Sheryl Sandberg
Lean In
feminism

「ビジネスでもっと割り込め」と女性を激励するシェリル・サンドバーグの新著 “Lean In” が発売初日でAmazonのベストセラー1位に

次の記事

イーロン・ムスクのロケットが発射後、垂直着陸に成功―再利用ロケットの実現に一歩前進

leanin

FacebookのCOO、シェリル・サンドバーグの新著、Lean In: Women, Work, and the Will to Lead はアメリカ中で女性の社会的地位とフェミニズムの現状に関する議論を巻き起こしている。しかしそればかりではない。発売初日で早くもAmazonのベストセラー・リストのトップに躍り出た。

この本から上がる利益は全額がLeanIn.orgの運営資金に充てられる。これは女性の社会的、経済的地位の向上を目指す国際的なNPOで、賛否議論スタート前から戦わされている。サンドバーグの試みに反対する主張というのは、女性の地位の強化を試みる本の内容に反対というより、著者に対する反感だと思われる。裕福な家庭に生まれてハーバードで教育を受けてた女性は一般女性の現実の苦闘とは無縁だというのだろう。

しかしこれは見当はずれな議論だ。

ちなみにLean Inでサンドバーグは「女性が仕事上で控え目に振る舞おうとするのを止めるべきだ」と励ましている。そして「強引に割り込め。もっと大胆に挑戦せよ」と勧める。サンドバーグは「女性はもっと本音をぶちまけ、もっとアグレッシブにならなくてはいけない」と主張する。サンドバーグは先週末に60 Minutesに出演した際、「男の子ならリーダーシップがあると褒められるはずなのに、私は女の子だったのでbossy〔小生意気な、偉ぶった〕だと言われたものです」と述べた。

実際サンドバーグは組織の階段を登るたびに身をもって女性であるがゆえのの苦労を体験してきたのだと思う。

ただし、他のビジネス上のアドバイスと同様、サンドバーグのメッセージも全女性に向けられたものではない。このことが誤解を生む一因になっているようだ。サンドバーグのメッセージは、ブルーカラーの低所得女性労働者や誰も助けてくれる人がいないので子供の世話以外何もすることができないシングルマザーなどの置かれている状況を改善するものではない。なるほどそうした問題に注意を向けることは重要だが、だからといってLean Inの価値が減じるるわけではない。

この本が想定している読者は、少なくともある程度の所得や資産があり、自分のキャリヤ形成を真剣に考えているような女性たちだろう。その日その日の衣食住をまかなうことで精一杯の女性たちのための本ではない。だが、この本は参政権や中絶の権利のようなすべての女性に等しく関連する問題を扱っているわけではないのだ。そのメッセージがアメリカ中の全女性に当てはまらないとしてもまったく問題はない。この本が呼びかけようとしている種類の女性の幾分かでもアドバイスに従うなら、仕事上で成功する女性の割合が増えるという現実の効果があるだろう。組織のトップレベルでの男女平等の促進というのは追求するに足る重要な課題だ。

しかしこれはもっと広い範囲にわたる問題の一部に過ぎない。男性は家事にもっと「割り込む」べきだろうし、男女を問わず、家庭をもっと大切にできる環境を支える法律や公的政策が必要だ。

Lean Inはもっと早くから議論されるべきであったこのテーマに対する関心の火付け役となるに違いない。しかし議論だけでは終わってはならないだろう。

〔日本版〕 lean in あるいはlean into は字義どおりには「~の方向に傾ける」という意味。"As you walk into the wind, lean in a little bit".( 風に逆らって歩くときは少し前かがみになる。) また自転車やオートバイでカーブを曲がるときに体を傾けることもいう。 「体重をかける」から転じて 「誰(何)かに圧力をかける」という意味にも使われる。サンドバーグの著書では「もっと自己主張してトップを目指せ」という意味で使われているようだ。日本語にすれば「割り込め」というのがニュアンスとして近いかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+