オンラインの資格学歴証明をどうするか?–Mozillaが普遍的な枠組みOpen Badges 1.0をリリース

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Webを利用する学習プラットホームが急増している。教育はフォーマルな形式とカジュアルな形式の両方で行われるようになり、教室は実物教室と仮想教室の二種類になってきた。そして、教育と学習の形式のこのような多様化に伴い、卒業証書のような課程終了を公式に認定する方法にも多様化が求められている。紙に印刷された証書や免状だけでは、もはや不十分だ。でも、オンライン学習をもカバーする、本物のそして普遍的な資格認定方式を、一朝一夕で作りだすことは不可能だ。そして今、Firefoxブラウザで有名なMozillaが、この難題に挑戦している

Mozillaがこのほど立ち上げたOpen Badges 1.0は、オンラインの学習と教育を認知し証明するための新しい標準手法、を自称している。

2011年の9月にMozillaは、教育する/した側からの課程終了認知と、一般社会が見る学歴証明、という二つの課題に対応する簡単な方法の開発に着手し、Web上で共有されるデジタル学習バッジというものを作りだした。Open Badges Infrastructure Projectと呼ばれたそのプロジェクトは、最初はMozilla自身のSchool of Webcraftのためのバッジだったが、デジタルバッジの設計と実装は全社会的な課題だとすぐに悟った。

そこでMozillaが考えたのは、バッジの標準的な形式を作り、その形式に則したバッジをWebのどの教育/学習サイトからでももらえるようにし、もらったバッジを並べれば、その人の知識や過去の実績がすべて分かる、という方式だ。それによって学習と教育が、Webそのものと同じく、自由な分散形式になれるだろう。Mozillaは今日(米国時間3/14)の発表声明でそう言っているPathbriteDegreedのような既存の学歴認定サービスも、Mozillaの考え方に賛成している。

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Open Badgesはその後ずっとベータだったが、今日Mozillaは、そのオープンソースで無料のソフトウェアのv1.0を公式発表し、それにより、今後はどんな機関や団体でもこれを使ってデジタルバッジを作り、発行し、認証することができる。Mozillaのプラットホームがねらっているのは、Open Badgesで教育を表す通貨を作ること、そして学習者(生徒、学生、その他)は自分のバッジを見せることで、自分のスキルや学歴を一般に開示できる。

学習者は、これまでいろんな学習サイトから付与されたバッジの集合をデジタルの‘バックパック’に保存し、その中身をソーシャルネットワークで見せびらかしてもよいし、求職サイトに展示してもよいし、また就活の際に企業の担当者に見せてもよい。

今回のリリースの一環としてMozillaは、“発行者記章”というものも提供している。それは、学習サイトが「うちはOpen Badgesを提供しています」と表明するためのミニ看板のようなものだ。これは近い将来、埋め込み型にしたい、とMozillaは言っている。

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バッジをもらうためにはどうするか? Open Badgeのプラットホームに登録したらMozillaからWebmaker Badgeというものをもらい、バッジ用のバックパックをセットアップする。それから、Open Badgeのコミュニティを調べる。すでにOpen Badgeを実装したり準備中の組織が600以上ある。有名なところとしては、Smithsonian American Art Museum、ニューヨーク市教育部、イリノイ大学、EDUCAUSE、Gogo Labなどだ。NASAやMicrosoft、Pixarなどは。目下準備中だ。

バッジ提供者になるにはどうするか? そのためにはまず、Mozillaのドキュメンテーションを読もう。資格項目はかなり多様で細かい。Mozillaはそのドキュメンテーションの中で、バッジの発行者は “段位を登録するのではなく、単純にバッジを取得者のバックパックに送るだけだ”、と言っている。ほかに重要なのは、Open BadgesのAPIやサーバなどとの互換性の確保だ。

Mozillaはこの規格を、できるかぎり包容力の大きなものにしたいと考えている。未来の、未知の要素も包含できること。ユースケースやベストプラクティスに関して浅い印象をおぼえるのも、普遍的であつれきのない規格を願っているからだ。むしろ、バッジ取得の要件を決めるのは、個々の学校や学習サイトの側だ。厳しいものでも、あるいは柔軟なものでもよい。

バッジを取得した人は、デジタルのバックパックに入れたそれらをそのまま表示(そして管理)したり、WordPressのブログなどのWebサイトで見せたりできる。WordPressにはそのためのプラグインがあり、またTwitterでツイートもできる。このほか、サイト固有の展示方法は、今後もいろいろ現れるだろう。

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ぼくのこの記事だけでは、よく分からなかった人も多いと思うから、Mozillaのドキュメンテーションから引用しよう:

Open Badgesのフレームワークでは、複数の教育学習サイトが単一の学習者IDに対してバッジを発行し、学習者は、そうやって複数のサイトから集めたバッジをさまざまなサイトで共有できる。その場は、個人的なブログでもよいし、ソーシャルネットワーキングのチャネルでもよい。学習者が広いWebの上で自分の学習内容や目的とする認定証書を完全に自由に構想し管理できるためには、Open Badgesの規格とインフラストラクチャが完全にオープンで、誰でもバッジを発行できることが、きわめて重要である。言い換えるとそのバッジは、WebやWebの外の世界の、どこでも通用し認められる、教育の世界通貨のようなものでなければならない。

つまりMozillaのねらいは、新しい資格学歴認定方法を作るだけでなく、それをWeb全域、できれば世界全域にまで普遍化・標準化して、その人のデジタルバックパックの中身を見ればその人のスキルや過去の(公認された)実績が誰にでも完全に分かる、という状態を作ることだ。

第四の壁を壊す(主客混同)とか、客観性の喪失とか、いろいろ問題はあると思うが、ぼく自身はバッジというものが大嫌いで、Foursquareもバッジを流行らせたことで恨んでいるぐらいだ。でも今回のMozillaのバッジは、バッジというものの、とても正しい使い方ではないだろうか。それは、すでにバッジを発行しているKhan Academyなどが築いたオンライン学習の路線に、さらに力を与えるものだ。

広く共有される公的認定のためのスタンダードを、Mozillaのような、企業でなくひも付きでもないサードパーティが作る。Mozilla以外にも、inBloomが成績データの共有化を目指している。臆病な反対論者は無視しよう。教育のためには、こういうものがあった方が、良いに決まっている。なくても良い、とは言えないだろう。

詳しくは、Mozillaのブログを読もう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))