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EvernoteのPhil Libinが来日して事業戦略を語る「2013年末にはIPO readyに」

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EvernoteのPhil Libin氏が来日して記者向けに同社の今後の事業戦略について語った。すでに報じられているとおり最近Evernoteは10億ドルの評価額で7000万ドルの資金調達を実現している。これは以前の資金が底をついたわけではなく、Libin氏が唱える「100年企業」を実現するために必要な資金だということだ。100年企業を目指すEvernoteの事業戦略の中でいくつか興味深い発言があったので、フォローしておこう。

1つはIPOについてだ。すでにこれだけの規模になり「最近はIPOの質問を多く受けるようになった」としながらLibin氏は、同社を2013年末にはIPOの準備が整った(IPO ready)状態に持って行きたいという。このIPO readyとは数四半期で利益が出ている状態のことで、おおよそ1億のユーザーで年間で1億ドルの売上をイメージしている。この根拠となる数字だが、Evernoteのユーザー数は2012年5月時点で3,000万ほどである。年末までには5,000万を目指すというので、2013年の1億は達成ができない数字ではないのかもしれない。

Evernoteのユーザー数は急速に伸びていて、2010年末では600万ユーザー、2011年末で2000万ユーザーとなっている。ユーザー数の国別のシェアも、日本が2位(18パーセント)で変わらないが、中国が急速に伸びてきていて現在は3位で5パーセントほどだ。Libin氏によれば年末までにはユーザー数は日本を追い抜くことになるだろうという。これには、つい最近アナウンスされたEvernoteの中国での別立ての事業「印象筆記」が牽引することになるのだろう。

IPO readyとはいえ、2013年にそれが起きるというわけではない。準備が整ったとしても現在は会社にとって上場のベストなタイミングではないというから、そこから数年時期を見ながらということになると語っている。

一方で、冒頭で述べた70万ドルの資金調達の提供先の内訳も興味深い。投資を実行した企業については、以前の記事でも明らかになっているが、この中にはLubin氏いわく”CEO Club”という起業家として一から数十億ドル規模の企業を作った起業家たちの出資がおおよそ10パーセント(総額で700万ドル程度)占めていることだ。このCEOたちとは、Salesforce.comのMarc Benioff氏、Yahoo創業者のJerry Yang氏、楽天の三木谷浩史氏、ISPなどを手がけるEarthLink設立者のSky Dayton氏、SeesmicやLe Web開催などで知られるLoic Le Meur氏、RedditやHipmunkの共同創業者のAlexis Ohanian氏だ。彼らは100年企業の考えに共感し、出資を決めているのだという。

NTTドコモ本体も出資者としてその名を連ねているが、Evernoteはドコモの海外での投資を実行する子会社のドコモキャピタルを通じてすでに資金を得て、ドコモのケータイにプリインストールされるなど事業シナジーを以前からはかっている。

ほかにもM&Aや海外戦略について述べている。たとえば、最近買収したPenultimateなどだが、今後も必要なプロダクトや技術があれば買収していくのだろう。また、海外展開も積極的で、東京、北京、モスクワ、チューリッヒで海外ブランチオフィスがあり、年内にはシンガポールにも同様の拠点を置くという。

このように、Evernoteはベイエリアの1つのスタートアップと言えないほど、すでに大きな企業となる成長のサイクルに入ったことを実感させられるが、そこには日本という市場の役割は大きかったのだろう。Libin氏は日本に強い思いがあるようで、中国のほうがユーザー数では影響力を持ったとしても、国際戦略では日本をロールモデルにすると語っている。それは、ユーザーのアクティビティやエンゲージメント、開発者やパートナーの数、有償サービスへの切り替えなどすべてのメトリクスで日本がもっと大きな数字となっているからだという。

そうそう、今日は長らく不在だったEvernoteの日本のゼネラルマネージャーに井上健氏が就任したこともアナウンスされた。井上氏は過去にネットエイジや頓智ドットの役員を務めた経験を持っている。