ハーバードやMITは古い–スタンフォードこそ本当の“教育の革命”に取り組んでいる

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大学の講義はあまり教育的でない、と思うことが多い。ぼく自身、4年生たちを教えてみて、この人たち、4年間の高等教育で勉強が何も身についていないな、と感じる。だからMITとHarvardがedXで講義を公開するのは立派だが、でもそれが、教室にWebカメラを持ち込むことに等しいのなら、“教育の革命”とは言えない。

教育の革命は、講義をKhan Academyのようなもので置き換え、規定の時間割を自主的な学習に置き換えることではないか。Stanford(スタンフォード大学)のメディカルスクールは先週、まさにそんなやり方を提唱した。スタンフォードは、良い教育に必要なものは学友たちからの刺激と、世界的な頭脳を持つ教師と、実際の問題解決に時間を使うことだ、と理解している。

先週大々的に報じられたHarvardとMITの共同事業であるedXは、優れた教師たちの講義をオンライン化し、それに教科書、参考書、自動化された小テスト、wiki形式のフォーラム、個人化された進捗評価などを組み合わせる。要するにedXは、MITのOpenCourseWareに、簡単なフォーラムや90年代のダイヤルアップ時代からあるようなフィードバック技術(それにScantronの発明以来どの大学にもあったもの)をくっつけたものだ。MITのOpenCourseWareはとても人気があり、これまでのビジターは1億2500万人を超える。だから新事業であるedXdも、MITの学生たちには受講スケジュールを柔軟に決めるのに便利だろうし、また外部の受講者には、しっかりした教材や、ときおりのオンラインチャットが勉強の助けになるだろう。

でも、edXのことを“印刷機の発明以来の教育の最大の変化”と呼ぶ人は、講義が多くの場合、大学のもっとも非教育的な側面であることを、忘れている。4年間の教授と研究を経て多くの学生たちは、論理的判断の基礎やコミュニケーションのスキルすらマスターしていない。学生たちは、講義で聞いたことの多くを忘れるし、試験に出た素材も2年後にはその40%しか思い出せない。講義は、実際に大学に入学してきた学生たちにほとんど何も与えないから、ましてや、まわりに互いに支え合う学友もいない、教授からの頻繁なフィードバックもない、オンラインの環境で学ぶ何百万人ものパートタイムの学生たちにとっては、なおさらだろう。

そこで先週、Stanfordの教授たちが、メディカルスクールでは講義を廃止する、という大胆な提案を行った。メディカルスクール副学部長のCharles Proberと、経営学の教授Chip Heathが、The New England Journal of Medicineにこう書いている:

“20世紀の大半において講義は、効率的な知識移転の方法であった。しかし、知識を完全にビデオで配布できる今世紀においては…テクノロジ、エンタテイメント、デザインなどすべての領域で、YouTubeが数十億のビューをサーブしTEDが数百万人にトークを届けていることに見られるように…講義はむしろ、貴重な時間の浪費ではないのか?”

そして二人が提案しているのは、学習の立体化(多面化)だ。学生は教室で教授の話を聞くだけでなく、YouTube上のKhan Academyのレクチャーを家で見たり、問題を解いたりする。学生たちは、そのアイデアが気に入ったようだ。生物化学のコースで授業内容の立体化を試したところ、出席率が30%から80%に急増した。

読者の中には、Khan Academyは世界的な頭脳と比較にならない、と思う方もおられよう。しかしProberとHeathは、ノーベル賞を受賞した物理学者のクラスと、院生たちの協力を得ながら問題を解くクラスの、1週間の実践結果を報告している。それによると、最後のテストの平均得点は、後者(講義のないクラス)74に対し、前者(ノーベル賞クラス)は41で、倍近い違いがあった。

“後者のクラスの学生たちは、ちょうどライト兄弟がキティ・ホーク号をいじくりながら学んだように物理を学んだのだ”、とProberらは説明している。革命後の組織や機関は、それまでとは似ても似つかぬものになるはずだ。でもHarvardとMITがやろうとしているのは、単に20世紀の教育をオンライン化することだ。一方スタンフォードは、“壇上の賢人”という教育の古いモデルに決別しようとしている。そして学習環境に永遠の生命(いのち)を通わせ、それを世界の情報に結びつけようとしている。

[画像出典: University of Waterloo(ウォータルー大学)。]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))