救命活動から環境汚染のモニタリングまで、ドローンが支える中国経済

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【編集部注:本稿の執筆者、は元ファイナンシャルアナリストで軍人】

世界のドローン市場は、テクノロジーセクターにおける主要な柱として現れつつあり、ドローンファンといえる顧客を魅了し急速に拡大してきた。

ドローンの利用、生産の観点から非常に急速な盛り上がりが見られる1つの国は中国だ。中国はすでに他の航空宇宙機の中間部パーツの生産に多大な投資を行ってきた。ドローン製造の世界の工場、そして購買欲旺盛な消費者拠点であることを証明し始めている。

2015年に中国で1.3兆元(GDPの2%超を構成する)の投資がなされるテクノロジーイノベーションの有望な部門として、ドローンは将来中国経済の成長を支えることになる。

ドローンと経済成長

ドローンはテクノロジーイノベーションの1つの柱で、中国が経済成長を促進するために必要なこと(大量生産の使い捨て商品の対極として)であるので、中国の経済成長を支え続けるだろう。行政、民間企業の両方で、テクノロジーセクターにおけるイノベーションを狙いとする「国産イノベーション」施策やプログラムが開始されている。

米国の投資家はすでに、この中国の市場に経済成長の可能性を見ている。インテルは2015年8月に中国のメーカーYuneecに6000万ドルの投資を行っている(他にも8社の中国ドローン企業に対して6700万ドルの投資をしている)。CBInsightsは2015年にはドローン部門単独で5億ドル近い投資がなされたと報告している。

さらに、ZDNetは2015年の中国のドローンの輸出は合計して4億1300万ドル以上だと報告する。その額は継続して増加していくと予測される。中国はテクノロジーイノベーションを取り入れることで、国内のテクノロジー研究開発においてドローンは継続的に増加するセクターとなった。また、ドローンが将来の中国のGDPを増やす重要なセクターとなることは必然だ。

政府のサポート

組織全体でテクノロジーの変化を積極的に活用し、ドローンが中国社会に非常に円滑に適応できた主要な要因は中国政府にある。中国政府は新しいテクノロジーに対して即座に訴訟を起こしたり、禁止するかわりに規制することを選択してきた。2016年早く、中国の民間航空局は一連の規制を発表した。無人航空機(UAV=Unmanned aerial vehicle)を重量とサイズに基づいて7つの階層に区分し、人口密集地域での飛行についての規則を設定した。

ドローンのイノベーションはハイテクなアプローチを遅れた農業経済に導入することになる

中国の民間人や政府によるドローンの利用普及が経済成長に貢献する。中国政府はドローンを市町村から国家レベルのあらゆる業務に利用している。中国の個々の人々はドローンを航空写真、建設現場、不動産の撮影目的、中でも、中国企業は石油燃料やガスの利益を守ること、そして農業を促進するためにドローンを利用している。

行政サービス

市町村レベル

中国の市町村はドローンを活用することで、ローカルレベルでの行政サービスが大幅に改善している。すでにローカルレベルにおいて始まっている救急医療サービスと治安維持で最も改善が見られる。

2014年、マグニチュード6.1の地震が中国の南西の雲南省に位置する魯甸県を直撃した。この地震は12000軒以上の家屋の倒壊させ、600人以上の死亡者を出し、20万人以上の人々が避難せざるえなくなった。

山間地域にはがれきや植物が密生しているので、中国医学救援協会(CADERM)は生存者の急速な探索、損害の調査のために民間のドローンのチームを組織した。これらの無人航空機は救援者に損害の鳥瞰図を提供し、探索と救援の優先順位づけを可能にする。

ドローンの探索と緊急対応における利用で、CADERM率いる地方行政は「地震で形成された下流を洪水の脅威にさらす堰き止め湖の地図の作成や監視ができるようになりました」と中国人民解放軍予備役のエンジニアXu Xiaokun氏は言う。またそれは命を救う適切な時間、リソースの配分を可能にする結果となった。

ドローンは中国の警察庁によって市町村レベルで利用されている。航空警察局補佐官Lin Daolin氏は25省において、警察官が行くことが難しい地域のパトロールの支援のために300の警察用ドローンが利用されていると報告する。中国南東の例えば広東省、恵東県はデートレイプ・ドラッグのケタミンの有力な生産拠点である。中国全土のドラッグの流通の3分の1を占めている。

中国の地方警察はドラッグの中枢への手入れのための調査データ、有力な証拠をドローンを使って入手してきた。1000人以上の警察官を動員したその手入れで多くのドラッグ、ドラッグの生産者を摘発しただけでなく、ドラッグトレードから利益を得ている地方政府の役人も摘発した。これは中国人が地方を守るためにどのようにドローンを活用しているかを示す1つの例だ。

省レベル

省レベルにおいて中国のドローン利用は環境汚染のモニタリングサービス、国境パトロールのツールとして利用されてきた。市町村レベルまでに地元密着ではなく、中華人民共和国全土で実施されるものではないが、省レベルでのドローンの利用実施で通常はアクセス出来ない地域のモニタリング、調査、重要なデータを提供することで省政府を大いに助けてきた。

