「iPad miniは高価に過ぎる」が間違っているいくつかの理由

次の記事

ゴリラガラス, 初代iPhoneからの大躍進: 全世界で10億のデバイスが使用

edge_hero_2xiPad miniのスペックについては、事前に多くの情報がリークされていた。したがって、人びとが一番楽しみにしていたのは、その価格ということになるのかもしれない。そして発表後、多くの人がその価格についてあれこれ意見している。Twitterストリームも329ドル(日本では28800円)からという価格設定についての話題が流れ続けている。たいていは、価格は高すぎ、Appleは市場判断を誤ったというものだ。

そうした意見を見ると、どうしても失笑してしまうのは筆者だけではあるまい。というのも、Appleが製品を投入すると、とくに新機軸の製品を発表すると、必ず価格について否定的な意見が数多く出てくるのだ。おそらく多くの方はお忘れなのだと思う。以下に、初代iPadが2010年に登場したばかりのときの意見を引いてみよう。

また、次のようなものもあった。しかし実際のところがどうだったかは、その後に起こった「事実」が証明している。

今回も、またぞろ同じような見出しがあちこちに登場してきている。こうした意見の中、どういう結果になるのかは、前回同様、少し経てばわかるのではないかと思う。それに結果を見ずとも、Appleが適切な価格設定をしていると判断できる材料はいくらでもある。

1. ブランド価値

Appleは、自身の位置付けでも、そして顧客層からの位置付けでも「プレミアムブランド」ということになるだろう。それは最新プロダクトの価格設定を見てみてもわかる。たとえばMacBook Airは999ドルからの設定で、iMacは1299ドルからとなっている。Appleの価格設定は、価格競争を繰り広げる他者のものとは全くの異次元にあるといって良い。それはつまり、Appleは価格競争に参加すらしておらず、そうしたスタンスで製品を送り出しているのだということを示しているのだ。

Apple製品の価値というのは、そのブランド自体の中に多く存している。とくにアジアの新興国市場での勢いがあるようだが、北アメリカのような成熟市場においても十分なパワーを発揮している。Appleはプレミアムプロダクトを生み出すメーカーであると目されており、今回のiPadにおける価格設定も、そうした市場からの評価に素直に応えるものとなっているのだ。iPhone 5においてもそうだったが、Appleは自社製品について高級機械式時計と同様の視点から評価させたいと考えているのだ。

2. 品質による差別化

Appleの高級ブランド戦略というのは、同社のマーケティング戦略から生まれてくるものでもある。しかしもちろんそれだけではなく、素晴らしいプロダクトを送り出し続けることで生まれるものでもある。iPad miniにも、他者から出ている小型タブレットを品質の面で圧倒的に凌駕しているという自負がある。ここにも、ノートブックやデスクトップの場合と同様、価格競争の観点はないのだ(Appleはこのやり方で業界内の(他のメンバーを圧倒している)。

iPad miniの使い勝手、デザイン、そして提供できるエクスペリエンスの面からして、他社小型タブレットとは次元の違う品質を提供できると、Appleは確信している。そういう視点こそがMacintoshを世に出した頃からのAppleスタイルなのだ。オリジナルのiPadとの比較を行うとき、iPadは全く新しい市場を切り開くものであったが、今回はむしろ遅れて参入することになることを考えるべきではないかという声もある。しかしAppleはやはり独自の観点からの戦いを行いたいと考えているのだ。より洗練されたプロダクトを提供して、他社プロダクトよりも129ドルほども多く支払っても満足してもらえるはずだと考えているわけだ。

冗談のようになってしまうが、わかりやすい比較もある。AppleのSVPであるPhil Schillerが言うように、iPadとNexus 7を比較するとホリゾンタルモードにてコンテンツ表示範囲に49%の差があるのだとのこと。そして329ドルという価格は、ちょうどNexus 7よりも49%ほど高額になっているのだ。

3. Appleはハードウェアメーカーである

Appleはハードウェアの販売を生業としている。AmazonやGoogleはハードウェアメーカーではなく、そしてもちろん両者ともにハードウェアを売って儲けようという発想を持っていない。この両者は「他の主な目的」のためにデバイスを販売しているのだ(AmazonはEコマース顧客獲得のためであり、Googleは検索広告などからの収入を増やすためだ)。これがためにハードウェア自体については利益をあげられなくてもかまわないと考えているのだ。

Appleの場合は違う。ハードウェアはきちんと利益をあげる形で販売しなければならないのだ。ただ利益をあげるだけでなく、相応の範囲の利益をあげる必要があるのだ。そこで各製品には外野からの騒音が発生するようなマージンが乗せられることになる。しかし、Appleにとって見れば、「適切な」マージンが乗せられないプロダクトなど作るには値しないのだ。

iPad miniについて言えば、品質的に納得のいくデバイスに仕上げつつ、そして自社の利益もしっかりと確保した形での価格を設定したということになるのだろう。たとえば7インチで、カメラもひとつ、そしてずんぐりした厚い筐体ということになれば、iPad miniの価格は受け入れがたいものと言えるだろうと思う。しかし実際に触って、iPad miniが何をもたらしてくれるのかを体感すれば、競合製品のことなどは考えられなくなるだろう。そして、それこそがAppleが新製品を市場に投入するやり方であると思い起こすはずだ。

高すぎると批判する人は、これまでの歴史や、そしてAppleがいかなる会社であるのかを忘れてしまっているのだと思う。しかし消費者はそうした批判の声には耳を貸さず、自身の中でのAppleプロダクトの位置付けを考えながら結論を下すことになるのだろう。プレオーダーは金曜日にスタートする。Appleがもたらした最新イノベーションに対する需要の高さが証明されることになると思っている。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)