「ネイティブ」な収益化がシリコンバレーを変える

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編集部注:Dan Greenbergは、ネイティブ・ビデオ広告会社、Sharethroughのファウンダー・CEO。DanはAdAgeの”Media Maven”[メディアの達人]に選出され、最近Forbesの”30 under 30″[今年の30歳以下30人]のリストに載った。Twitterは@dgreenberg

1000億ドルのIPOを控えたFacebookは、従来型ウェブ広告モデルを嘲笑した。Facebookは2012年の広告収入を50億ドルと予測しているが、そこにはプレロール広告も、リッチメディア広告も、ゲームも、割り込みもない。Facebookは新世代のメディア企業をリードする「ネイティブ」広告モデルの上にビジネスを築いている。ユーザーが無視することを覚えた旧態依然の割り込み広告モデルからの根本的転換である。Facebookのネイティブ収益化へのコミットメントは、これらかやってくる重大な変革の予兆だ。

Facebookのネイティブ広告

ネイティブ広告は、ブランド広告主による宣伝コンテンツをサイト自身にシームレスに溶け込ませた新しい形態の広告枠だ。ネイティブ広告枠は、サイト体験の一部をなすコンテンツであり、ユーザーに割って入るプレロールビデオ広告やページの隅にあるボックスやボタンやバナーとは異なる。Facebookのスポンサー記事は、広告業界におけるネイティブ広告の最有望株だ ― Twitter、YouTube、StumbleUponなどの主要ソーシャルメディア・プラットフォームの広告戦略や、成長著しいTumber、Spotifyなど次世代のインターネット・エリートたちの広告商品とも方向が一致している。

Twitterの広告ツイート

「ネイティブ」収益化モデルの魅力は、会社のビジネスモデル(コンテンツの生成・配信・収集)と収益モデルとの間の一貫性(サイト体験とマッチしたブランドコンテンツを配信する)にある ― Googleが、検索結果と関連のある検索広告を行うように。GoogleのAdWordsは、独自のネイティブ収益化の先駆者であり、Facebookのスポンサー記事や、Twitterの広告ツイート、YouTubeのTrueView広告ビデオ、StumbleUponの有料Discovery、ShareThroughの広告ビデオなどへの道を切り開いた。これらの例は、従来の一方向型広告形態を置き換えるべく大きく成長中のムーブメントのごく一部にすぎない。ソーシャルコンテンツサイトのCheezburgerやBuzzFeed、Gawker、The Awlなどのパブリッシャーも後に続いている。

Cheezburgerのサイト、The Daily Whatのネイティブビデオ広告

これらの企業によるネイティブ収益モデルの成功は、スタートアップ企業にさまざまな変化を引き起こした。以下に、シリコンバレーやそれ以外のスタートアップの形勢を一変させるネイティブ収益化の方法を5つあげる。

1. 今やネイティブは収益化戦略の出発点である。
FacebookやTwitterなどの会社や、 BuzzFeedなどのソーシャルコンテンツサイトにおけるネイティブ収益化の成功を、次世代の起業家たちは見過ごしていない。デジタル・ネイティブ世代にとって、彼らの出発点は、ディスプレー広告でも、ポップアップでもプレロールでもない ― 彼らの収益化の出発点はネイティブだ。すでにSpotifyがブランド付きプレイリスト導入し、Tumblrがブランドに自社記事の宣伝を許していることをご存知だろう。次世代のインターネットエリートたちは、長くて辛いディスプレー広告を全名的にスキップして、ブランドがその視聴者と自然に繋がることを可能にする商品を作りつつある。

