サブスクライブさせられるか否か、それがEコマース企業の問題だ

次の記事

マーク・アンドリーセン、マリッサ・メイヤーのYahoo CEO就任は「シリコンバレーにとって非常に有意義」

Screen shot 2012-07-07 at 12.15.39 PM


編集者注:
Phineas BarnesFirst Round Capitalのパートナーであり、創業後のAnd 1に参画、フィットネスゲームの会社を創業した。

私のTwitterフィードによると、サブスクリプションコマースはピークを過ぎていて、見かけ倒しのビジネスモデルばかりで、参入した企業はあちらこちらで事業を断念しているとのことだ。

サブスクリプションコマースのカテゴリーには何社かのリーダーと数多くの追随する企業がおり、フラッシュセールモデルやグループ購買との比較は適切に思える。表面上はこれら全てがただ箱にモノをつめて銀行に金を入れるだけのように見えるが、これは誤ったとらえ方だ。

Custoraのデータによると、コマース事業でのリピート顧客の生涯価値は一度だけの購入者の6倍以上だという。一度だけのお客さんをリピート顧客に変換することが、とてつもなく大きな利点をもたらすのだ。最もうまくいく手段は、単純なディスカウントよりも顧客接点を増やし、よりよいサービスを提供してロイヤリティを構築することだ。サブスクリプションサービスはここで役に立つ。

水の中には魚がたくさんいるので、サメのジャンプの話はしないようにしよう。サブスクリプションモデルの本質やそれをうまく機能させるために必要なことについて考えたとき、顧客がブランドを発見して愛用する方法を変化させる事で莫大なチャンスが見えてくる。サブスクリプション事業について問うべき本当の問題は、それは牛乳配達人やお気に入りの雑誌により近いものではないか、ということだ。


ShoeDazzleの蜃気楼

ShoeDazzleがサブスクリプションコマースを発明し、捨て去ったという人がいる。それは真実ではない。ShoeDazzleは素晴らしい企業だが、サブスクリプションコマース会社であったことは一度もない。

ShoeDazzleは、サインアップ時点で毎月40ドルの靴を買うとした登録ユーザーを1000万人以上抱えており、同事業は現在毎月500万ドル以上の売上になっていて、コンバージョンレートは1.25%だといわれている。しかし、サブスクリプションコマース事業の成功を評価する指標は月次のコンバージョンレートではなく、イニシャルコンバージョンと月次売上維持率(チャーンともいう問題)だ。コンバージョンレートが最も重要な指標ならば、事業がうまくいっていたとしても、それはサブスクリプションコマースとは言えず、月刊ニュースレターを発行する旧来のEコマース企業に過ぎない。


牛乳配達人よ安らかに眠れ-補充はコモディティ化している

私はまた補充モデルがサブスクリプションコマース領域で最も有望視されているということを読んだ。私は消費財カテゴリーであるコモディティで利便性や価格で勝負するのは自殺行為だと考えている。

こうしたカテゴリー(食品、カミソリ、オムツなど)では、顧客は多くの場合自分が欲しいものを正確に分かっていて、安かった場合以外、10回中9回は先月買ったものを繰り返し購入する。これらの商品は一定のペースで消費される傾向があり、顧客が医薬品の棚や冷蔵庫のものが不足したときに店に行かなくても済むような便利さを好むということは正しい。しかし、OrderGrooveのような会社が、顧客維持ツールであらゆるEコマースサイト向けにカタログにどんな商品も補充するそのクラス最高の「subscribe to it」を提供できるようにしていることもたしかだ。また、顧客が商品を切らした際に補充するサービスに関して、アマゾンは他のどのサブスクリプションコマース会社よりも成功している。その点Amazonプライムはすごい。モバイルアプリからワンクリックで注文すればどんな消費財も2日以内に最低価格で手に入れることができるので、利便性の軸でAmazonとベゾスを打ち負かすことは難しい。


