時代遅れの写真フィルタ競争 ― 果たして戦うべき敵は見えているのだろうか?!

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pfもう、いくつか寝ると2013年になろうという時期だ。FlickrとTwitterにも、その旨Faxで教えてあげた方が良いのではないかと思うのだがどうだろう。

と言うのもこの両者、立て続けに2010年風サービスを打ち出してきたのだ。モバイルアプリケーションをリニューアルして、なんと「フィルター」の導入を行ったのだ。そう、あの写真を加工するための「フィルター」だ。確かに双方ともに大企業であり、資金は潤沢で開発者は捨てるほどいるのかもしれない。しかしこんなものを「イノベーション」として出してくるのはいったいどういうことなのだろう。

もちろん、筆者自身もフィルターは使う。Instagramでソイラテの写真を撮ったり、樹木の写真をセピアにして遊んだりもする。大したものではないけれど、なんとなく格好良く見えるようになる。しかし何でもフィルタで加工すれば良いというものでもない。

と、遠まわしな話はやめておこう。FlickrおよびTwitterは、フィルタこそがInstagramと戦っていく上での1番の武器であると考えているようなのだ。これは、Instagramが何なのか、どうして現在のポジションを獲得したのかについて、まるっきり誤解しているからこそ出てくる発想であるように思える。

ヒント:フィルタがどうしたとか、基本的には関係ない

「フィルタこそすべて」と勘違いして失敗して消えていった写真関連サービスが、名前も思い出せないほどにたくさんある。TwitterとFlickrも、同じ間違いを犯そうとしている。実はFacebookも一度同じ過ちを犯しかけ、ぎりぎりのところで気づいてInstagramの買収へと動いた(誰も使わないことになりそうなカメラアプリケーションを公開する直前でのことだった。当然そのカメラアプリケーションは放置されている)。

間違いに向かって突き進んだサービスというのはいずれも、「Instagram現象」を「フィルタ」が理由で巻き起こされたものと誤解していたのだ。Instagramが8つのフィルタを用意していると聞けば「そんなら俺たちゃ9つだもんね」などという競争に突っ走ってしまうのだ。物事はそんなに単純ではない。

確かにフィルタというのは面白いものではある。人びとに注目させる効果は確かにある。2010年のデビュー当時、Instagramのフィルタを試してみたいと考えた人はそれなりにいたはずだ。しかしInstagramが気に入ってずっと使い続けるようになったのは、そのフィルタのせいではない。Instagramのシンプルさ、スピード、そしてさまざまな「タイミング」によってInstagramは成功をおさめたのだ。

Instagramの共同ファウンダーであるKevin Systromも、LeWebで話をした際に同様のことを言っていた。曰く、Instagramの成功には、Instagramを生み出すのに行った彼ら自身の努力の他に、iPhone 4の登場が大きな要因としてあるとのこと。iPhone 4に素晴らしいカメラが搭載されていたこともあって、Instagramが大いに広がることになったと見ている。良いタイミングで良い場所に、良いプラットフォームとなり得る良いアプリケーションを投入したということだ。

そして思い出しておこう。それは2年前の話だ。Instagramが成功した道筋というのは、既にPicplz(ああ、そうだ。名前をひとつ思い出した)などにより、完全に踏み荒らされている。多くがInstagramの跡を辿ろうとしたわけだ。しかも、それまたTwitterやFlickrなどよりはずいぶん前の話だ。賞味期限がとうにすぎた魚のような匂いがしてきそうだ。

繰り返す。2010年のタイミングでは、確かにフィルタも注目を集める役にはたった。しかし真の魅力は断じてそこにあったのではない。Instagramは誰もをフォトグラファーにすることに成功したのだ。確かにフィルタのおかげで最初の一歩が踏み出しやすくなった。写真がひどいものでも、フィルタによって若干はそのひどさを軽減することができるような気がしたのだ。ともかく皆が写真を撮るようになった。そして他の人の写真にも興味を持つようになったのだ。

そしてInstagramのパワーが炸裂することとなった。当時からさまざまな言語で利用できるソーシャルネットワークは存在していた。そこにInstagramがヴィジュアルで対話するソーシャルネットワークとして登場し、大いに人気を集めることになったのだ。

もちろん当時からTwitterには多くの人が集まっていた。写真を撮る人の多くもTwitterに興味を持った。しかし文字コミュニケーションととビジュアルコミュニケーションの間には大きな溝があるのだ。それに既存プラットフォームに画像関連インタフェースを設けるのはかなり大変なことでもあった。最終的にもTwitterはAviaryというサードパーティーと連携することでフィルタ機能を実装することとなった。Instagramは最初から写真共有機能に注力していて、当初はなんとわずか2名のチームでサービスを構築していったのだった。

集まる人数の面で言えばFlickrも大したものだ(但し何年もの間Yahooに放置されてしまい、今現在どのくらいのアクティブユーザーがいるのかはよくわからない)。そしてこちらは最初から写真を扱うためのサービスとしてスタートしている。そんな中、さすがというべきかアプリケーションもよくできているようだ。但し、FlickrがInstagramになるということはない。チャンスはあったのだが、既に自ら放棄してしまったのだ。

Facebook傘下となっているInstagramは、Twitterとは決別することを決めた。グループ別の争いは、以前から予測されていたことかもしれない。InstagramがTwitter Card機能の利用を停止したという流れからみると、Twitterはまるでこのタイミングを予知していたように感じられるかもしれない。しかし実際のところ、フィルタ機能の投入というのは「写真戦争」にとって、何ら意味のあるものではないのだ。

否、意味が無いどころではないかもしれない。TwitterやFlickrは、自分たちがいったい何と戦っているのかもよくわかっていないということを意味するのかもしれない。

[image via topherchris — and apologies to @mikeisaac for reusing my joke to him earlier]

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(翻訳:Maeda, H)