Lionsgateは、Tumblrのネイティブ広告を使って“The Hunger Games”のプロモーションを行った。

2. ネイティブがベンチャー・コミュニティーで注目を集めている。ネイティブ収益化の価値は、ベンチャーキャピタリストの間でも注目すれている。起業家が出資者候補に、自分たちの収益化モデルはサイトの横にバナーを貼ることです、と言うところを想像して欲しい。ありえない。長期的ビジネスを目指す次世代スタートアップにとって、AdSenseはもはや選択肢でありえない。そうではなく、自サイトに独特にフィットする広告商品によるネイティブ収益化モデルのロードマップを、明確に打ち出せるスタートアップが多くのリピーターを得られる。Pinterestがサイトにバナー広告を出すところを想像できるだろうか(下図参照)。ユーザーが暴動を起こす。

Pinterestは広告のないインターフォースを提供しているが、ブランドにとっき強力な武器であるかとを証明している。

3. ネイティブは次世代の広告技術をリードする。統合されたユニークなネイティブ広告体験を提供する能力のあるサイトやアプリは無数にある、しかしそこでは未だにAdSenseその他のディスプレー広告によって収益化が行われている。なぜか。それは、その方が簡単で、直販営業が不要なため、開発者がサイト体験をできるだけ良い物にすることに専念できるからだ。これらの動機づけはパブリッシャーについてもなんら変わらないが、ネイティブ広告商品を提供する意欲は、業界がその方向へと徐々に進むことによってのみ、促進される。その結果、パブリッシャーがネイティブ広告体験を作り収益化することを可能にするテクノロジー企業が、今後大きく成長する分野になるだろう。ネイティブ収益化技術企業の新星として、ビデオ広告のSharethrough、ネイティブ広告記事のOutbrain、およびキャプチャによる広告記事のSolve Mediaなど数多く出現している。

次世代のシリコンバレー広告技術は、パブリッシャーがネイティブ広告で収益化することを可能にする。

4. 広告はもはやエンジニアにとって汚れた言葉ではない。「広告ブロッカー」を最もよく使うユーザーはシリコンバレーのエンジニアたちだ。広告は多くのエンジニアにとって魅力的な目標ではない。主としてそれは大量の広告によってサイト体験が損なわれ、ユーザーを煩わしているからだ。だから、割り込みの量を増やしたり考えなしの広告をウェブに送り込むことに、エンジニアが自分の血と汗と涙をつぎ込む動機がないことは理解できる。しかし、時代は変わりつつある ― ネイティブ収益化には、切実な技術的課題が山ほどあり、そのすべてがよいインターネットの構築につながる。広告主がユーザーを邪魔するのではなく、価値を生み出す場だ。シリコンバレーの第一線エンジニアであるKevin WeilGokul Rajaramは、FacebookとTwitterの「収益エンジニアリング」チームで働いている。


Mekanismはサンフランシスコ拠点のクリエイティブ・エージェンシー。昨年の「AdAge今年の小規模エージェンシー」を受賞した。

5. ネイティブ広告はシリコンバレーのクリエイティブ産業を活性化させる。あるブランドがネイティブ広告で成功する能力は、クリエイティブ産業がネイティブメディアのために優れたブランドコンテンツを生み出し続ける能力と密接に結びついている。広告ツイート、スポンサー記事、有料ディスカバリーはいずれも最高のクリエイティブ会社が熟知し密接に関わる、新しい形態のメディアだ。シリコンバレーでSEOの周りに育った家内産業と同じように、シリコンバレーとベイエリアにクリエイティブ・ショップが立ち並ぶのを見ることになるかもしれない。ベイエリアの革新的クリエイティブ・エージェンシーであるMekanismEVBPereira & O’DellさらにはPortal A InteractiveSeedwellなどのプロダクション・ショップは、いずれもシリコンバレーのDNAをもって一から作り上げられ、国際的広告業界の主要プレーヤーとなった。ブランドは煩わしく割り込む広告ではなく価値あるコンテンツを生み配信する、という未来のビジョンを共有することで、シリコンバレーのクリエイティブ界は、世界のデジタル広告に新しい段階の基調を打ち出そうとしている。


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(翻訳:Nob Takahashi)