10億(時間)達成:Netflix、大ケーブル会社、そしてイノベーションのジレンマ

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昨日(米国時間7/4)Netflixは、6月の総視聴時間が10億時間を超えたことを発表した。これは1契約者あたり1日約1時間ビデオを見たことを意味する。この記事で私は、Netflixを1時間見るごとに、視聴者が通常の生テレビを見る時間が1時間減ると指摘した。

BTIGのアナリスト、Richard GreenfieldがそのデータをもとにNetflixを「テレビで最も見られたケーブル・ネットワーク」であると宣言した。この比較はいくつかの理由により正確ではない。一つには一世帯あたりのNetflix契約者が共有しているアカウント数による。しかし、現在起きている関心の移行を示している。視聴者は放送やケーブルテレビを見る時間が減り、オンラインでストリームされるオンデマンド番組に移行しつつある。

最初にどこで聞いたのか忘れたが、YouTubeの製品担当ディレクター、Hunter Walkは、人々のテレビ視聴方法に関する理論を持っている。要約すればこんな感じだ。人々は一日5時間テレビを見ていて、一般にそれは3つのカテゴリーに分けられる。第一のカテゴリーは、絶対に見るテレビ番組で、これが1時間目。第二が「見られたらいい」番組でこれが2、3時間目を占める。そして最後が、基本的に時間潰しで、人々はテレビの前にいるが積極的には関与していない。

現在YouTubeとNetflixは、4、5時間目に焦点を絞り。人々の視聴時間の縁を削り落とそうとしている。そして彼らの成長ぶりをみると、どうやら成功しているようだ。彼らが、2、3時間目に介入し始めたとき、本当に面白くなる。

ケーブルテレビとイノベーションのジレンマ

一月前New Yorkerでクレイトン・クリステンセンについて読んだ時、イノベーションのジレンマを思いだした。この本を読んでからかなり時間がたっているが、記事内の略歴がクリステンセンの主張をかなりよく要約している。安価で利幅の少ない製品から始めて徐々に市場を広げ既存勢力を打破していった鉄鋼業界とミニミル技術に適用した理論だ。

どこかで聞いたようだって? Netflixには薄利のストリーミング・サービスがあり、料金の7.99ドルは人々がケーブルテレビに払う金額よりずっと安い。実際殆どの大型ケーブル会社たちは競合サービスを作ることを一笑に付した。それも当然だ。Netflixのストリーミングによる利益を、ケーブル会社がコンテンツのパッケージで得ているものと比べれば、彼らが10ドル以下の価格帯で競争しようとしない理由がわかるだろう。

そう、実はこれ、前にも見たことのあるシーンだ。ケーブルがテレビ放送に打ち勝った時だ。その昔ケーブルには500チャンネルあり、テレビには対抗できるものがなかった。大型ケーブルネットワーク、特にTurnerは基本的に『となりのサインフェルド』や『ロー&オーダー』などの番組を同時配給するだけだった。今でもそれは少なくないが、この10年間に起きていることを見てほしい。単なる「再放送テレビ」ではなく、FX、AMX、USA、そしてTNTとTBSも、独自に人気のオリジナル番組を作り始めたのだ。

新、新ネットワーク

おわかりだろうか。まもなく、Neflixはテレビの再放送を見るだけの場所ではなくなる。この会社はオリジナル番組制作に多額の投資をしていて、ケビン・スペーシーとデビッド・フィンチャーによる「House of Cards」を現在制作中だ。『Weeds~ママの秘密』のジェンジ・コーハンによる「Orange Is The New Black」、エリ・ロスのオリジナル・ホラーシリーズ「Hemlock Grove」そしてもちろん、大ヒットした『アレステッド・ディベロプメント』も帰ってくる。一方YouTubeも、100以上のオリジナル・チャンネルの制作、宣伝に1億ドル単位の予算を注ぎ込んでいる。Huluもまた海外パートナーによるオリジナル・独占コンテンツに大きく投資しており、自らを設立した放送局への依存度を減らそうとしている。

そして、これらの低価格サービスはさまざまなモバイル機器で利用できる。スマートテレビやゲーム機にも。つまりこれは、外出先と家で一番大きい画面でビデオを利用できるようになる視聴者がますます増えることを意味している。もはやNetflixを見ることは、パソコン画面を覗き込んだり、どうやってノートパソコンをテレビに繋ぐかという意味ではない。

ケーブル会社は、来るべきTV Everywhereをひっさげて逆襲しようとしているが、正直なところHBO Goを除いて、うまくやっている、というより何かをやっているところは殆どない。Time Warner傘下と少数のDisney傘下のネットワークを除いて、自前のアプリを持っていたり自前のコンテンツをケーブル会社や衛星放送会社のアプリで利用できるようにしているネットワークは多くない。TV Everywhereサービスの登場と共にニューウェーブのネットワークが出てくると私は聞いていたが、その殆どが今後1~2年かけて徐々に登場するようだ。これは、ストリーミング勢に対して伝統的ケーブルモデルを破壊する大きなチャンスを与えることになる。

大型ケーブル勢も無能ではない。彼らは報いを受ける日が近づいていることも、毎年10%の値上げが彼らの低価格サービスとの競合力を妨げるであろうことも理解している。しかし、ネットワークとの契約方法を考えると、彼らがこれに対してできることには一種の制約がある。低価格のコンテンツパッケージを試しているところもあるが、多くの場合彼らにできるのは既存のパッケージに「付加価値」をつけることであり、ビデオ・オン・デマンドやモバイル、スマートテレビなどの提供も増えている。

今後のこれがってどうなっていくのか実に楽しみだ。私は何年にもわたってこのドラマが(非常にゆっくりと)展開していくところを見てきたが、その変化の小ささに驚かされてきた。同時に私は、そこには大規模な破壊のチャンスがあると思っているし、Netflixのようなプレーヤーがプライムライムに食い込んでくるのは時間の問題だと信じている。たぶんそれは「必ず見る」1時間目ではなく、2、3時間目になるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi)