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Disneyの今までの仮想現実の取り組み方とこれから

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Bei Yang Disney

今朝のGDCのセッションで、Walt Disneyのイマジニアリング(訳注:イマジネーションとエンジニアリングを掛け合わせた造語)クリエイティブ テクノロジー部門を率いるBei Yangは、エンターテイメント業界の大企業が仮想現実をどのように取り入れてきたかを話した。

Disneyは1980年代から仮想現実が体験できるヘッドセットの開発を行ってきたと言う。ディズニーワールドのEpcotのアトラクションや、ハードウェアとソフトウェアのどちらのプロトタイプも多数制作してきた。屋内型のテーマパークであるDisney Questでは、より深く仮想現実を体験できるアトラクションを揃えている。消費者向けのデバイスもいくつか登場したが、1990年半ばに登場した任天堂のバーチャルボーイが失敗に終わり、近年になってOculus Riftが脚光を浴びるまで頭部に装着するディスプレイへの関心は低いままだった。

イマジニアリングチームはその間も仮想現実について検討し続け、違う角度からのアプローチを試みていた。ディスプレイを頭に装着するのではなく、チームは視界に入る空間全てを高解像度のディスプレイで覆う「洞窟」を作り出すことを考えた。

仮想現実の完成形ではなかったが、「ソアリン・オーバー・カリフォルニア」のアトラクションでその体験を発表した。巨大なスクリーンに映し出されるIMAX70mmフィルムの映像の前に配置された席に座って体験する形式だ。

Soarin Over California Disney

それ以降、Disneyはモーショントラッキングと4K解像度のプロジェクションを使用するコンセプトを押し進めてきた。パリのディズニーランドでは、「レミーのおいしいレストラン」を体験できるアトラクションがある。Pixarの映画に登場するミニサイズのヒーローと同じサイズになって動くことがどのような感覚かを体験することができるものだ。

Disney VR

Yangによると、この洞窟アプローチの一番の利点は、仮想現実を体験する上で起こりやすい乗り物酔いの要因をいくつか軽減できることだと言う。ステレオスコープによる3D効果を使用するのではなく、Disneyは2Dの画像をモーショントラッキングの技術で奥行きがあるように見せることができる。これは、Amazonのファイアフォンで使用される「ダイナミックパースペクティブ」機能と似ているが、それを広範囲に適用する。

このアプローチでは、複数の人に同時に仮想現実に近い体験を提供することができる。「レミー」のアトラクションと共に、「トイストーリー」を基にしたシューティングを楽しめるアトラクションがある。ここでは、友人と空間内を動き回り、そこに登場するキャラクターや的に向かってシューティングを楽しむことができる。長年にわたりこのようなアトラクションを検証する中で、チームは乗り物酔いを更に軽減できるコツを学んだ。例えば、初期の仮想現実体験に多い、ファーストパーソンシューティングでよく見られるゼロ地点での方向転換では、映像と乗り物を連動させないといったことだ。これは、多くの人は身体の動きが伴わない左右への方向転換を頻繁に行うことに不快感があるのが分かったからだ。

この技術で最終的に目指すのは、そもそもこの洞窟アプローチのヒントを得たものを実現させることだ。それは、スタートレックに登場する「ホロデッキ」だ。DisneyのDigital Immersive Showroomと呼ばれる、最新技術を体験できるショールームは、ホロデッキに最も近いものをDisneyが提供できることが分かる。ここでは、480Hzのモーショントラッキングと複数の4Kプロジェクションにより、実際のDisneyのテーマパークにいるような感覚が味わえる。

Disney VR

このショールームはイマジニアリングの検証用で新しいアトラクションがテーマパークに設置されるとどのように見えるかを重要な人にのみ公開するためのものだ。しかしYangはキーノートの後の質疑応答で、最新の洞窟システムをより一般向けに落とし込み、今までと違う用途で提供したり、人が歩いて楽しむ形式のアトラクションとして提供したりできるよう開発を進めていると言う。

この技術が実際のテーマパークに導入されるのはまだ何年も先のことだろう。しかし大きな問題も残っている。例えば、同じシーンを複数の参加者が歩く場合、プロジェクションがそれぞれの参加者の動きを混乱せずに読み込む必要がある。どの参加者も自由に動き回れるようにする方法をイマジニアリングチームは考えなければならない。それでもやはりこれからの子供たちを羨ましく思う。仮想現実は数十年後には実現するだろう。その時私が体験してきた、大好きなDisneyの世界観がペンキで描かれている場所を歩くことが古くさいものになってしまうのは確実だからだ。

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(翻訳:Nozomi Okuma / facebook