“インターネットの自由”でアメリカは世界一ではない–それはなぜ?
ネットの透明性とアクセス性に関するFreedom Houseの年次報告書Freedom on the Netによると、アメリカ合衆国はインターネットの自由性に関して世界一ではない。遅くて底辺層にのみ手厚いブロードバンドと、ときおりの政府による介入があるため、合衆国の自由度は世界第二位、金メダルは強力な技術力で名を馳せているヨーロッパの小国エストニアだ。投票のオンライン化、医療記録へのアクセス、ブロードバンドの広範な普及等により、エストニアはデジタル世界における羨望の的となっている。
“合衆国は世界でもっとも接続された国の一つであるが、インターネットのスピードと費用とブロードバンドの普及ではそのほかの多くの先進国の後塵を拝している”、と報告書の合衆国に関する部分は述べている。高速インターネットへのアクセスで合衆国を上回る国は、日本、韓国、ノルウェー、スウェーデンである。また、平均ピーク速度では、香港の49Mbpsが合衆国の28Mbpsの倍近い。
合衆国議会と連邦通信委員会(FCC)は、農村地域に5億ドル近くを注ぎ込んで、Bittorrentが十分使えるようなスピードを農家に提供し、それをその他の地域の人びとはGame of Thrones〔jaWikipedia〕を海賊するために使っている。
アメリカが劣位であるそのほかの理由は:
- ISPの寡占、売り手市場。AT&T、Comcast、Time Warner、Verizonの4社がプロバイダ市場の50%をコントロールしている。
- 国土安全保障省がインターネットサイトを極秘裏に遮断することがある。たとえばヒップホップのブログがChris BrownのDeucesを海賊していると誤認された。
- 2011年にサンフランシスコ市は、警官の誤射に対する抗議活動を未然に封殺するために携帯電話を不通にした。より最近では、TwitterがOccupy Wall Streetの抗議活動家のツイートの公開を強制された。
エストニアの国民は、WiFiが広く公共化されているほかに、この小国にしてISPは200社以上あり、地球上でもっとも進んだ公共サービスへのアクセスを享受している:
- エストニア人は選挙の投票をオンラインでできる(この前の選挙では25%がオンラインで投票し、同じくオンライン投票のできるスウェーデンやラトヴィアやスイスを上回った)。
- エストニア人は医療記録にオンラインでアクセスできる。合衆国にもBlue Buttonという類似の事業があるが、対象は国のヘルスケアの受給者に限られ、今は民間保険の受給者への拡大が試みられている。
- 学童とその親は試験の成績や、日々の活動記録、宿題などにオンラインでアクセスできる。
- 企業がインターネット接続をセットアップするのに要する時間がわずか18分と言われている。
報告書原本はここで見られるが、インターネットの自由に対する劣悪な侵犯事例の記述がたいへん多い。
ありがとう: Alec Ross