDennisと新しくパートナーとなったNaveen SelvaduraiはiOS用サービスの展開を考えることとなった。

  3. Twitter

    新しく立ちあげられたサービスは、もちろん利用者の獲得が重要だ。–前年のSXSWで注目となったTwitterは話題の的とはなった。しかしまだ多くの利用者を獲得するという段階にはなっていなかった

    しかしFoursquareはここにマーケティングのチャンスを見て、チェックイン情報やTo-Doの達成状況などをTwitterでシームレスに流せるようにしていた。初期からサービスを利用している人の仲には、TwitterストリームがFoursquareのチェックイン情報で溢れかえっていたことを覚えているかもしれない。

    Foursquareは情報同期戦略の対象をTwitterからFacebookに移したり、プッシュ通知を採用したりと、いろいろな試みを行った。—これは「素晴らしいマーケティング活動」と、「スパム」の間で、適切なバランスを探していたということだ。

  4. Quora quote
  5. ゲーミフィケーションFoursquareは3つのゲーム的要素を導入していて、それぞれが特定層の利用者から人気を集めている。ここまでの成功を掴み、また獲得した利用者からの人気を失わずにいる要因となっている。

    バッジ – 使い始めて間もない人の多くは、まだFoursquare上で他のソーシャルネットワーク上での知り合いとの繋がりを再現できないでいることが多い。そうした利用者はバッジ集めに面白さを感じたりもする。— ソーシャルネットワークのひとつであるFoursquareだが、バッジのおかげで、ひとりで使っても楽しいと感じる利用者もいるようだ。

    メイヤー – 利用者が増えることによって、友だちのいない利用者に対しても「競い合い」の仕組みを提供できるようになった。知らないもの同士が「メイヤー」の地位を争うのだ。自分のテリトリーを主張したり、商業施設運営者から見ればロイヤルティの判定基準となったりもする。

    「ソーシャル」の中での競い合い – バッジなどに飽きてしまう利用者は、その段階までにたいていFoursquare上で友だちとソーシャルな関係を結んでいることが多い。この段階にある人は、友人たちとの中で「ポイント」を競うことに面白さを感じたりするようだ。そして「ゲーム」に飽きる段階になった利用者は、Foursquareを利用して友人が訪問している場所の情報を得たりすること自体に面白さを感じるようになったりもする。

  6. 位置情報を巡る争いの中で活用したクラウドソーシング2010年後半、位置情報サービスの覇権を巡って激しい戦いが勃発した。

    GoogleやYelpが電話番号や詳細レビューなどの施設情報を取得しようとする中、Foursquareはシンプルなエクスペリエンスを提供し、位置情報をモバイルからも簡単に追加できるようにして、海外などにおける施設情報も増やしていった。施設情報を数多く登録する人にはSuperuserの肩書きを与え、クラウドソーシングによって位置情報の充実させていったのだ。

    今日では、Foursquare利用者の50%以上が米国外の利用者で占められている。従来のビッグプレイヤーが手を出しかねていた東南アジアなどでも活発な利用者層形成に成功したのだ。

  7. 2010年、Yahoo!FacebookにMicrosoftなどが買収に興味を持ったと伝えられる。その時点ではFoursquareの利用者はまだ100万人というところだったが、買収交渉額は1億ドルないし1億5000万ドルであると噂された。すなわち利用者ひとりあたり100ドル以上というとんでもない価格設定であったのだ。地域に結びつき、活発に行動を行う利用者層に高い価値が見出されていたのだ。
  8. ショップのプラットフォームとしてのFoursquareあるいはスペシャル
    割引情報などの提供を行うのに大量の営業担当者員を雇うのではなく、この面でもFoursquareは活発なコミュニティを有効活用することに成功した。来客した客に対して、何らかの「スペシャル」を提供することができるようになり、顧客とより密な関係を築くことができるようになったのだ。、ここにFoursquareの提供する世界が見事完結することとなった。位置情報はゲーム的なものとしてのみではなく、利用者にとっての価値を提供できるようになったのだ。
  9. メーカーないしブランド小売店などがFoursquareを有効に使えるようになれば、それによりメーカーなども利用方法を考えてFrousquareを活用するようになっていく。こうしてFoursquareはメインストリームのプロダクトとして認知され、利用されていくようになる。

