Chiristian Henschel
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Apple、App Storeのガイドラインで他のアプリのプロモーションを禁止―その範囲はどこまで及ぶ?

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Appleは去る9月12日にiOSのデベロッパー・ガイドラインを改正して次のような条項を追加した。 「アプリの購入あるいはプロモーションのために、App Storeの機能と紛らわしく混乱を招くような仕方で他のアプリを表示するアプリはApp Storeへの登録を認めない。」

これは広い範囲に影響が及ぶ可能性がある変更だ。特にFreeAppADayやDaily App Dreamのように表示トップの位置を有料広告としてデベロッパーに販売しているアプリのプロモーション・アプリには死活的問題が生じかねない。

デベロッパーはアプリのダウンロード数を増やすためのプロモーションのために多額の費用を各種の代理店に支払っている。ダウンロードが増えればApp Storeのランキングがアップし、それがまたダウンロード数を増やすという循環が期待できる。そうなればプロモーションのための投資も十分に回収可能だ。すこしGoogleで検索しただけでダウンロード数を増やすプロモーションを引き受ける代理店は数多く見つかる。こうしたデベロッパーは別に不当なことをしているわけではない。毎日無数の新しいアプリが現れるApp Storeで注目を集めるのはおそろしく難しい。どんな手助けでも欲しいというのは当然のことだ。

しかしApp Storeを実力主義の世界にするというのがAppleのビジョンのようだ。もっとも優れたアプリがトップに表示されるならばユーザー体験は向上する。ユーザーの満足度がアップすればApp Storeの評判もアップする等々だ。今回のiOS 6でのApp StoreのアップデートでAppleは質の高いアプリをApple自身で詳しく紹介するという方向に動いた。逆にトップチャートの役割を従来より低めている。

私はアプリ推薦サービス、 AppHeroのファウンダー、Jordan Satokに話を聞いてみた。AppHeroは今回禁止されたアプリのカテゴリーに入る可能性がある。しかしSatokは「Appleは他のアプリを紹介するアプリをすべて禁じる趣旨ではないはず」という。 彼は「AppHeroはデベロッパーからの金銭の対価としてアプリを推薦しているわけではなく、App Storeのユーザーに価値ある情報を提供しているのだからAppleが禁止しようとしている対象には当たらないだろう」と述べた。

しかし、モバイル広告分析サービスのadevenのファウンダー、Chiristian Henschelによれば、Satokの考えは楽観的に過ぎるという。 私はHenschelと共同ファウンファーでCTOのPaul Müllerに取材したが、Henschelは「Appleは新しい規則を作ったら全面的に適用するのが普通だ。ケース・バイ・ケースで判断することはしない。だからあるアプリが何を目的としているかとかどこから収入を得ているかなどは考慮の対象にしないだろう。規則が強制され始めれば条項に該当するアプリはすべて登録を拒否されるだろう」述べた。

「はっきり表現すれば、『われわれはこういうアプリは要らない』と言っているのだ。他のアプリを紹介することだけを目的にしたすべてのアプリがこの条項の対象となることは明白だ」とHenschelは主張する。

「前例から考えると、Appleは対象となるアプリをいきなり削除することはせず、アップデートを拒否するという手法を取るだろう」とHenschelは予測する。アップデートができなくなれば、OSやハードウェアが更新されるに従ってアプリが作動するデバイスは狭まっていき、そのアプリはやがて消え去るというわけだ。しかし当面App Storeから削除されはしないとしても、ビジネス上の影響はきわめて大きくなりそうだ。「何百万ドルもの売上のあるTapjoyのような会社にも影響が出る」とHenschelは言う。

Appleも過去にいつも規則を文字通り適用してきたわけではないが、 Henschelは「今回Appleはダウロード数にサードパーティーが影響を与えることを真剣に排除しようとしている。Appleのアプリのランク付けの基準は、プレイ時間の長さなどを考慮しているという説もあるが、依然としてダウンロード数が最大の要因だと思う。実際、Appleが今回の変更を行ったことがApp Storeでのアプリの成功を測る基準としてダウンロード数を重視していることの証拠だ。Appleはサードパーティーによってダウンロード数が左右されないようさらに抜本的な手を打ってくるかもしれない」と述べた。

今回のガイドラインの変更はユーザー体験を改善することが狙いだろうが、その効果はAppleが規則をどれほど厳密に強制していくかにかかっている。またApp Storeにアプリをプロモーションするアプリを登録しているマーケティング系企業の多くが現在、ベンチャー・キャピタルからの資金調達を計画中だと思われるが、これにも影響が出そうだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+