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Facebook、実名主義を守るためにドイツ匿名法と徹底抗戦へ

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ドイツ北部のある州のデータ保護長官が、市民はメディアサービスを匿名で利用できると定めた同国の法律にFacebookが違反しているとして、Mark Zuckerbergに2万6000ドルの罰金を支払うよう言い渡した。Facebookは「徹底的に戦う」つもりだ。賢明な判断である。 同サービスの実名主義を変更することは、Facebookの将来を脅かす恐れがある。偽名を禁止することによって、Facebookはスパマーを排除し、ウェブの個人認証プロバイザーとしての役割を果たすことができている。

The Guardianによると、ドイツ北部のシュレースヴィヒ・ホルシュタイン州データ保護長官、Thilo Weichertは、FacebookアイルランドおよびZuckerbergに対して、Facebookがドイツ国民に匿名による利用を許可しない場合、ドイツのプライバシー法違反により同CEOに対して2万ユーロの罰金を課すと通告した。

一方Facebookは、実名主義によって同サービスの安全性が保たれていると信じている。利用規約の第4条には「Facebookでは、利用者に実名および実在の情報を提供していただいています。」と書かれ、ユーザー登録時に本当の姓名を聞かれた際などに「虚偽の個人情報を提供」することを禁じている。

Facebookは、同社がより広範囲な欧州データ保護法および同社の欧州子会社が拠点としているアイルランドの法律に準拠していると信じている。Facebookは本件に関して、以下の声明をTechCrunch宛に送ってきた。

「適用される法律の下で匿名性について独自のポリシーを定めることは、個々のサービスの役割である。Facebookアイルランドは、欧州データ保護法およびアイルランド法下にある。当社は、今回の命令は根拠がなく、ドイツ国民の税金を無駄使いするものであるため、徹底的に戦う所存である」

Facebookの立場は、欧州法とドイツ法を戦わせようとするものだ。アイルランドのデータ保護長官は、ユーザー登録時に偽名を許さないFacebookの実名主義が、欧州のデータ保護原則にもアイルランド法にも合致しているとしている。実際同長官は、実名主義がユーザーの個人情報保護に役立っているという考えを持っている。

ある意味で、Facebookには既に匿名オプションがある。ログアウトしている状態でもサイトの一部を閲覧することは可能だ。例えば、Facebookページに行って記事を読むことができる、ただしコメントは付けられない。しかしFacebookは、この使い方をさせたがっていないようだ。それは、ログインしていないユーザーにはサイト内で広告が表示されないからだ(ログアウト画面には広告が表示されるのだが)。

Weichertの立場を擁護する人々は、反対派政治活動家や内部告発者、ストーカー被害者などはFacebookを匿名で利用する権利を持つべきだと言うかもしれない。しかし、それはあのMySpaceをダメにしたソーシャル・カオスへの危険な道のりの始まりだ。現時点でFacebookの方針はこうだ ― もしあなたが完全な匿名を望むならそれは構わない、Facebookを使わなければよいだけだ。もしこれを、Facebookの目的は個人情報を集めることだけである証拠だと言うなら、そう、これはビジネスであり、機密情報を吸い上げそのデータを活用することが、そのビジネスの拠り所である。

Facebook Real Name Help Center

仮にFacebookが繰り返し罰金を払うはめになったとしても、Wichertによるドイツ匿名法の解釈を無視することは、同社のビジネスにとって最良の選択である可能性が高い。もし、Weichertの匿名オプション提供の要求を呑めば、他の保守的な国々も同調することになりかねない。

そのような変更は同サービスを損うおそれがある。匿名によって人々の行動から責任感が失われかねない。匿名のFacebookユーザーは、暴言を吐くなど他の人々のユーザー体験を害するかもしれない。実名主義はFacebookがスパマーを排除するのにも役立つ。偽アカウントを随意に削除するための法的根拠を得られるからだ。匿名オプションは、スパマーに抜け道を与える危険をはらむ。

実名を必須にすることによって、Facebookをインターネットの個人認証プロバイダーにもなった。他のサイトはユーザーに新しいプロフィールを登録させる代わりに、Facebookの認証システムを使用できる。こうすることによって、サードパーティーは使い捨ての一度限りのアカウントによる不作法な行動を削減できる。人は、それが本名によるFacebookアカウントとそのソーシャルグラフが利用できなくなることを意味するとわかれば、攻撃的態度を取ったり利用規約を破ったりはしない。統一されたウェブ横断の認証情報によって悪用を防げるというメリットは、Facebookのコメント用ウィジェットを世界最大級のコメントシステムへと押し上げた。

広告主は、アピールする対象が作り物ではなく信頼できる生身の人間であることを知れば、もっと高く払ってもいいと考えるかもしれない。

いずれ、この実名主義はFacebookに新しい収益化のしくみをもたらすかもしれない。よってFacebookにとって最善の行動は、このドイツデータ保護長官と最後まで戦うことかもしれない。その結果がどうなろうとも、Facebookはポリシー変更を拒否すればいい。

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(翻訳:Nob Takahashi)