次世代のウェブの成功の秘密はインターフェイスとネットワーク効果にあり

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Network_effect編集部注 : Nir Eyalはスタンフォード大学ビジネススクールのマーケティングの講師であり、NirAndFar.comで心理学とテクノロジー、ビジネスに関するブログを書いている。Twitterでのフォローは@nireyalに。また以前に彼がTechCrunchに寄稿してくれた記事もある。

今、誰かがまだ誰も知らない莫大な富につながる秘密についてあれこれ研究しているとしよう。「周りの人が教えてくれないことこそ……」とPeter Thielがスタンフォード大学の彼の授業で教えるのは「あなたがどこに注目すべきか、大きなヒントを与えてくれることが実によくある」ということである。

(訳註:Peter ThielはPaypalの共同創業者の一人で現在はベンチャーキャピタリストとして活躍している)

人が明かしたがらない、あるいは明かさない秘密こそ、FacebookやLinkedIn、あるいはその他の過去10年間に大当たりした会社も含めた、Thielの最も儲かる投資の背後に共通するテーマである。Thielが語る類の真実――つまり、ほんの数年で莫大な富を生むビジネスの創造というのは、莫大な資金力を持つ人だけが手にしているわけではない。実際、次世代の偉大なテクノロジービジネスを作った人はたいてい、大きな夢、鋭い知性、そして価値ある秘密を持った、根性のある起業家であることが多い。

秘密はどこにあるのか

Thielによれば、神秘性とも呼べる秘密には2種類あるという。それは、自然界に関するものと人々に関するものだ。Thielは、前者についてはあまり現実的でないという理由から、さほど興味がないと一掃する。「超ひも理論に本当に関心のある人なんていないだろう。それが正しいとわかったところで、毎日の生活が変わるわけではないのだから。」(訳注:超ひも理論とは物質の究極の要素は粒子ではなく、ひもであるという理論、仮説。)

しかし、人々に関する神秘性は実際に応用できる。人間の振る舞いについての神秘性を理解することは、ユーザーの習性や競争上の優位性を作り出す手段であると私は考えている。神秘性は、たとえその理由がわからなくても、人々の行動する関するインサイトを与えてくれるからだ。またこの類の神秘性は、それほどお金がかけずに発見できるため、巨大企業の基礎と成りうるのだ。

かつて、収益につながる神秘性を発見するリソースを持っていたのは大企業だけだった。20世紀を通じて、GE、Dupont、ChryslerそしてIBMのような企業は、物理製品の最適な形態や工業デザイン上の規則性に大部分が隠されたインサイトを見つけることに特化してきた。こういった企業にとって、神秘性を発見するには、より良く、より安く、あるいはより速く製品を作り出す最良の方法を発見するために莫大な研究開発費が必要だった。

しかし現在では、ソフトウェアが世界を飲み込み続けているために、サービス産業は新興企業に打ち負かされている。AirBnB、DropBox、そしてSquareのような新たな企業集団が、工業デザインからではなく、インタラクションデザインとシステムデザインから得た神秘性を活用している。このような企業は、新たなユーザー行動を作り出すためにインターフェイスを設計することで従来の問題点を改善している。

インターフェースを変えよう、世界を変えよう

人々とテクノロジーとの関わり方に大きな変化が起きるときにはいつでも、利用に値するたくさんの神秘性が見つかることを期待しよう。インターフェイスを変えると、突然にあらゆる種類の行動をより簡単にすることがある。その結果、1つのアクションに必要な労力が減り、その利用が爆発的なものとなる

テクノロジービジネスにおける長い歴史を通じて、インターフェイスが変化することで行動上の神秘性を可視化するような発見が財産として築かれてきた。AppleやMicrosoftは、DOS端末をGUIにして多くの消費者が利用しやすくすることで成功した。Googleは、Yahooのような広告の多い、使い勝手の悪い競合相手と比較して、検索のインターフェイスをシンプルにした。 FacebookやTwitterは、オンラインでのコミュニケーションを容易にするインターフェイスに、新しい行動上の知見を取り入れた。どの事例においても、新しいインターフェイスによって、アクションはより簡単になり、ユーザーの行動に関して驚くべき真実が明らかになった。

ごく最近では、InstagramとPinterestが、インターフェイスの変化がもたらした行動上のインサイトに投資した企業の例であろう。Pinterestでリッチな画像のキャンバスを作成可能となるのは、最先端のインターフェイスにおける変化を利用したからであり、これによって、オンラインカタログという病みつきになる性質に関するインサイトが新たに明らかになった。Instagramにおけるインターフェイスの変化は、スマートフォンに内蔵されたカメラである。Instagramは、スマートフォンで撮った比較的低品質な写真をローテクなフィルターで素敵に見せる方法を発見した。スマートフォンでいい写真を撮ることが突然できるようになり、Instagramは新しく発見した知見を用いて、大勢のにわか写真家を獲得した。PinterestとInstagramのどちらの場合も、小さなチームが莫大な価値を生み出したが、それは困難な技術的課題を解決することではなく、インタラクションの問題を解消することで実現したのだ。

発見から優位へ

インターフェイスの変化から発見した行動上のインサイトに投資を行ったことに加え、PinterestとInstagramにはまた、共通して別の重要な特徴がある。両社は共に、ネットワーク効果を通じて固有のマーケットを支配することで、非常に高い評価を獲得した。ネットワークに加わったユーザーがそれぞれ、他のユーザーに価値をあたえるシステムとして定義されるネットワーク効果は、過去10年間における記録破りのテクノロジービジネスに関し、共通の特質となっている。

20世紀における産業の大物はさまざまなやり方、たとえば知的財産の所有、ブランド形成、コスト優位性の利用、ネットワーク効果などのような方法で競争上の優位性を築いてきた。こういった分野では、現在のたいていの若い企業はネットワーク効果ぐらいしか利用できない。というのも、インターフェイス主導のイノベーションの本質は、従来の競争優位性の多くが機能しないからである。かつて自動車やタービンを作るのに必要な巨額の投資の副産物として生まれたのが、それぞれの需要における増大するマーケットの支配そのものだった。閉鎖的な取引によって、特許の保護、ブランドの形成、設備などの固定費が増加し、これによって新規参入者が競争することを困難にしていた。

ところが現在は、コンシューマー向けのウェブ企業にこのような優位性はない。彼らは素早く習慣的に利用するユーザーを獲得し、競合相手よりも先にネットワーク効果を形成する必要がある。これが唯一の望みである。ソフトウェア開発は、規模によるコスト優位性はなく、特許は、ごちゃごちゃしているスタートアップが対応できるような制度ではないし、時期尚早にブランド形成に費用をかけることは馬鹿げている。ネットワーク効果によるビジネスで、ユーザーの日々の生活に確たる地位を築いた後に初めて、広告によるブランド形成を行うことに意味があるのだ。Twitterが最近になってNASCARとの連携を宣伝するテレビのコマーシャルに進出したことは、その好例である。

ユーザー行動に関する新しいインサイトがあふれる時代にわれわれは生きているが、長期にわたるビジネス優位性を形成する手段は限られている。今日の大きなビジネスを生み出す秘訣とは、ネットワーク効果のあるビジネスを生み出すプランをサポートすることにほかならない。ネットワーク効果による戦略なしには、その秘訣は長期にわたり価値あるものとはならない。

本論に関し、初期段階のうちに目を通してくれた、Jules MaltzJess BachmanMax Oglesに感謝の意を表す。
写真提供:byJess.netおよびNirAndFar.com

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