LINEで鍵の授受も、後付型スマートロック「Akerun」が3万6000円で4月に販売開始へ

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昨年のTechCrunch Tokyoのスタートアップバトルのファイナリスト、フォトシンスのスマートロック「Akerun」が、いよいよ発売開始となる。発売日は4月23日で価格は3万6000円。予約は本日こちらからできる。

Akerunは「サムターン」と呼ばれる指でひねるドアの鍵に取り付けることで、スマホから鍵の開閉ができるデバイス。建物の中、ドアの内側につけたAkerunは、ドアの外でユーザーがかざすスマホとBluetooth通信による認証を行い、モーターによる制御で物理的に既存ロックを開閉をする。スマホによる明示的な開閉のほかにも、お出かけのときには扉が閉まったことを検知してオートロックする機能もある。内側からはスマホなしでも、Akerunに指でタッチするだけでサムターンを回して開けることができる。

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スマホが鍵となるだけでも結構便利そうだが、ネットワーク上での鍵のシェアも可能で、FacebookやLINEを使って友人や家族のスマホに対して鍵をシェアすることが可能だ。登録者の入退室はスマホのアプリ上でリアルタイムで閲覧できる。

サポートするスマホOSはiOS7以上、Android4.4以上でBLE4.0に対応する。バッテリは2年間もち、残量が減ったときにはアプリが通知したり、交換バッテリを郵送するオプションもある。

不動産の内見やホテルのフロント業務、空きスペース貸しに市場

ネットワーク上で鍵のやり取りや無効化ができることから、フォトシンスでは鍵の受け渡し業務があるホテルや不動産関連ビジネスを行う企業との提携も進めており、今日都内で行われた製品発表会では、3つの事業会社との実証実験的な取り組みを発表した。

1つは、NTTドコモ・ベンチャーズがドーミーインと4月から始める「Webチェックインシステム」。同社代表取締役社長の栄藤稔氏は、アメリカでヒルトングループが2016年までに4000の施設でスマートロックを導入するような事例をあげて「米国ではゆるかに、しかし着実に(スマートロックが)拡大している。日本でも追いつきたい」と話した。

2つめは、不動産のネクストが3月19日から足立区、江戸川区、横浜など一部地域で開始している「スマート内覧システム」。これまで不動産の内覧には内覧日時の調整や鍵の受け渡しなど煩雑な手続きが必要だったが、ネット上で鍵の受け渡しができれば業務が簡素化する。さらに「法規制の緩和を見込めば、空き家の不動産運用も簡単になる」と、発表会に登壇したネクスト代表取締役社長の井上高志氏はいう。テストは4月末まで行う。

もう1つは、三井不動産が今週以降に実験を開始する「どこでもオフィス」(仮称)だ。三井不動産は300棟のビル、80万坪のオフィス床を運用しているが、ニーズの変化に対応するためにあえて満室とせずに一定の空室率を保っているという。この空きスペースを有効に活用するために、机や椅子、無線LANなどの環境を用意することを検討しているという。

フォトシンス代表取締役社長の河瀬航大氏によれば、電子鍵市場自体は496億円程度とみているものの、鍵の開閉を高齢者見守りに使えば、この市場は132億円、ホテルのフロント業務は876億円、不動産の仲介市場は2328億円、店舗の防犯・勤怠管理市場は1263億円など関連市場は大きい。例えば、アルバイトに物理的な鍵を渡さずに済むことや退職時に鍵を無効化できること、タイムカード代わりになることなども考えられるという。

国内のスマートロック市場といえば、2014年12月にはソニーがWiLと共同で新会社「Qrio」を設立して現在製品化を進めているのが注目されている。スマートロック市場は後付け方式で立ち上がり、数年もすれば新築住宅やホテル、商業施設では標準装備となる可能性もある。とすれば、勝負は管理サービス側の作り込みと大手企業との提携数ということになるかもしれない。実証実験的な側面があるとはいえ、製品リリースと同時に大手3社と提携を発表できたことでAkerunが一歩市場をリードしているといえそうだ。

ところで、Akerunは一般的には「スマートロック」と呼ばれることが多いが、フォトシンスでは「スマートロックロボット」と自社製品を呼んでいる。これには、ドア一体型のコンシェルジュのようなものを目指しているという意図があって、今後は天気が悪いと「傘を持っていったほうがいいよ」と教えてくれたり、次の電車の時刻を教えてくれたりといったホームオートメーションの一角を担うという将来像も見据えているということのようだ。

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