出版を再び想像する-発見が重要だ

サンプリングが物品販売の全てであり、目新しさが失われればこれらのサイトは大きな顧客離脱やサプライヤーの疲弊に直面すると言われている。私は、発見のマジックを通じて顧客をブランドに結び付けるのが最良の方法だと言い切る。最高のサブスクリプションコマースは発見コマースとも言える。

サンプリングサブスクリプションモデルへの鍵は、価値提供がうまくいく市場を選ぶことだ。このモデルはどの領域でもうまくいくわけではない。起業家は、選択肢を知りたくて自分がものを選ぶうえでガイダンスがあることに価値を見出すような目利きの顧客がいる市場を探すべきだ。顧客トレンド(頻繁な新商品の紹介)が多くのブランド(粉砕したサプライヤーベース)の推進力となる領域で、サブスクリプションコマースモデルはマジックだ。商品そのものが即座に効果をもたらすような体験(なのでビタミン剤よりは犬のおやつがいいだろう)を提供できれば、その商品体験を購買決定プロセスのトップに押し上げられるし、高品質のコンテンツをそのプロセスに並べることで、さらに多くの利点をもたらすことができる。


顧客当たりの離脱損失を少なくする

サブスクリプションコマースで重要な指標は、毎月維持される売上金の割合(つまりサブスクサイバーの離脱率)だ。ShoeDazzleのようなオプトインモデルではこの指標を管理できないのでサブスクリプションコマースと考えるべきではない。補充と発見モデルの両方に関しては、サブスクライバーの数パーセントが毎月キャンセルしてはじめて、残りの顧客達が価格、サービスそして品揃えがニーズを満たすものだと長期的に信用する状態に達する。

しかし、発見コマースには月間売上維持に関しては莫大な利点がある。需要創出と捕捉である。

発見コマースのサービスは顧客が商品やブランドをキュレートされたサンプルから発見できるようにして、顧客に信頼され、愛されるコンテンツを作る。うまくいけば、サンプリングのサービスはロイヤリティ(サブスクライバー離脱率の軽減)を生む驚きや喜びをもたらし(顧客獲得コストを下げ)、サンプルになる商品の需要を創出する。創出した需要を捕捉する事業というのはありえそうだ。

売上の数パーセントはサブスクライバー離脱により毎月失われるが、コンバージョンレートが低くても、実際にはサブスクライバーベースの購入活動はサブスクリプション価格、正味の離脱率を十分補う高い平均月間顧客価値をもたらしうる。例えば、発見サービスがサブスクリプションを月額15ドルで提供し、これまでのEコマースのサービスでの平均購入額が50ドルだとする。もし離脱率が月10%でEコマースのコンバージョンレートが1カ月後に3%強しかない場合でも、その月の利益は100%維持される。この例では、3%以上のコンバージョンレートがあれば正味離脱率をカバーして月次売上高は成長する。


キュレートされたサブスクライバーはよく買う

毎月サブスクライバーベースでは離脱が続くが、需要を創出して捕捉できれば、サブスクライバー離脱の金銭的インパクトを帳消しにしておつりがくる。毎月存続する顧客は最も忠実かつ最も購買意欲が高い、最も情熱のある人々にどんどん変わっていく。毎月、会社は少しずつサブスクライバーのプロフィールデータを集めて、商品提供のパーソナライゼーションを改善し、発見を提供することにより、ブランドの評判での信頼を構築して需要創出を最大化していく。

サブスクリプションコマースは新しいモデルではないし、以前から一回の購買決定を反復的な購買行動に転換するという問題意識だった。反復購買をする動機が価格や利便性であれば、利益率が減少したり、昔からのEコマースのプレイヤーとの多くの競争に遭うはずだ。価格で戦うのは最下層の競争だ。もし消費者の意思決定過程でキュレートを施して商品体験を高め、古くからのEコマースの提供物を通じて創出した需要をつかめば、発見コマースを手掛ける企業は目の前に無数のチャンスを広げることができる。

[原文へ]