創業者CEO諸君、まず自分をクビにせよ

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編集部: この記事の寄稿者、Joe KrausはGoogle Venturesのパートナーとしてモバイル、ゲーム、ローカル・サービスのスタートアップへの投資を行っている。Krausは1993年に初期の検索エンジン、Excite.comを共同で創立した。2004年にはJotSpotというwiki企業を創立し、2006年にGoogleに買収された。ブログは JoeKraus.com、Twitterは@jkraus

会社の創立が初めてのCEOにとって一番難しい問題は会社が成長を始めたときに自分がどんな役割を果たすべきかを正しく認識することだろう。

ファウンダーであろうとなかろうとCEOには誰でも得意分野がある。セールス、プロダクト、プログラミング、財務、等々だ。その分野で過去に実績を挙げてきたか、そうでなくても自分のビジョンや洞察に一番自信が持てる分野といってもよい。スタートアップの創立当初、CEOはあらゆる分野の職務をこなさなければならない。しかし惰性の力は大きいので、そのままのやり方を長く続けることになりがちだ。

創立時にプロダクト・デザインを得意としていたCEOはいつまでもプロダクト・デザインを自分でやり続ける。CEOが実際にプロダクト・デザインが優秀だったとしよう。プログラマーを何人か雇った後もCEOは自分でプロダクト・デザインを続けるだろう。企業が成長を始めると、もっといろいろな分野の人材が必要になる。CEOはたとえば事業開発の責任者が必要だと気づく。続いてマーケティングやセールスの責任者も採用するだろう。しかしCEOは自分の得意分野を最後まで人に任せようとしない。プロダクト・デザインが得意なCEOはプロダクト・デザインの責任者を採用しようとしない。

創立CEOが自分の得意分野にしがみつくのにはいくつかの理由がある。

1) 評価基準が厳しい。自分なりの非常に高い基準を設定している。そしてそれができる人間が自分以外にもいるということをなかなか信じない。
2) 自分ができることを人にやらせるために高い金を払う気になれない。
3) 自分がプロダクト・デザインの責任者を務めているために生じる機会損失は認識が難しい。
4) 才能ある専任者がフルタイムでその職務に当たった方が、CEOがさまざま職務の合間を縫って当たるより良い結果を出せるということに気づかない。
5) 自分の得意分野を手放してしまうと自分の会社への貢献に自信が持てなくなりそうで怖い。

ファウンダー、CEOがいつまでも自分の得意分野にしがみついているのは会社にとって往々にしてマイナスである。極論に聞こえるかもしれないが、CEOは自分が果たしている職務分野を片端から切り捨てて、50%の自由時間を作るように努力しなければならない。

なぜそうしなければならないのか? 2つの重要な理由がある。

1. ファウンダー、CEOには会社のビジネスのすべての側面を頭の中に入れているごくわずかな人間の1人だ。創立の経緯を知っている。そもそも会社をスタートさせることとなったもともとのビジョンを知っている。会社をスタートさせた後の数々の失敗やミスを知っている。プロダクトを作るにあたっての意思決定の理由と過程を知っている。おそらくはユーザーについても、その性格、好み、反応などを誰よりよく知っているだろう。

これこそがファウンダー、CEOが余人を持って代えがたい理由だ。この点にこそファウンダー、CEOの最大の付加価値がある。

2 会社のビジネスについて余人を持って代えがたい包括的な知識を持っていたとしても、それを活かすためにはなんとしても考える時間が必要だ。会社がどこへ行こうとしているのか、どこへ行くべきなのかを熟考しなければならない。本を読む時間も必要だ。ユーザーと対話する時間も必要だ。新しいチャンスをつかみとるためにも時間が必要だ。

自由時間は計り知れないほどの価値を持つ(同時にその価値は計り知れないほど過小評価されている)。CEOに常に自由時間があり、それを利用して会社の将来を考えられるというのはいくら強調しても足りないほどすばらしいことだ。

ビジネスのすべての側面が頭に入っていて、50%の自由時間があれば―

1) 新しいビジネス・チャンスをいち早く認識することができる。自由時間があれば、市場の新しいトレンドを吸収し、共感する余裕ができる。読んだり、聞いたりした情報を咀嚼し、関連する広く可能性を探ることによって、新しい大きな機会をライバルより早く発見することができる。

2) ビジネスをどのように成長させていくべきか、数年単位で長期的に考えることができる。特定の職務分野に縛り付けられていてはそうはいかない。.

3) 自分の会社には潜在的にどんな危険があるかを考えることができる。

4) 自分のプロダクトではなくビジネスについて考えることができる(プロダクト指向のCEOは往々にしてこの2つを混同する)。

5) 適正な人材をそれぞれぞれの職務分野の責任者に配置しているかどうか考えることができる。

そういうわけで私はすべてのファウンダー、CEOに「どうしたら50%の自由時間を作り出せるか?」と自問するよう強く勧める。まずは (a)CEOが自由時間を得ることがいかに組織にとって価値があるかを十分に認識し、(b)適正な人材を採用して自分がやっている職務を代替させる、という2点が必要になるだろう。

ファウンダー、CEO諸君、さまざまな個別職務から自分をクビせよ。やってよかったと実感するはずだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+