500 startupsの最新バッチプログラムがスタート、そのうちの7社を紹介

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世界中から選りすぐりのスタートアップが集まる500 startupsで、先月から新しいバッチプログラムが始まっている。このバッチプログラムは3カ月という短期間に、スタートアップの成功に必要な資金・人脈・知識をサポートするプログラムで、Googleに買収されたモバイルポイントサービスのPunchd、325万ドルの資金調達に成功している955 Dreams、日本ではあまり馴染みがないが月間28億PVを叩きだす9GAGなどを輩出していて成果を収めている。

500 startupsはよく知られているように、PayPal出身のDave McClureが創設したインキュベーションファンドで、シリコンバレーではY Combinatorと並んで、いまもっとも勢いがあるシードアクセラレーターのひとつとなっている。

500 startupsの拠点は、Google本社近くのマウンテンビューのダウンタウンにある。バッチごとに約30チームが集まり、3カ月間のプログラムがスタートする。期間中は毎日のように講座が開かれ、シリコンバレー流のプロダクトの作り方から、最新のデザイン、UI/UX、SEO/SEM情報、ファイナンスの知識、プレゼンのハウツーなどを学べる。また、メンターと呼ばれる専門家やアドバイザーがやってきて、各サービスが抱える問題を一緒に解決したり、シナジーがありそうな提携先や投資家を紹介してくれる。

メンターの顔ぶれも多彩で、exGoogleやexFacebookの幹部から、リーンスタートアップの提唱者エリック・リース、exPintarestのデザイナーで現GumroadのCEOサヒル・ラビンジアなど総勢150人を超える。


最終的には3カ月間のバッチプログラムの最後に開かれるデモデーでクライマックスを迎える。ここで、投資家やベンチャーキャピタリストの前でプレゼンを行い、出資を募るのだ。

そこで今回は取材に応じてくれた500startupsのバッチプログラムに採択された各社のサービスを紹介しよう。彼らは7月中旬に行われるデモデーに向けて、現在、日夜を問わず自分たちのプロダクトに磨きをかけているタイミングだ。

1. Bombfell

Bombfellは、普段着ている服や体型などを登録しておくと、女性スタイリストがユーザーにピッタリの服を選んで、月に1回自宅に届けてくれるサービスだ。単なるEコマースとは違い、女性視点で「イケてる服」を選んでくれ、しかも定期的に自宅に配送してくれるところが、ありそうでなかった新しい切り口といえる。

料金は月額69ドル。送られてきた服が自分の好みでなかった場合は返品が可能。返品した場合、その月の料金はかからない。返品された情報は、データベースに反映され、次回から、よりユーザー好みの服が届くようになる。テクノロジーと人力を上手に組み合わせて、マッチング精度を高めている。

2011年5月にベータ版をローンチし、2011年11月に正式版を開始してからは、ファッション系のブロガーを中心に口コミが広がっており、毎月10着以上をオーダーするヘビーユーザーもいる。

今後はFacebookやLinkedInのアカウントと連携し、職業はもとより、肌の色や体つきを見て、その人に似合う色やサイズをチョイスできるようにして、マッチングの精度をさらに高めていく。近くカナダや南米、日本にも展開予定だ。

2. Fontacto

Fontactoはメキシコのスタートアップで、中小企業向けの格安電話サービスだ。仕組み自体はGoogle Voiceによく似ていて、サービスに登録するとすぐに電話番号が取得できる。ひとつの電話番号に、所有している電話番号を5つまで設定可能だ。

活用法のひとつとしては中小企業のカスタマーサポートがある。たとえば、顧客から電話で問い合わせが来ると、登録しておいた電話番号に自動的に転送される。サポートスタッフの携帯電話番号を設定しておけば、複数人で場所を選ばず電話応対が可能となる。利用料金は毎月12ドルで、解約時期などの契約の縛りはない。

2012年2月にサービスをローンチしている。メキシコでは電話番号を取得する手続きが非常に煩雑というお国事情もあり、起業家を中心に人気を博している。先日、CNNメキシコでも注目のサービスとして取り上げられた。

現在、ウェブサイトはスペイン語のみに対応しているが、近いうちに英語版にも対応する予定。中南米への進出も検討中だ。

3. Tie Society

Tie Societyは男性用ネクタイのレンタルサービス。サイトにログインすると、自分だけの“オンラインクローゼット”があらわれる。いま借りているネクタイが視覚的に分かるインターフェイスが秀逸だ。数あるネクタイの中から自分が気に入ったネクタイを入れておくと、3営業日以内に自宅にネクタイが届く。別のネクタイを借りたくなった時は、自分の手元にあるネクタイを返送し、「オンラインクローゼット」に新しいネクタイを入れておけば、追加の費用はかからず、何回でもネクタイをレンタルできる。送料もかからない。

