Google Glassのコンセプトビデオからスタートアップが学べること

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編集部注:ゲストライターNeil Patelの投稿記事。Neil Patelは、KISSmetricsの共同創業者で、QuickSprout.comにブログを開設している。

GoogleのProject Glassを紹介した動画を見た人もいるだろう。ユーザーの視野にオプションが表示され、スマートフォンを手に持たなくてもいろんなことができるサービスだ。地図で道をたしかめたり、メッセージを送受信したり、電話を掛けたりすることができる。タスクも確認できるし、自分が見ているものを映像でシェアすることだって可能だ。

すばらしいアイデアだ。テクノロジーが好きな人にはとてつもなく魅力的なアイデアだろう。だが、実際に製品が出るまでには何年もかかるにちがいない。

Googleが今の段階でこの着想を発表したのは賢明な判断だったんだろうか。スタートアップ企業も同じように宣言先行でいくべきなんだろうか。

コンセプトビデオを発表すると建設的批判が返ってくる

この時点ではProject Glassはビデオでしかない。現実味を帯びてくるのは当分先かもしれない。拡張現実の専門家は、これを実現するにはGoogleには大きな課題があると指摘している。

ならどうしてこんなに早い段階で公表したんだろうか。

フィードバックを集めたかったからだ。Googleは世間がどこをいいと思い、何に不満を感じるかを知りたかったのだ。

動画は5月19日現在1500万回以上視聴されていて、多くの人がこの製品に関心を持っていることがわかる。

だが、動画を見る程度に関心があれば買うのかというと話は別だ。

動画は、Drew HoustonがDropboxを説明した動画を発表したときと似ている。動画にコードは出てこない。画面を使ってDropboxの仕組みが説明される。

Dropboxの場合はフィードバックを集めようとしていたし、さらに重要な点として、これをもとに人がDropboxをどんな風に受け入れ、使うかを考えようとしていた。実際、Diggで反応が上がった

しかし、これ以上に大切なことは、ビデオを発表したその日に何千もの人が製品リリース時の通知送付に登録したことだ。その後登録者はさらに増えた。Drew Houstonは、Dropboxには大きな需要があることを知っていたのだ。

コンセプトビデオは人の注意をひきつける

これはイノベーションとアーリーアダプターの話だ。


製品の質を高める上では先頭のグループが重要なのに対し、製品が実際に大衆に受け入れられるかどうかを考えるには2番目にくるグループが重要だ。

だが、最初にプロトタイプビデオを出したときに、先頭を走るアーリー層からしか反響がなくても、落ち込む必要はない。低コスト路線を維持し、彼らから受けた意見を取り入れ、ビデオの第2版を公開すればいい。

とはいえ、その2本目で2番目のグループから反応がなかったら、誰も使いたいと思わないものを作ってしまったのかもしれない。

コンセプトビデオはブランドを構築する

コンセプトビデオを作るのには、先を行っている会社だというイメージを醸成するという大事な目的もある。コンセプトビデオは、自動車やiPadのように発表サイクルの長い製品を出している企業にとって有用なマーケティング戦略だ。

AppleはiPad 3ではこんな感じのコンセプトビデオを発表するだろうし、それで市場は新製品を待ち焦がれるようになる。そうしなければ存在感が薄れ、もうクールなテクノロジー企業とは思われなくなるかもしれない。

Googleがコンセプトビデオを発表したのはこれが理由でもある。

しかし、これは小規模企業にははまらない戦略であることにも注意してほしい。スタートアップが市場に投入するのが何年も先になる技術のコンセプトビデオを作ったらリスクが高すぎる。

ブランド評価を確立していないスタートアップ企業はできのいい製品をこっそり作るのが得策だ。

スタートアップ企業がコンセプトビデオを作るならいつ?

以下の条件が整えば、コンセプトビデオを作るのは有力な案になる

  • 低コストでやれるか:GoogleのProject Glassのビデオは、人手だけでも大変なコストがかかっている高品質な映像だ。だが、自分が作るものは華麗な作品である必要はない。Drew Houstonはもっと安価に目的を果たせている
  • フィードバックを受けたいか:静かにキラープロダクトを作っている段階のスタートアップ企業なら、どこかの段階で実際のユーザーから意見をとり、そこから学びたいはずだ。内々でコンセプトビデオをシェアすればその目的を果たせる。未熟な段階を世間に見せずに進めることができる。信頼できる人にテストを頼むにしても、情報を口外しない点に念押しが必要だ

では、どんなビデオを作ればうまくいくんだろうか。コツを取り上げよう。

1.視聴者を巻き込む

Google Glassのコンセプトビデオのすごいところは、ユーザーのために何ができる製品なのかをビデオの冒頭で使用者の目線で見せていることだ。

ビデオの冒頭は、自分がめがねをかけて見ているような目線のカメラワークだ。実際に製品がなくても映像で体感させる好例だ。


2.機能の利点を強調する

コンセプトビデオを作る第一の目的は、潜在ユーザー層に対してこの機能がユーザーの生活をどんなふうに変えるのかを説明することだ。だから、今よりもいいやり方だとか効率が上がるとか楽しいとか、利点がわかる例を示す必要がある。

例えばDropBoxのビデオでは、保存できるデータの例がたくさん登場し、そのあとにこれを使えばストレージに関して多くの人が感じる問題をこんなふうに解決できますよという話に進む。

3.新機能は目立たせる

既存製品の場合はどうだろうか。iPadを例に取ると、すでに多くの人が基本機能は知っている状態なわけだ。Appleがコンセプトを作る場合、必要なのは新機能を誇示することだ。

ナレーションはなくてもいい。新機能を使った動作を見せればいいのだ。2台をつなげたり、映画の立体映像を表示させたり、拡張現実キーボードを見せたりすれば伝わる。

4.ストーリーを語る

Googleのビデオが成功した理由はほかにもある。ストーリーがあったことだ。ビデオはある人の1日を追ったシンプルなストーリーだった。朝食をとり、地下鉄に乗ろうとし、友達と待ち合わせてコーヒーを飲み、恋人のためにウクレレを演奏する。その間ずっとGoogle Glassが一緒にいる。

見た人が吸い込まれる仕掛けだ。

この手法を使う場合、自分の製品がストーリーにぴったりフィットする必要がある。「なんか浮いちゃう」という感じがするのであれば、この方法はうまくいかないだろう。

5.リードをつくる仕組みを作る

最後に挙げるのは、リードの生成だ。たいていはランディングページを用意したりする。

Googleはこの点で失敗している。1400万人の閲覧者を取り逃している。リードを取得して更新情報を配布すれば、潜在顧客の数を考えたり市場性を評価したりする材料が得られただろう。

Googleのような資金力を持たないスタートアップ企業にとって、これは必須要件だ。メールアドレスを収集する仕組みを用意しておこう。

最後に

コンセプトビデオはいろんな意味ですぐれたマーケティングツールだ。だが、すべてのスタートアップ企業にとって最良の解になるとは限らない。必然性や自分の使えるリソース、やりたいことを評価する必要がある。

そのうえでやると決めたのであれば、支出を抑えて評価を高める格好の方法だと思う。活用すればキラープロダクトを育てられるかもしれない。

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(翻訳:AOL翻訳編集部)