同性婚反対のレストラン、実は大人気―ソーシャル・メデイアという鏡には歪みがある

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ファーストフード・チェーン、Chick-fil-AのオーナーCEOが同性婚に強い反対を示したことについてテクノロジー・ブログやTwitterユーザー、大勢の市長から激しい非難の声が上がった。しかしChick+fil+Aは昨日(米国時間8/1) 記録的な売上だったと発表した。

もし私がTwitterのフィードだけを通して世の中を見ていたらChick-fil-Aはもうじき倒産し、ロン・ポールが大統領候補になり、同性婚は合法化され、オバマ大統領が負ける可能性はゼロだと信じ込んだかもしれない。

しかしTwitterは昨日、政治動向のトラッキング・ツールをリリースし、大統領選挙の行方を予測する助けとすると発表した。メインストリームメディアの多くもこの試みを大いに賞賛した。 しかし最近のソーシャル・メディア研究によれば、Twitterを使って政治動向を確実に予測することは誰だろうと絶対に不可能だということが明らかになっている。「Twitterの政治動向の予測力ははなはだ過大に評価されていると結論できる」とコンピュータ科学のDaniel Gayo-Avello教授は述べている。

この点についてはわれわれもすでに詳しく論じたことがある。しかし最近のニュースに照らしてもう一度論じておく価値があるだろう。

1. 若い世代はソーシャル・メディアで声が大きいものの、実際の影響力は小さい:2008年の選挙で30歳未満の有権者が1人も投票しなかったとしても2州を除くすべての州でオバマ候補が勝っていたという調査結果がある。つまり若い世代は結果を左右するほど投票していなかったということだ。

Chick-fil-Aを巡る保守派対リベラルの論争がもうひとつの良い例だ。 保守派はChick-fil-Aを支援するために8月1日にそこで食事すると誓った。リベラルは2日後に同性キス・デーというデモンストレーションを行った。同性キス・デーの方は好奇心もあって大いにメディアの注目を集めた。Chick-fil-Aは8月1日の大入り満員で集まったキャッシュを数えるのに忙しかったが誰も気がつかなかった。Twitterツールは人々の感情や信念を分析できるかもしれないが、人々の実際の行動を反映しているかといえばそれは怪しい。

2. 保守派の多くはテクノロジーのアーリー・アダプターではない: リベラルがTwitterで優勢なのは、ひとつには保守派の多くがテクノロジーのアーリー・アダプターではないことによっている。社会的変化を嫌う保守派は新しいコミュニケーション・ツールも好まない傾向がある。ソーシャル・メディア上で政治活動を展開したパイオニアはほぼ例外なく民主党支持者だった。最初にオンライン募金を試みたのはハワード・ディーン候補だった。オバマ候補はオンラインで選挙運動を組織した。読者投稿による大規模なブログを成功させたThe Huffington Post (TechCrunchの親会社Aolが所有)もリベラレルな主張で知られている。もちろん例外もあり、保守派のDarrell Issa下院議員は電子政府運動のパイオニアだ。しかし全体として見れば、保守的信条とリスクを嫌う習性は彼らの新しいテクノロジーの採用を遅らせる傾向がある。

Twitterの実験自体は賞賛されるべきだが、その意義に関する説明は誤解を招くものだ。「この2年間のオバマ大統領に関するTwitterの政治指数の数値はギャラップ世論調査の結果と多くの場合平行しており、さらには世論調査の動向を予測する場合さえあった」と主張しているナンセンスなことを言ってはいけない

Twitterのツイートと世論調査調査の結果にはばらつきが出るのは当然だ。どちらも国民が実際に信じていることとは大きくかけ離れた結果を出すことがある(だからこそNew York Timesの大統領選挙ページのような優れた分析は多数の調査の平均を取っている)。ある時点のツイートがその後の世論調査の変化に一致するように見えることが起きるのは統計学的にいって確実だ。しかしわれわれはツイートのどの部分が正しい予言なのか知ることができない。つまりそうした情報にはさしたる意味がない。

一言でいえば、Twitterの政治指数( Political Index)は大掛かりだが欠陥の多いオモチャにすぎない。もっと誠実なアプローチはNate SilverがNew York Timesやっているように指数を計算するアルゴリズムを公開して広く議論を受け入れることだ。いずれにせよ、ソーシャル・メディアのおしゃべりから現実についての正確な情報が得られる方法が発見されるまでは、ソーシャル・メディア上で同性婚賛成のツイートやリンクの数がいくら多くても同性婚反対の有権者の方が多いことを知っても驚くべきではないだろう。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+