GoogleのNexus戦略を検証する―できるかぎり安価なデバイスでインターネット接続を遍在化するのが目的だ

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New York TimesのBrian X. ChenによるGoogleのAndroid事業開発担当ディレクターの John Lagerlingに対する最近のインタビューはNexus系列のハードウェアに関するGoogleの戦略的アプローチについていくつか重要な点を明らかにした。

簡単にいえば、GoogleがNexusで実現しようとしている目標はAppleがiOSで採用している戦略とも、他のAndroidデバイスのメーカーがやろうとしていることとも全く違う。

LagerlingはNexus 4やNexus 7の特長について、スペックの優れた点ををひと通り紹介しているが、本当に重要な点は「Googleプレイにはタブレット専用のアプリがまだほとんどないが?」という質問に対する答えの中にあった。Lgerlingは質問に直接答える代わりにGoogleのNexusプロジェクト全体に対する考えを次のように説明した。

私が言えるのは、Nexus 7が、大きなスクリーンサイズを生かすAndroidタブレット向けアプリ開発へのデベロッパーの関心を惹きつけるためのきわめて強力な触媒になり得るという点だ。事実Nexus 7のおかげでそういうトレンドが起きている。

以前は、これは正直に認めざるをえないが、Androidタブレットのスクリーンサイズを十分に活用したアプリが少なかったのは事実だ。しかしiPhoneユーザーも含めてスマートフォンのユーザーというのはわれわれにとって巨大なターゲット層だ。グローバルな視野で考えるなら、iPhoneなど他のプラットフォームのスマートフォンをライバル視するだけではいけない。そうではなくて、どうやったらもっと多くの人々をモバイル・インターネットの世界に呼び込めるかを考えなるべきだ。これは大変な仕事だ。われわれが低価格をこれほど重視するのは、そのためだ。

LagerlingはAsusがNexus 7の好調な販売台数を発表したことに触れて、「Googleは販売台数を発表しない方針だし、ハードウェア提携企業にも通常、発表を許可しない」と断った上で、「Nexus 7の売れ行きは予想を上回った」と述べた。もっともGoogleの予想がおそろしく低かったかもしれないので、これだけでは本当にすばらしい売れ行きだったという確認にはならないだろうが。

いずれにせよ、GoogleのNexusプロジェクトの目的は、単になるべく多くのデバイスを売ることにはなく、高品質なモバイル・デバイスの価格を世界中の誰もが入手できるような価格に引き下げることであるのが明らかとなった。Nexus 4にLTEが実装されていない問題についてLagerlingは直接には言及しなかったが、機能と価格のバランスに関するGoogleの立場を知ると、LTEを省略したことはもっともだと思えてくる。GoogleのNexusプロジェクトはモバイル・インターネットの遍在化を目指すパイオニアの役割を担っている。最終目的は検索を始めとするGoogleの中核サービスへのトラフィックを増やし、そのビジネスからの利益を増大させることにある。その過程ではどのNexusデバイスも目を奪うようなヒット作となることは期待されていない。Googleの目的は、ユーザーがモバイル・インターネットに参加する上で重要と考えている要素についてのフィードバックを得ながら、Nexusシリーズが世界のユーザーに手が届き、かつ魅力的な製品となるよう進歩させていくことにあるわけだ。

Appleの製品は巨大な開発費を回収するためにも必ず大ヒットとなることを義務付けられている。しかしGoogleのハードウェアは市場から十分なフィードバックが得られる程度に売れればよい。Googleにはそれを支える十分なリソースがあり、提携ハードウェア企業の強力なネットワークが世界に張り巡らされている。これよってNexusを世界中で低価格で入手できる標準的なモバイル・インターネット・デバイスとするための市場での実験が可能になっている。これはハードウェアの販売によって利益を上げるべく務める伝統的ビジネス・モデルを採用するライバルたちにとっては恐るべき脅威となるだろう。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+