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DeployGateが法人向け事業を本格化——ミクシィを飛び出してでもサービスを続ける理由

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スマホゲーム「モンスターストライク」が絶好調のミクシィ。同社は1月、スマホアプリ向けのテスト配信サービス「DeployGate」の事業譲渡について発表した。事業譲渡といっても、これまでDeployGateの事業担当者らがミクシィを飛び出して新会社デプロイゲートを設立、その新会社に事業を譲渡するというものだった。

ミクシィからスピンアウトして約3カ月、AppBroadCastとの共同サービスなども発表していた同社がいよいよ本格的に法人向けビジネスを展開する。サービスの詳細、そして起業に至る経緯や想いについて、共同創業者でCEOの藤崎友樹氏と共同創業者でCOOの安田一斗氏に話を聞いた。

法人向けサービスを正式にローンチ

まずはDeployGateそのものと、3月30日に正式リリースした法人向けの「DeployGate Enterprise」について紹介したい。

DeployGateはiOSおよびAndroidアプリ向けのテスト配信サービスだ。スマートフォンアプリは通常、App StoreやGoogle Playといったアプリストアを経由しないとダウンロードできない(しかもiOSの場合、アップルの審査が入るため数週間かかる)。だがアプリをぶっつけ本番でリリースしても、問題があったり、操作感に不満があればすぐにストアで低評価をつけられてしまうし、そこからアップデートしようにも時間がかかってしまう。これでは開発者も利用者も幸せにはならない。

だがDeployGateを利用すれば、アプリのファイルをアップロードし、生成されるリンクにアクセスするだけでアプリを配布できるようになる。インストール数や利用状況のモニタリングやログの取得も可能。これによって複数人で開発中のアプリを確認したり、クローズドベータ版を配布するといった施策が非常に便利になるのだ。

今回のDeployGate Enterpriseでは、これまでにも提供していた組織・チーム向けプランの機能を大幅に強化。開発グループや開発アプリ数の制限を取り払ったほか、詳細な権限設定も用意。開発会社と外部での共同開発などでも利用できるようにしている。価格は20アカウントで月額5万円から。すでにクックパッドやはてな、リクルート、ミクシィ(もちろんモンストでもバリバリに利用されているそうだ)などがクローズドベータの段階からサービスを利用している。

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事業は黒字化するも、成長は予想を達成せず

新卒でミクシィに入社した藤﨑氏だが、2009年頃からAndroidに触れるようになり、当初は電話帳アプリなどをテスト的に開発していたそうだ。それが最終的に2010年に同社が発表した「ソーシャルフォン」として世に発表され、その後藤崎氏はAndroidの開発担当となる。そしてAndroidの開発環境の不便さを痛感し、社内向けにDeployGateの前身となるツールを開発した。

当時ミクシィでは、新規事業創出プロジェクトの「イノベーションセンター」を発足するタイミング。藤崎氏のツールが第1号案件として採択され、DeployGateのプロジェクトが始まることになった。

藤﨑友樹氏

デプロイゲートCEOの藤崎友樹氏

サービスインから約2年。個人開発者からプリインストールアプリの検証をしたい端末メーカーまで、国内外2万アカウントが利用(海外も2014年時点で90カ国以上で利用されている。先方の許可を取っていないので公開できないとのことだが、本当に著名な米国のアプリなどでも利用されているとのことだった)。実はすでに黒字化し、「ごはんは食べられるくらいには」(藤崎氏)成長していたDeployGate。しかし1月のミクシィの発表のとおり、ビジネスとしての成長スピードでは当初の予定から下振れしていたのだそうだ。

周囲を見てみると、競合サービスの「TestFlight」はアップルに買収され、2014年3月にAndroidのサポートを終了。だがDeployGateはもともとAndroidのみに対応していたものの、iOSのサポートを開始したばかり。「ミクシィという会社を考えれば(サービスを終了するという)ロジックは理解できる話。だが、開発者向けツールは浸透に時間がかかるし、(周辺環境も変わり)スタートラインに立ったところだった」(藤崎氏)「開発ツールなので『使っている』という話があまり外に出ないが、名だたるスタートアップが使ってくれていた。だから僕らとしては可能性が見えていたし、プランが徐々に見えてきていた」(安田氏)という思いから、スピンアウトを決意したのだという。

事業譲渡のは「サラリーマンとして覚悟を決めないといけない金額」

ミクシィは買収こそすれど、手がけてきた事業を社外に譲渡するようなことは少なくともここ数年ではなかったと記憶している。イケてないサービスは閉じて、人材を再分配していたはずだ。だからDeployGateのスピンアウトには正直驚いていた。藤崎氏には「サクッと話がまとまったのか?」と尋ねたのだけれども、同氏は「全然サクッといかなかった」と即答した。

デプロイゲートCOOの安田一斗氏

デプロイゲートCOOの安田一斗氏

ミクシィからは、DeployGateのチームに対して、サービスをピボットする、サービスを終了して別の事業にチャレンジするなど、さまざまな提案があったそうだ。そんな中で2人はスピンアウトすることを選択したという。だけどもミクシィからすれば、「社外に自社のサービスを出すのであれば、すぐに潰れてしまっても困る」と思うわけだし、簡単には譲れないだろう。

だが社内でも彼らを応援する役員・スタッフも多く、「譲歩できるモノは譲歩して、自ら持ち出しもしたが、それだけやる気を認めてもらった」(藤崎氏)のだそうだ。事業譲渡の金額についても聞いたのだけれども、具体的な額は非公開。2人は「サラリーマンとして考えるならば、覚悟を決めないといけない額だった」と語った。

DeployGateで社会問題を解決したい

そんな“覚悟”を持ってスタートしたデプロイゲート。彼らのイグジット戦略はどういうモノなのだろうか。藤崎氏に「TestFlightや(Microsoftに買収された競合サービス)HockeyAppのように、買収がゴールか」と尋ねたのだけれども、同氏はそれを否定する。

「本当にいいモノが開発者に広がっていくのが重要。そして、そのモノがどこかのプラットフォームに属していないことも重要だと思っている。グーグルやアップル、いずれかのプラットフォームでないと動かないというのでは意味がない。そんな縛りがないところで、作る人と使う人を繋ぎたい。今は売り抜けるという目標はない。僕たちの顧客が抱えるのは社会問題であり、それをどんどん解決していきたい」(藤崎氏)

安田氏もこう続ける。

「スマートウォッチやスマートテレビが出てきているが、iOSとAndroidだけを考えても、デバイスはスマートフォンにとどまらない。そうするとさまざまなデバイスで(不具合など)不幸なことは起こってくる。そんなことが起こらないように、DeployGateのようなツールが当たり前に使われて好循環が生まれればいい」(安田氏)