このちっちゃなカードであらゆる「物」を簡単にインターネットに接続できるElectric Imp(電気の小鬼)

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本誌が追っているトレンドの一つが“物のインターネット”だ。それによって将来は、あらゆる電気/電子製品がインテリジェントになり、遠近を問わず互いに接続され、たとえば完璧なホームオートメーションというものが実現する。ただし現状の問題点はどのシステムも、各ベンダ独自のソフトやハードでネットに接続されることだ。その結果、インターネット対応の製品は異様に高いのが常態となり、しかもそれらは互いに対話ができない。

そしてそこに、Electric Impが登場する。同社の考え方は、それぞれの製品に独自のソフトやハードを盛り込んでネットに接続するのではなく、ネット接続の部分は製品から完全に切り離して、かつ、完全に汎用化普遍化することだ。同社はその汎用化普遍化を小さなチップで実装し、それを“Imp”(小鬼)というかわいい名前で呼ぶ。

ファウンダでCEOのHugo Fiennesは最初の4世代のiPhoneのエンジニアリングマネージャだった人。これにGmailを設計したKevin FoxとソフトウェアアーキテクトのPeter Hartleyが協同ファウンダとして加わっている。会社はロサンゼルスにあり、今社員は7名、ただし今後の数か月で20名に増員する。そういう成長を支えるために同社は、Redpoint VenturesとLowercase Capitalから790万ドルを調達した。

Impの外見はSDカードなんかに似ているが、その中にすでにWiFi機能と専用のプロセッサを内蔵している。そのプロセッサに対するプログラミングにより、どんな製品のどんな機能でもコントロールしてしまおう、というわけだ。Impの単価は25ドルぐらいだが、単純な抜き差しによるアップグレードやアップデートが可能だ(クラウドからの自動アップデートも可)。消費者の要求タイプ別に、最初から複数種類揃えることも可能。Impでコントロールするバージョンの製品は消費者から月額の会費をもらう、というタイプの使い方もありえるかもしれない。その場合、ミルクコーヒー一杯ぶんぐらいの月額料金で一つの家庭にImp化した製品を20種類は置けるだろう、と言う。

でも、こういう消費者レベルの料金制などを云々するのはまだ早い。いろんなハードウェアベンダが、Impによるネット接続、それによる対話とコントロールに前向きになることが先決だ。彼らへの売り込みトークは、これまでの物言わぬ製品に、1ドル足らずで強力なインターネットアプリケーションを実装できます、だろう。

しかもハードウェアメーカーは、製品に接続性を実装するために専門技術者を雇う必要がない。WiFiなどの機能をくっつけても、ほんの微々たるコストしか発生しない。要するに彼らは、Impカードを使えばよい。接続に関わるバックエンドサービスはすべて、Electric Impが面倒見てくれる。Impを埋め込んだ製品は、Webブラウザやスマートフォンからコントロールできる。そのために使用するアプリケーションは、Electric Impが提供するアプリケーションでもよいし、あるいはサードパーティが独自に作ったものでもよい。

Fiennesが昨日、アプリケーションのデモをいくつか見せてくれた。どれも、Impカードの汎用性(何(なん)にでも合う)をうまく利用している。リモートで照明をコントロールする、電気代が安い時間帯に消費電力の大きい洗濯機などを動かす、などなど。庭の土の湿り気をモニタし、それにインターネット上の天気予報情報を結びつけて、必要なら自動的に散水する、なんて使い方もある。モーションセンサーを併用すると、人が部屋に入ってきたら何々をする、異状を検出したら〜〜をさせる、などの使い方もありえる。今、うちじゅう留守のはずなのに、誰かが入ったこともネットからのアラートで分かる。朝になっても親戚の老人が起きない、あるいは、へんな時間に台所に入ったきりだ、などなども分かるだろう。

Impの利用の可能性は無限にある。とくに、リモートの接続性があると便利だけど今は製品が高価になりすぎるのでできない、という道具や機械や設備は、家庭にも会社にもたくさんあるだろう。Impはインターネットデバイスだから、個々のメーカーが勝手に実装した複数の製品をユーザ側で統合的にコントロールすることも可能だ。最初から巨額を投じて一式完全に作り、その後のアップデートは困難または不可能、という従来のフルセットタイプのホームオートメーションシステムは、いよいよ墓場行きだ。Impはソフトで動くから、アップデートはクラウドから簡単にできる。メーカーの人たちによる製品の稼働現場のモニタリングやアップデートも、これまた簡単だ。消費者が、それを知る必要さえない。

Electric Impはすでに、数社のハードウェアベンダに営業を仕掛けている。6月にはメーカーがプロトタイプ作りやアプリケーションの試験を容易に行えるためのバンドル製品も提供される予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))