インドが35ドルのタブレットを最へき地にまで配布–教育格差の解消を目指す

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インドの全児童生徒に配布されるというタブレットAakash UbiSlate 7Ciを、本誌は入手できた。この超低価格のタブレットにより、児童生徒のインターネット接続を日常化することがねらいだ。これまでも、低価格コンピュータによる世界の情報格差の解消、と謳うプロジェクトはいくつかあったが、インターネット接続がない、国の補助などがない、などの理由でどれもうまくいかなかった。このインドの35ドルタブレットはWiFiを標準装備、64ドルのタイプは携帯のデータ接続を使える(月2GBで2ドル…だいたいメール25通、Webサイト閲覧25ページ、ストリーミングビデオ2分、音声チャット15分ぐらいの量)。さらに重要なのは、政府の補助によりへき地までインターネット接続が可能になることだ。へき地の子どもたちがインターネットを利用できることは、テレビの一億総白痴化番組を見られることなどに比べて、ずっと重要だろう。

このベアボーンのタブレットは、画面が7.5インチで、手の小さな子どもでも使える。前面カメラはVGA 480×640でビデオ会議などには十分、Webを閲覧する速度はiPhone並に速い(プロセッサは1 GHz Cortex A8)。ちなみにWeb閲覧の様子は、下のビデオのようになる:

昨年秋の第一号機は、頑丈でない、あまりに遅いと、不評だった。しかし今度は、ユーザビリティテストを十分にやったようだ。プロセッサも、これならどんなコンピューティングタスクでもこなせる。

最初のロットは、全国各地の大学へ行くそうだ。インドは携帯電話のユーザ(契約数)が9億で、国土の90%がGPRSによるデータ通信の圏域だ。キャリアとタブレットのメーカーDataWindとの特別契約により、この高速データ通信が月額1ドル78セントで提供される。電気のない村などでは、太陽光発電を使える。

全児童生徒がインターネット対応のタブレットを持てば、その教育効果はとても大きい。コンピュータを利用した教育に関するこれまでの良質な研究によれば、人間教師のいない生徒と、個人教授付きの生徒のあいだに、成績の有意差はない。

NewcastleのSugata Mitra教授は、インドのスラム街に監督者のいないインターネットステーションを数基、ランダムに設置し、数か月放置した。するとその地区の子どもたちは、理科と国語と算数数学の能力がめざましく上がり、実地に結果を見た評者の一人は“あまりにもすばらしすぎて、夢を見ているようだ”と語った。

合衆国では、科学者の団体Federation of American Scientistsが、3Dの没入型シューティングゲームを利用した生物学の教材を作り、実験的な授業を行った。ユーザはヒーロー役の抗体になり、悪玉ウィルスをやっつける。

“15歳の子どもたちが、蛋白質や化学信号、遺伝子調節などについて本格的な知識をどんどん吸収したのには、びっくりした”、ゲーム”Immune Attack”の作者Melanie Stegmanはそう言う。“質問も本格的で、まるで同僚の科学者たちと議論しているようだった”。

低所得国へのコンピュータの大量給付努力のさきがけとして、MITのOne Laptop Per Child事業がある。中南米諸国は数百万ドルを投じて児童生徒たちに、Nicholas Negroponte肝いりの、グリーンの蛍光色のラップトップを配布した。しかし、ほとんど全国展開をしたペルーは、あまり良い結果を得られなかった。ペルーは2億2500万ドルを投じて85万台のラップトップを供与したが、教師の準備不足のために、算数でも国語でも成果を上げられなかった。しかし、思考力や会話の能力は向上したという。

Negroponteは本誌の取材に対して、ペルーにおけるネガティブな経験は実行段階のミスだ、と言った。ウルグアイは、World Bank(世界銀行)によると、すべての子どもにラップトップを配布するという偉業を達成し、ずっと良い成果を上げている。

One Laptopの粗放な経験は、しかしこのようなプロジェクトにおける‘ふつう’だ。多くのいわゆる“奇蹟の”ソリューションが、本格展開後に瓦解している。たとえば合衆国のチャータースクールでは、マスコミの賞賛とは裏腹に、本格展開後にもうまくいった例がほんとうに少ない(KIPPなど)。

だからこのタブレットの場合も、実行の段階(人的資源や教材など)とインフラと効果的なカリキュラムが、成功の鍵だ。Aakashにとって、これからの成功への道のりは急坂だ。でも成功すればインドの識字率は急激に上昇し、子どもたちが世界の知識と常時接続することにより、最貧の村にも希望が生まれる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))