Facebook、専用スマートフォン開発に3度目の挑戦―前途は間違いなく多難

次の記事

共有するにもほどがある―札束の写真を撮ってFacebookにアップしたらナイフを持った2人組が現れた

Screen Shot 2012-05-27 at 10.30.22 PM

Facebookはやはり間違いなく独自のスマートフォンを開発すべく3度目の挑戦をしている。Nick Biltonによれば、FacebookはiOSのデザインとエンジニアリングの担当者を片っ端からリクルートしたという。

われわれ自身もiOSまわりの人材に関して同様の現象を見たり、聞いたりしてきた。しかし噂ではスマートフォン・デザインのトップクラスの人材はFacebookで働きたがっていないということだ。しかしそれもカネ次第。上場後のマーク・ザッカーバーグはモバイル面での自社の立場を強化するためならどんな金額でも払うだろう。

しかしFacebookにスマートフォンは本当に必要なのだろうか? それについての意見はいろいろあるだろうが、重要なのはFacebookが必要だと考えているという点だ。その理由はモバイル面がFacebookの収入面での大きな弱点になっているからだ。

プラットフォーム戦争は奇妙な現象をもたらした。Facebookの脅威に対抗するためにGoogleはソーシャル・ネットワークを新たに作らざるをえなかった。今度はGoogleの優位を覆すためにFacebookはスマートフォンを作ろうとしている。両社とも自社の優位分野から出て相手の得意分野に挑戦しようとしている。私はスマートフォンを開発した経験がないからそういう野心を持つ人々を軽々に批判しようとは思わない。しかし私が取材した業界関係者のほとんどはFacebookのスマートフォンが成功する可能性についてきわめて懐疑的だった。ある関係者は「うまくいったら奇跡だ」とまで言った。

スマートフォン開発というのは容易ではない。Facebookがこれまで取り組んできたどのプロジェクトと比べても段違いに難しいだろう。Facebookの社風はハッカーウェイ、すなわち小さな改良を機敏に繰り返すというものだ。多くのプロジェクトは一夜で完成した。しかし携帯の製造は低利益率/大量生産が要求される分野だ。FacebookのCTO、Bret Taylorのモバイル・チームも前回の失敗〔HTCと提携してカスタマイズしたAndroid携帯をリリースする計画があったものの中止された〕から学んだだろうが、一朝一夕でできる事業ではない。

しかも失敗のリスクは少しも減っていない。

この種の事業はHenry Blogdeが論じているように、Facebookが今までまったく経験したことのない分野のノウハウを必要とする。したがって実際に製品をリリースするためにはサードパーティーのハードウェアメーカーと提携する必要がある。いっそ低迷しているRIMや頭打ちのHTCなどの既存有力メーカーを買収してしまえばよいという意見もあるが、ハードウェア製造のような長期的な事業はFacebookの企業文化とは相容れないので困難さは変わらないだろう。

ハードウェアの開発が失敗する理由は無数にある。しかし成功するにはたった1つの方向しかない。つまりiPhoneに比べてデザインで劣る現在のAndroidの代替としてユーザーに受け入れられるようなスマートフォンを提供できるかどうかだ。価格が150ドル以下で使い勝手が現在のAndroidより優れていればそれなりのマーケットを確保できるかもしれない(NokiaのLumiaがFacebook専用になったようものをイメージすれば近い)。

Facebookが万人に受け入れられる機能と価格を実現し、すくなくともスマートフォン市場で15%のシェアを確保してGoogleのライバルとなることができたら奇跡と呼ぶべきだろう。もっともテクノロジー業界ではもっとありそうもないことが起きてきたので不可能とはいえないのだが。

しかしFacebookがスマートフォンに進出することは既定事項のようだ。モバイル分野でのさまざまな動き、AppleのiMessage、TwitterのiOSへの統合、AdroidとGoogle+などを考えるとソーシャル・コミュニケーション・ツールの支配的存在というFacebookの地位も将来にわたって安泰というわけにはいかない。Facebookも困難は承知でスマートフォン市場に参入するのだろう。問題はそれがいつになるのかだ。

Facebookのモバイル開発チームの現状は詳しく知らないが、彼らは2010年にMicrosoftが発表したKinが503台しか売れなかったという失敗を教訓にすべきだろう。 ださいデザイン、使いにくいプラグインなどを避け、Instagram、Messenger、Camera、Events、Facebook Gamesのようなユーザーの多い本流のアプリに集中する必要がある。それに何よりもFacebookが他のプラットフォームよりも格段に使いやすくなっているのでなければ意味がない。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)