ヨーロッパのスタートアップにはシリコンバレー文化の教育が必要だ, 一日も早く

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編集者注記: このゲスト記事を書いたJulia Szopaは、シリコンバレーのインキュベータblackbox.vcのプログラムディレクター(事業計画部長)だ。同社は主に、ヨーロッパのスタートアップの合衆国進出を助けている。

ヨーロッパのスタートアップは、シリコンバレーに来てからグローバルな事業展開のやり方を学ぶことが多い。しかしそんなとき彼らは、旧世界の間違ったルールに従うことも多い。ベンチャーリソースの乏しいヨーロッパでは、起業家たちは過剰な妥協を強いられ、グローバルな成功の可能性を秘めた優秀な企業なら決して受け入れてはならない制約や慣習に、あえて甘んじている。

シリコンバレーの土を踏むのはこれが初めて、という彼らにこれまで多く接してきて私が感じたのは、彼らの多くが一連の間違った信念を共有していることだ。プロダクトやチームがどれだけ優れていても、どれだけ仕事熱心であっても、彼らが踏むべき第一歩は、スタートアップの経営に関する考え違いから脱却することだ。

チームと会社を共有することが成功のためには不可欠

Tim Draperも最近、弊社主催のBlackbox Connectを訪れて気づいたことだが、シリコンバレーの外では共同所有という概念が誤解され過小評価されていることが多い。流動化のスケジュールを伴うストックオプションを社員たちに与えることは、彼らのあいだに、真の所有感覚と動機付けを確立するためのもっとも無理のない方法であり、プライオリティリストの最終項目に必ずあることが多い。

デンマークのように、起業家が株を社員に与えることが困難な国もある。同国の税法では、会社の株を10%足らず持っただけでも、25%を課税される。出口に際しては、彼のそれまでの血と汗の結晶の67%をデンマーク政府に取られてしまう。

ヨーロッパから来た起業家の多くが、会社の株を保有することの価値を社員たちが認識していない、と言う。豊かさよりも乏しさが文化の基調であるヨーロッパでは、何年か先に流動化できる株式などよりも、目先の利益を重視する。またスタートアップのサクセスストーリーも少ないので、株を持つことが利益をもたらすとは思えないのだ。

シードのさや取りが大きすぎるとアジリティを損なう

投資に対する出資者請求権として、ヨーロッパの投資家やエンジェルやアドバイザーたちは途方もなく大きなさやを取る。シリコンバレーでは、高名なインキュベータであるY Combinatorの場合で、11000から20000ドルのシード資金に対してさや取り分はせいぜい6〜8%だ。対してヨーロッパ各地の育成事業では、10000ドルのシード資金に対して10%を取る。シードラウンドで35%取られたという起業家にも、私はこれまで数多く会った。彼らは決して、例外的な愚か者だったわけではない。

条件が少々悪くてもシード資金がどうしても必要、というケースがあることはある。しかしそんな場合でも、投資家にそれだけ多くを取られてしまったら将来の資金調達が非常に困難になることを、理解すべきだ。

また、投資家による巨額なさや取りは、スタートアップ自身のモチベーションを損なう。起業家と投資家とのあいだに、不公平な関係が形成されるからだ。

小額の投資に対する大きな出資者請求額には、正当な理由が二つある。ひとつは、市場が小さいので大きな出口を期待できないこと。もう一つは、投資家間の競争がほとんどないので、巨額なさや取りが平気で通用してしまうことだ。でもそれらは、起業家が納得してよい理由ではない。そこまでして後進的な市場で多少の実績を上げても、それはシリコンバレーのVCたちから見て、グローバル市場への適性をかけらほども意味しない。国内市場での成功は、バレーのVCにとって出資の決め手にはならない。

だから、よくある想定: “まず地元で成功してからグローバルへ”は、必ずしも真ではない。最初からグローバルに打って出た方が正解の場合もある。ローカライズは、後回しにするのだ(シリコンバレーのスタートアップのほとんどがそうしている)。

迅速な意思決定は粗略を意味しない

Blackbox Connectで講演を頼まれたバレーのVCが、投資の完了までの期間は4週間、という話をすると、聴衆たちは、とても信じられないという表情をする。なんでそんなに短いのだ? 自分の国ではVCもエンジェルも話がまとまるまで数か月がふつうなのに。

バレーにおける投資家の意思決定は速い。したがって起業家たちの行動も速い。意思決定が速いことは、決して、粗略の証しではない。

小さく始めたらといって失敗から守られるわけではない

異文化からバレーにやってくる企業の多くが、スタートアップ≒失敗、という不安感をそこらにばらまく。だから彼らが売り込むプロジェクトは、最初の必要資金がとても小さい。これぐらい小額で始めれば、失敗してもそう痛くない、と彼らは考えるのだ。

しかし合衆国以外のスタートアップが理解すべきは、並んでいるオプションの中には失敗がつねに必ずあることだ。小さな失敗はたしかに痛みも小さいが、しかし安全志向の小心から大きな勝利は生まれない。グローバルなビジネスで成功するためには、シリコンバレー的な考え方が必要だ。すなわちそれは、1)意思決定を速くすること、2)できるだけ大きなリスクに立ち向かうこと、3)会社の全員に株を与えること、そして、4)成長のための投資を求めることだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))