子どもたちに物作りの楽しさを体験させるスタンフォード大のSparkTruckプロジェクト

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sparktruck

アメリカの学校には、児童生徒が課外活動などで自由に使える工具や工作機械などがない。予算もないし、またそういうものを持たせようという発想が学校にも行政にもない。そこでスタンフォード大学の有志の学生たちが、一台のトラックにいろんな工具や機械を山のように積んで、学校めぐりを開始した。SparkTruckと名付けたそのトラックは、学校の外に作業台を作り(左画像)、児童生徒たちに最新の製造技術を体験させ、科学に積極的な関心を持つ子どもたちの数を増やしている。

今年のAspen Ideas Festivalで、これから全国巡業に出発するSparkTruckを見た教育省長官首席補佐官のJoanna Weissは、“このようなメーカームーブメント(maker movement, 製造業振興運動)は子どもたちの心に創造性を喚起する力があり、数学と科学と彼らが学んだそのほかのスキルを組み合わせると実際に何かが作れることを体験し、それによって、学校でやっていることとその現実世界での応用との関係を、自分の目の前でリアルにありありと見ることができる”、と讃辞を述べた。

協同ファウンダのJason Chuaは、こう書いている: “子どもたちが物を作ってそれを家へ持って帰ることにより、自分をメーカーとして自覚するようになり、物を作ることによって自分のまわりの世界が実際に変わることを理解し始める”。多くの児童生徒にとって科学とは教科書であり、言葉のかたまりと派手な色の画像の集まりだ。それは、試験勉強の役に立つだけだ。STEMに対する児童生徒たちの態度を調べた調査結果は、“ほとんど普遍的に、数学と科学は退屈で現実世界とは関係がないと見られている”、と述べている [PDF]。

このメーカームーブメントは、いわばレゴ(LEGO)に毛が二三本生えたようなもので、アマチュア工学の大衆化をねらっている。内容は3Dプリンタや回路基板など、子どもたちが自分でゼロから作ってその過程と結果を楽しめるものだ。

SparkTruckの効果についてスタンフォードで教育学の博士号を取ったKathayoon Khalil研究員は、SparkTruckで何かの成果を体験した児童生徒たちは、自分をビルダー(builder, 作り手, ものを作る人)として認識する比率が、それまでの39%から56%と大きく増加している、と述べた。これは心理学的な調査の結果だが、今後の彼らの行動の変化の兆候としても見なせるデータである。Khalilの推計によると、児童生徒100人のうち一人または二人が、SparkTruckを体験したことによってSTEM専攻に進むだろう、という。めざましい効果とは言えないかもしれないが、教育への介入の効果は通常この程度のものである。

さらに長期的な研究によると、ハイスクールで何かの科学研究を体験した者は、その約13%が理工系専攻に向かう。それに対しSparkTruckは、放課後のちょっとしたお楽しみだ。だから簡単で安上がりという点では、コストパフォーマンスの良いソリューションだと言える。

SparkTruckの全国巡業ガイドがここにある。

*情報開示: ぼくは政府による情報関連のカンファレンスに関してAspen Instituteのコンサル役を担当している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))