Google Readerが呼び寄せていた閲覧者たちは、永遠に失われることになるのだろうか?

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Screen Shot 2013-03-24 at 6.00.58 PM私のTwitterストリームから判断するならば、Google Readerが停止するというニュースが、過去のどのニュースよりも盛り上がるビッグニュースとなった模様だ。言うまでもなく、Googleによる終了の判断は合理的なものだ。利用者は「膨大な数」というわけにはいかず、また徐々に減少してきていた。Googleは「資源の最適分配」(More wood, fewer arrows)を目指しているのだ。

但し、Googleが合理的に判断した結果であるとは言っても、それが故に間違いではあり得ないと結論付けるわけにもいかない。

まず、Readerを使っていた人は確かに比較的少数だったのかもしれない。しかし、そうした人たちこそが、ニュースを拡散する役割を担っていたのだとも言える。たとえて言えば、Google Readerは「花」だったのだ。ニュース好きの蜂たちがやってきて、受粉させてニュースの果実を「ソーシャル」に提供していたのだ。TwitterやFacebookで拡散する話題にも「はじまり」があったはずだ。どこかから、誰かが見つけ出してきたニュースだったはずなのだ。こうした「はじまり」の多くは、Google Readerを使う「蜂」たちによるものだったと思う。

この「花」を刈り取ってしまうことで、Googleは「蜂」をも殺してしまっているのではないだろうか。Readerを使っていない人にとっても、あるいはRSSが何かすら知らない人にとっても悪いことなのではないかと思うのだ。

他にも心配要因はある。こちらの方は数値化出来るものだ。Readerを無くすことで、Googleはパブリッシャーに害を成しているのではないかということだ。Readerの停止によって、パブリッシャーの多くは規模の大小を問わずトラフィックを減じてしまうことになりそうだ。

たとえば自分のサイトについてみれば、リファラーとしてのReaderの存在感の大きさにいつも驚いている。もちろん記事のリンクをツイートしたり、Facebookに載せたりすれば、そこからのトラフィックが増えはする。しかし安定的に多くのトラフィックをもたらしてくれるのは、やはりReaderなのだ。

Readerを停止するという話を聞いたとき、Readerからのトラフィックを詳細に分析してみようと思い立った。自分のサイトだけでは状況がわかりにくいと思ったので、TechCrunchについても調べてみた。結果はいずれの場合も驚くべきものだった。Readerが7月に停止してしまえば、パブリッシャーとしてのエゴは打ち砕かれ、サイトには誰もやってこなくなるのではないかと心配したくなる。

たとえば、ここ30日についてみてみると、TechCrunchのリファラーとしてのGoogle Readerは第4位につけている。Google検索、Facebook、そしてTwitterの次に位置しているわけだ。しかもTwitterとの差はごく僅かだ。Google Reader経由の訪問者は全体の3%を超える数値となっている。

去年についてのデータも含めて計算すると、Google Readerのポジションはトップファイブから落ちてしまうことにはなる。TechCrunchの親会社であるAOLが第4位にもぐりこんでくる。ただし、Google Readerからのリファラー率は4%少々という具合に、むしろ若干増えたりもするのだ。

この3年間を対象にデータをみてみると、確かにGoogle Readerの利用者が減っているらしいことに気づく。少なくともTechCrunchの状況を見る限りにおいては、そのように結論付けることができそうだ。月間のリファラルの推移をみてみると、2010年8月のピーク時に比べて3分の1まで落ち込んでいるのだ。

しかしその期間を対象にしてみてみると、TechCrunchのリファラーとしてはReaderがNo.2の位置にいることもわかる。すなわちGoogle検索の次に位置しているのだ。Facebook、Twitter、あるいはAOLよりも多くのトラフィックを呼び込んでいるというわけだ。実のところ、TwitterとAOLを合わせたよりも多い数字を稼ぎ出している(公平を期して記しておくと、Twitterからのリファラルはt.coにまとめられるまでは少々正確性にかけるところがある)。過去3年の数値をみてみると、Readerから辿ってきた人が、全体の7%以上にも達しているのだ。

個人的なサイトであるParisLemonについてみてみると、こちらの方からは、TechCrunchとはまた異なった事実を読み取ることができる。開設して間もなく、また更新頻度も高くない頃は、Readerのリファラル数値はトップ10から落ちてしまっていることもしばしばあった。しかしこのところは読者数も増えて、Readerからの数値も上昇している。昨今はトップ5の位置にあるのだ。

即ち、小規模パブリッシャーにとって、Readerが非常に大事なものであることを示しているのではないかと思う。個人サイトの読者が増えるにしたがって、Readerの果たす役割も大きくなってきたようだ。急激な成長の大きな部分を担ってくれたのはReaderだった。しかしそれが7月には終了するわけだ。

トラフィックということについていえば、Readerを使えばサイトを訪問せずにコンテンツを読むことができたことも忘れてはならない。これはサイトに埋め込まれた広告も無視出来る手段であるとして、しばしば問題になったことでもある(もちろんRSSフィードに広告を埋め込むという手法で埋め合わせがなされていた)。すなわち、実測できる閲覧者数よりも大勢の人が、知らないうちにコンテンツを消費していたということにもなるのだ。

確かにそうした読者たちの行動に基づいてマネタイズするというようなことはできなかった。しかし確かにそうした読者たちも重要ではあった。すなわち、サイトに訪れることはなくても、Reader経由でブログ記事を読んで、その記事に対するリンクを共有してくれたりしたからだ。つまりは前出の例で言えば、そうした読者は「蜂」であったわけだ。せっせとブログ記事を消費して、Twitter、Facebook、Reddit、Hacker Newsなどさまざまな場所で記事を拡散する役割を担ってくれたりしたのだ。

GoogleはReaderサービスを停止しようとしている。ただ、この行いはReader経由の読者を失うことになるというよりも、もっと大きなマイナスを意味することになるのではないかと危惧している。

Feedlyが大人気となり、またDiggもReaderの代替アプリケーションを開発しようとしている。こうした動きを見れば、直接的なリファラルはGoogle Readerから他のプロダクトに移行することになると言えるかもしれない。しかし間接的な影響力というものをも考慮にいれると、Readerは他が代替し得ない大きなものを道連れに消え去ることになるのではないかと思うのだ。

そのような広範な影響範囲を考えないでも、ページビューのことを考えるだけでも、既存の広告配信システムに及ぼす影響が大きなものとなることは予想できる。さまざまなサイトで5%から10%程度、ページビューが落ち込むのではないかと思われる。あるいはさらに悪い結果となることもあり得るだろう。

個人的にはGoogle Readerを使わなくなって久しい。しかしGoogle Readerの停止からは大きな影響を受けることになる。蜂の世界の「いないいない病」と同様に、目の離せない現象であると思うのだ。

[image: flickr/andreas]

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(翻訳:Maeda, H)