気になる料金は、1本で10.95ドル、3本で19.95ドルと、必要な数に合わせてプランを選べる。

現在、アメリカ国内のみで展開しているが、特に地方の利用者が多いとのこと。今後はホワイトカラーのビジネスパーソンが多い日本への進出も検討している。

4. Timbuktu

イタリアの女性二人組がはじめたTimbuktuは、iPadの子ども向け教育雑誌アプリだ。2010年秋にローンチし、現在までに5万ダウンロードを超える人気アプリに成長している。今年の2月に、バークレーで行われた2012 Italian Innovation Dayでスタートアップの最優秀賞にも選ばれた。

幾何学的な模様や鮮やかなデザインがひときわ目を引く絵本のストーリーは完全オリジナル。時計をタップするとカチカチと時計を刻む音が聞こえたり、水たまりをタップすると水滴音が鳴る。iPadならではのインタラクティブ性を活かした機能が、親子にウケているのだそうだ。世界的に著名なデザイナーのEmiliano PonziやAndrew Kolbとコラボレーションした作品もある。

現在、対応している言語は英語のみだが、ダウンロード数はアメリカの次に日本が多いとのこと。急ピッチで多言語対応を進めているほか、定期購読や朗読機能などの付加機能でマネタイズを図る予定だ。

5. Yogome

メキシコ発のYogomeは、リサイクルや環境問題などを学べるiOS用の教育ゲームを開発しているスタートアップだ。

今年1月にリリースされたTrash Chaosは、子どもがリサイクルについて学べるユニークなゲーム。次々に流れてくる“ゴミ”をプラスチックか有機物かに分別する。ステージが上がるにつれて紙・グラス・メタルなど、分別する種類が増えていき、ステージが終わるごとに、可愛いキャラクターがリサイクルについて“ミニ講義”を行う。軽快な音楽とともに、カラフルなキャラクターがたくさん登場したりと、子どもが親しみやすい工夫が随所に散りばめられている。

2011年にローンチ後、有名なアプリ紹介サイトに取り上げられたことがきっかけで、タイの教育アプリの中で1位、アメリカでもToday’s Top10にもランクインした。

メキシコで小学校の先生をしている2人がメンバーに入っていて、すぐに小学生ユーザーの声を聞き入れられる体制がチームの強み。年末までに10個のゲームをリリース予定だ。

6. Umba Box

Umba Box は、女性向けのハンドメイド商品の定期購買サービス。厳選したアーティストのハンドメイド商品を組み合わせて、毎月箱詰めにして送ってくれる。毎月の購買料は25ドルから、いくつかのプランがある。2011年10月にローンチした。

箱の中身はジュエリーやスカーフなど、商品に複数のサイズが存在しないものが中心。メインターゲットは25歳から40歳までの女性。すでに400人を超える女性ユーザーが利用中だ。お店に足を運べない地方のユーザーや、ハンドメイド商品をゆっくり選ぶ時間がない女性たちがコアユーザーになっている。綺麗に箱詰めされて届くので、ギフトとしての利用も増えているという。

現在、対応エリアは米国のみだが、今後はイギリスへの展開や、リアル店舗の立ち上げも視野に入れている。

7. ActivityHero

ActivityHeroは子どもの習いごと教室にフォーカスしたサイト。ユーザーは習いごとの種類や期間、場所などを細かく指定をして検索できるほか、口コミランキングを使うと、お目当ての情報にすぐにたどりつける。家事や育児に追われて、時間のない母親たちの強い味方だ。

創業メンバーは女性が中心。子育てと仕事を両立しているメンバーもいる。子どもが寝ている間にパソコンで調べる母親が多いそうで、アクセスが集中する時間帯が、ほかのサイトとは明らかに異なるという。現在は、パソコン向けのWebサイトのみだが、昨年はページビューが100万を超えるなど、母親を中心に口コミで広がっている。

ビジネスモデルは教室からの広告・宣伝費。フリーミアム・モデルで、基本情報の掲載は無料だが、より詳細な情報を掲載する場合は有料となっている。当面はアメリカ国内のみが対象だが、将来的には日本も含めて海外展開を視野に入れている。

シリコンバレーのスタートアップというと、テクノロジーに特化したイメージがあるが、このようにサービス内容に目を向ければ、今回紹介したスタートアップのように、ウェブとリアルが密接に連動したO2O(オンライン・ツー・オフライン)型のスタートアップも増えている。また、これまでウェブを活用しきれていなかった、子どもや母親などの一般層をターゲットにしたサービスも目につく。この流れから日本でも、より生活に密着したサービスが増えていくと考えられる。

編集部:この寄稿はメディアジャーナリストの岩倉陽子氏(@Yoko_Iwakura)によるものだ。彼女は現在、ベイエリア、サンフランシスコで通訳もこなしている。日本ではスタートアップ企業で新規事業の立ち上げを経験していて、2年間ほど営業にも従事していた。

編集に協力してくれたアタカハジメさん(mowe, inc.)に感謝いたします。