歴史を振り返る:Microsoftにより買収されたYammer。スタートは「社内ツール」の立場からのスピンアウト

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yammer企業向けソーシャルネットワークを構築してきたYammerMicrosoftに12億ドルで買収されたニュースはお聞き及びだろう。素晴らしいニュースだと思うが、このYammerもスタート時から将来を約束された、光り輝くプロダクトであり続けたというわけではなかった。

そもそも、Yammerは外部に対して商品として提供しようなどと考えられてはいなかったのだ。当初は系図関連サービスを展開するGeniの内部向けツールとして生まれたのだった。社内で業務の進捗などを伝え合うために利用されたのだ。しかしすぐにGeniの共同ファウンダーであるDavid Sacksが、開発したコミュニケーションツールが他の企業の人たちにとっても非常に便利なものになるだろうと気付いた。そして、スピンアウトする形でYammerが誕生したのだ。指揮はSacksがとることとなった(しかし当時はGeniとの結びつきも深いものであったと、現在のCEOであるNoah Tutakがメールで教えてくれた)。

TechCrunchとしては、Yammer誕生の頃から一緒に時を過ごすことができたのを光栄に思う。Yammerが公式にスタートしたのは2008年9月、TC50の場においてのことだった。TC50というのは当然ご存知頂いていると思うが、TechCrunchが開催していたカンファレンスの名称だ。現在では年に2回のDisruptというイベントに変化している。TC50の場にはDavid Sacksその人が姿を現し、初めての一般向けデモを行った。企業内で用いるプライベートなTwitterという位置づけで説明を行なっていた。当時の説明を振り返っておこう。

私たちは組織内でこの6ヵ月ほどこのプロダクトを使ってきました。あまりに素晴らしい製品に育ったので、プロダクトのための独立企業を作ることにしたのです。それがYammerです。外部向けプロダクトとして提供することになり、みなさんにもこの素晴らしい製品を使って頂けるようになりました。

デモの様子はビデオにも残っている。Salesforce CEOのMarc Benioffもジャッジとして登場している。


ここでデビューしたYammerに対する評価は非常に高いものだった。結局、その年のTC50にて優勝を果たすこととなった。Erick Schonfeldが最初の記事を書いてYammerを紹介している。記事には次のようにある。

これは社内限定の非公開のTwitterである。参加するために大学のメールアドレスが必要だった初期のFacebookのように、Yammerは会社のメールアドレスを持っている人が参加できる。

Twitterと違って実はYammerにはビジネスモデルがある。社員が使うのは無料だが、ネットワークの設営、管理ツール(メッセージやユーザの削除、パスワードポリシーの設定、IP範囲の制限など)の取得などに関しては有料だ。

Microsoft CEOのSteve Ballmerによると、このボトムアップ型のフリーミアムビジネスモデルが、Microsoftを買収に向けて動き出させることになった面もあるのだそうだ。曰くYammerは「かなり、他になかなか例を見ないほどにユニークなバイラルモデルを採用していると言えるのではないでしょうか。エンタープライズという語やソーシャルという語を別々のシーンでなら何度も利用したことがあると思います。しかしYammerはエンタープライズの従業員たちの心を掴み、そこにソーシャルを実現してしまったのです。同時に導入企業のIT部門からはリスペクトを受け、利用者からは深い愛情を獲得してもいるのです」。これはプレスやアナリストを相手としたカンファレンスコールの席で発言したものだ。Microsoftによると、買収後もこの収益モデルに手を加えるつもりはないのだとのこと。

TechCrunchでもずっとYammerを利用してきたし、またオフィスもすぐ近くにあった。関係はずっと近しいものだったと言って良いと思う。まあ時に、近さ故にずけずけとものを言う関係になっていたとも言えるかもしれない。ともかく、そうした近い関係にあったわけで、Yammerが迎えたビッグイグジットを我が事のように喜んでいる(Steve Ballmerのリムジンも間近に見ることができた)。価格についてはいろんな意見があるかもしれないが、まあそれもいつものことだ(Yammerがオートリフレッシュ機能を実装しないことについてもちょっと言いたいことはあるけれど…)。いずれにせよ、何かを嫌う側にも何らかの責任があったりするものだ。そしてYammerが嫌いだと公言している人の心には、Yammerに対する深い愛情があるというケースもあるだろう。

話がわからなくなってきた。ともかくYammerには「おめでとう」と伝えたい。スタートアップ時代は終わりを告げるが、どうか親しく付き合った私たちのことも忘れないでいて欲しいと思う。

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(翻訳:Maeda, H)