    ブランドによるバッジ情報、あるいはプロモーション商品を投入することにより、Foursquare上における消費者との繋がりは、他のネットワークでは見られないほど強固なものとなっていった。しかもブランド側から提供される情報は、消費者たちから広告と認識すらされないものでもあった。

    Foursquareの「現実世界」との結びつきは、他のソーシャルネットワークと比較した際のインプレッション価値をより高いものとする。モバイル環境でFoursquareを利用することはつまり、現実の世界で利用者が行動するということを意味する。

  10. 誰もが興味を持つ未来:これからのFoursquare最近のアップデートで、Foursquareのレコメンド機能がますます便利になってきた。利用者がどういう場所を好むのかという情報も、Foursquare上に蓄積されてきたわけだ。そしてこのことこそ、「ソーシャル」をマネタイズするキーとなる。

    Foursquare suggestions

    アップデートによってレコメンド機能のみでなく、現在地付近を「探索」する機能も加えられている。これはYelpやGoogleと直接的に競合する機能でもある。飲食店関係の中のみでなく、間もなく一般的なビジネスシーンでもFoursquareの検索機能が利用されるようになるだろう。

Foursquare成長の跡を示すタイムラインについて、これは計画的なものではなく偶然の産物であると言う人もいるだろう。偶然にFoursquareが誕生して成長するものなのであれば、Foursquareは既にどこかで誕生して利用者を集めていたのではないかと思うのだ。

また、成功の要因は素晴らしいデザインウィットに富むコピービジネス開発およびPR、そして著名なイベントや、大物を相手にした素晴らしいマーケティング活動にもあるだろう。しかし、テック業界のなかで最も激しい戦いに勝ち残りGowallaが消え去るのを見据えつつ、Facebookの相手にはならないだろうと言われつつもしっかりと自らのポジションを確保している。これはやはりプロダクトの設計や、あるいは機を見るに敏な運営にあったのだと言えよう。

また、資産を蓄えたFoursquareにとって、最高の時というのはこれからやってくるのに間違いない。Foursquareの3年間を詳細に振り返ることにより、読者の方々も今後に開けている可能性を感じていただけたものと思う。

これからのFoursquare

イベント、およびプラン

Foursqureでは、メジャーな施設でチェックインを行った際、何のイベントに参加しているのかを特定することができるようになっている。ただ、Foursquareは街を使い倒そうというビジョンを考えるならば、Foursquareの基本機能である「チェックイン」は、さらに進化していく可能性をもっている。たとえば将来の予定について投稿できるようになれば、Plancastが実現しようとしたことも実現できることだろう。それはつまりFoursquare for the Futureとでもいうものになるわけだ。

まずは「探索」機能に、その日の夜に行われるイベント情報を表示するようにするところから第一歩が始まる。そこから次第に進化して、たとえば次のような通知メッセージを受け取るようなことも考えられるだろう:「Anandとしばらく会っていませんね。明日の夜9時にRYOKOでディナーを一緒にするのはどうでしょうか」。

Foursquareも「探索」メニューにイベント情報を加えることについて考慮しているようだ:「イベントにチェックインするという行為には非常に人気があるようです。昨年に「イベント」メニューを公式にサポートしてから、非常に多くの人がイベントに対するチェックインを実行してきています。私たちが将来的な機能について多くを語ることはありませんが、人々による場所と時間の共有に関わっていくプロダクトであるという面をさらに進めていきたいと考えています。そうした観点から、まさに「イベント」というものが大きな可能性を秘めていることはよく御理解いただけることだと思うのです」。

デイリーディール

FoursquareはGrouponLivingSocialなどと提携してお買い得情報(クーポン情報)などの提供を行なっている。しかしFoursquare内でこうしたお買い得情報を見つけようとするとScoutMobによる情報しか見つからない。商店の方で、クーポンを発行して利益を減じるよりも、Foursquare上に直接「スペシャル」を提供したいと考えるところが増えてきたというのも一因なのだろう。

