家庭用スマートデバイスは、オタクだけでなく大衆向けにする必要がある

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家の中のデバイスがインターネットとつながることで、様々なことが可能になるだろう。しかし、そのようなスマートデバイスが一般に普及するようになるまでには、まだ多くの課題が残っているとQuirkyのCEO、Ben KaufmanはSXSWで話した。

「家具や家電をインターネットにつなげて今までにない機能を持たせることを皆が考えています。どのようにそれを実現するかを検討することは、とても面白いことです。しかしQuirkyを始め、この分野でそれを完全に成し遂げた企業はまだ現れていません」。South by Southwestの今日のイベントでAndreessen HorowitzのScott Weissとの対談でKaufmanはそう話した。

第一の課題は取り付け方法だとKaufmanは言った。箱から取り出して、コンセントに挿すだけで使えるのが理想的だが、現実はそう上手くいかない。例えば、インターネットと繋がるスマートロックを取り付ける場合、既存の錠を取り外し、ねじ穴を開け、スマートロック専用の器具を取り付ける作業が必要だ。サーモスタットをスマート化したNestでも、複数の回線とつなぐ作業が必要だ。だれもがその手間をかけてまで取り付けたいとは思わない、とKaufmanは説明した。

二つ目の課題は、端末を起動させるまでの準備だ。製品の取り付けが完了したら、今度はインターネットに接続しなければならない。今はまだWifiと繋げる方法が煩雑で、これを簡単につなげることができなければ、そこで諦めてしまう人が後を絶たないだろう。

次の問題は、バッテリーが持つ長さだ。Kaufmanは自社で開発した卵のトレーの話を引き合いに出した。彼は笑いながら、この製品は人が卵を買うよりも高い頻度でバッテリーを交換しなければならなかったと話した。もし3つのドアと窓に取り付けた25個のスマートロックのバッテリーを半年に一度は取り替えなければならないとしたら、顧客は不満に思うだろうと指摘した。

頭に留めておきたいのは、これらのスマートデバイスは、「電気のスイッチ」のような、ほぼ何のメンテナンスも必要としないものをリプレースしようとしていることだ。こうした電気スイッチのような物はバッテリーの交換やソフトウェアのアップデートをしなくても問題なく使えるのだ。

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最後の問題は、ソフトウェアの観点から、どのようにデバイスに関わり、得られた情報を有効活用して物事を効率化するかということだ。今現在、デバイスの効率を高める為には、集められたデータを見てユーザー自身が何かを変えなければならないと彼は説明した。

「一番の価値は、得られたデータで物事を可視化し、インターフェイスを限りなくシンプルにすることで得られます。今はまだ、情報を表示してユーザーに動いてもらわなければなりません。例えば、何かの月々の料金を節約する為には、12ヶ月分のデータを見て、自分で各種の設定を変える必要があるのです。データを活用して、その一連のプロセスをプログラムに落とし込むことで、手動の作業を無くすことを進めていくべきでしょう。全てを自動化するということです。」と彼は説明した。

対談の後の質問で、参加者の一人が「おばあちゃんでもデバイスを使えるようになるでしょうか?」との質問があったが、そうまでなるには、まだまだ時間が必要であるとのことだ。

セキュリティーもスマートデバイスとスマート化した家の大きな懸念の一つだ。データのプライバシーの扱い方や、ハッカーからデバイスを守るといったことだ。スマートロックはハッカーの攻撃に屈してはならないし、誰も暖房や冷房、電気使用量の情報やデバイス製造元とのやりとりを共有したくはないだろう。このようなデバイスを販売する企業はこの問題について慎重に取り組まなければならない。

Kaufmanは、小売店での教育の問題についても指摘した。DIY商品を取り扱う店舗の従業員は既存の商品の販売には長年の経験があるだろうが、新しいスマートデバイスを販売するにはそれに応じたトレーニングが必要だと話した。予算の限られているスタートアップにとって、販売員が適切に販売が行えるように教育する費用を捻出するのは難しいかもしれない。

General Electricsと提携したQuirkyは、新しい発明品が簡単に手に入るようにする為に立ち上げたと、Kaufmanは話した。ユーザーコミュニティーから意見を募り、製品を発明していくこのプラットフォームはこれまで一定の成果を上げてきた。2013年頃から、意見の大半がインターネット接続関連のアイディアで占めるようになった為、取り扱う製品をスマートデバイスに特化させた。

発明家が商品を考えたり、販売したりできる場を提供してきた同社だが、ローンチしてから1億ドルの損失を出している。

Weissは、今のスマートデバイスの状況はパソコンの黎明期と似ていると話した。誰かが趣味として作る時期は過ぎたが、まだスマートデバイスが活躍するまでは技術的なハードルをいくつか超える必要がある。煩雑なプロセスの大部分が自動化されるまでは、これらのデバイスはオタクが熱狂するだけの製品に留まるだろう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ facebook