Dennis自身は、自らのビジネス領域を、クーポンビジネスとは異なる部分に位置づけたいと考えているようだ。これは例えばクーポン情報などを集約して提供するYipitなどと提携することによって実現するつもりなのではないかとも噂された。

FoursquareのPlan機能に安売り情報などを統合することによって、より一層魅力的なサービスを展開していけるようにもなるだろう。

ペイメントサービス

SquareのサイドプロジェクトであるCard Caseを使ってみたことのある人は、モバイル決済の未来を感じたに違いない。そして支払い機能とチェックイン機能の間に親和性があることも感じたことだろう。FoursquareはAmerican Expressと組んでディスカウント情報の提供を行ったり、またレストランのメニュー内容や価格情報を提供したりもしている。

FoursquareはSquare(Dennisの友人であるJack Dorseyが運営する)と組んでチェックインと支払いを統合していくようなこともできるだろう。また先日発表したNFC機能を強化していくことも考えられる。

しかしそれだけではないのだ。CraveにチェックインしてMac & Cheeseを6ドルで購入する際、オーダーも支払いもすべてFoursquareのなかで完結することができるようになる。現在FoursquareでChief Product Officerを務めるAlex Rainertに決済サービスについての展望を尋ねたところでは次のような返事が戻ってきた。「私たちはいつでもお金を節約しつつ報償を得るための良い方法を研究しているんですよ。支払いサービスの面でもぜひFoursquareに注目していてください」とのことだ。

位置情報に基づくQ&A、チャット、デートサービス

LocalMindなどのスタートアップがFoursquare上に位置情報に基づいたQAサービスを構築しようとトライしてきた。どうやら時期は整い、Foursquare自らがこうしたサービスに乗り出すときが来たようだ。

JFK空港にチェックインしている人に対して、街中までタクシーをシェアしないかと提案するような使い方はとても便利だ。あるいはThe Bubble Loungeにチェックインしている人に対して、待ちはどのくらいかとか、女の子たちがたくさん来店しているかなどと尋ねるのもまた便利だろう。回答者にはFoursquareポイントを5ポイントほど与えることにすれば良いと思う。

デート関連サービスについて言えば、ドッジボールにも見知らぬ者同士の出会いを演出する機能が存在した。Foursquareも、そうしたサービスを導入する予定であるとしても何ら不思議なことではないのだ。

他アプリケーションの上に君臨するものとしてのリアル・ワールドアプリケーション

モバイルユーザもいろいろなアプリケーションを追いかけることには疲れ果ててしまうときがくるだろう。そこでソリューションを提供するのがFoursquareだ。たとえばOpenTableの予約機能はFoursquareに取り込むことができる。あるいはZipcarのサービスエリアにチェックインして、Foursquare内から利用する車の登録を行えるようにもなるだろう。ホテルにチェックインすれば、それが本当にチェックインを兼ねるようにもなり得る。Foursquareの動きを見ていると、Scobleが2012年に実現することとして述べた予測も現実のものとなりそうに感じられる。

どこかのイベントでDennisに会うようなことがあれば、ぜひとも現実世界にどのような機能をもたせようとしているのかを率直に尋ねてみると良いと思う。

Quora quote

振り返ってみれば、Foursquareに新しく実装された機能も、実はDodgeball時代から考慮されていたものであることがわかる。どうやらFoursquareは、魅力的な機能を見事なタイミングでリリースし、常にプロダクトに新たな魅力を付け加えているように感じられる。

2010年にForusquareの未来を尋ねられたDennis Crowleyは、まだまだあるべき姿の10%を実現したに過ぎないと語っていた。今日同じ質問をしたらなんと答えるだろうか。Foursquareは既に非常に多くのことを成し遂げてきたはずであるが、それでも彼は「まだまだ完成形からは程遠い」と答えるのではあるまいか。

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(翻訳:Maeda, H)