中国は省レベルで野生動物保護法の徹底と監視のためにドローンを利用している。北東に位置する吉林省の琿春で、琿春森林公安局は128億元(20億ドル)を絶滅危惧種のシベリアトラとアムールヒョウの保護のために投資している。4000平方キロメーター以上を監視では、野生動物保護の隊員だけでは地域をカバーしきれないでいる。

ドローンを活用することで、野生動物保護の隊員は、不法な密猟を防ぐのと同時に、地表で人と動物が遭遇した時にどちらにも被害が出ないよう安全を確保することができる。ドローンは中国のドローン経済の成長を支えるのと同様に、中国の野生動物の保護を変革する可能性を持っている。

米国の投資家はすでに、この中国の市場に経済成長の可能性を見ている。

国境パトロールは中国の省レベルのドローンコミュニティーの新たな焦点となってきた。チベット自治区、新彊ウイグル自治区、云南における中国の国境パトロール部隊はドローンを航空調査のために利用している。人員のみ、または国家レベルの利用のための人工衛星でカバーするのは難しく、国境パトロール部隊は国境の監視の難しさに直面していた。

物体の存在や国境の範囲を探知する電子光学デバイスと適合しているドローンは国境パトロール部隊が高い水準で機能することを可能にする。さらに、これらのドローンは24時間年中機能する。これは部隊にドラッグの取引、中国の国境を横断して行われる不法行為と戦う力を与える。

国家レベル

全国的な行政サービスは中国においてはは様々だ。地域ごとに異なる資金の制限がある。しかしながら、ドローンの利用はこれらの制限を変える。以前はアクセスできなかった地域の視察、監視が行政にとって可能になる(とりわけ環境汚染のモニタリングと軍用に使用される)。

環境汚染は中国において大きな問題になっている(世界で最も汚染された大気だった)。中国の環境保護省は環境汚染の監視をドローンの利用に委ねた。高解像度のカメラを装着した無人航空機は、汚染問題に大きく関与している疑わしい工場、作業現場を監視する力を与える。通常、中国は地上点検、衛星による遠隔測定を利用してきた。

しかしながら、これらのリソースは地域に局在している、もしくは国家レベルでの利用となっている。中国は省レベルでギャップを抱えていたのだ。ドローンはそのギャップを埋める手助けをする。企業に中国の環境保護法に準拠を徹底させることができる。これらの省レベルのプログラムに参加している省は中国の北東の 陝西省、同じく北東の山東省、中部の河南省などを含む。実際に、環境保護省は環境保護に違反しているために、254の工場のうち25%以上の工場がさらに追加点検されるべきだという予備調査結果を発表した。

中国はドローン製造の世界の工場であることを証明し始めている。

中国軍は無人航空機をかなり高い比率で軍用利用してきた。Chengdu Aircraft Industry GroupのWing Loong、China Aerospace Science and Technology CorpのCH-3、CH-4Bのような中国のドローンは防衛武器として開発してきた。それらのドローンは情報収集とともに軍事行動としてミサイルの発射や爆弾の投下も可能だ。

中国がこれだけ早いペースでテクノロジーを取り入れることに熱心なのは、テクノロジーを開発するのと同じだけ早く導入、運用することを欲していることの証拠だ。さらに、中国企業EHangが人をのせることのできるドローンを登場させ、EHangの184が戦場から兵士を輸送するための中国軍に使われるのではとの推測が広がった。

サービスセクター

中国はサービスセクターにおいて、とりわけ航空写真、建設現場、不動産、配達において重用してきた。

航空写真と映画製作

中国人によってドローンは写真、映画製作のために利用されている。ウェディングの写真家たちのWebサイト上ではドローンでの写真撮影のサービスを新郎新婦に売り込んでいる。地上で撮影したワイドな写真とは比べものにならない写真を撮影できる。ドローンは比較的少ない投資で高額な機材でしか撮れないような写真撮影を可能にする。この写真撮影は中国のウェディング業界のブームにうまく乗ることができた。

さらに、写真家は世界中で見られる壮大な写真展示を作るためにドローンを利用している。たとえば香港の写真家Andy Yueng氏は中国の巨大建築物の100枚の写真がInternational Photograph Awards One Shot Competitionにおいて優勝した。

建設現場、不動産

中国においてドローンは建設現場と不動産サービスのために利用されてきた。ドローンメーカーのDJIによって設立されたスタートアップのDroneBaseはドローンとパイロットを貸し出している。DJIが報告するところによると「不動産のプロモーション、建設現場、地図作成、地形のモデル化」が典型的なリクエストだそうだ。これはドローンの鳥瞰図がこれまで人がやっていたい仕事をコスト、信頼性の点で大きく優れているからだ。さらに、ドローンは通常の測量者よりも遠く、高い地域もカバーできる。

大規模な産業

中国の石油燃料とガス、農業の大規模な産業もまたドローンの利用からべネフィットを得ている。

石油燃料とガス

中国は石油燃料とガス資源を支配下におくためにドローンを利用している。中国は非常にエネルギー資源に渇望しているのだ。エネルギー資源のための調査は中国、アフリカ圏内の辺境にまで拡大している。中国企業はドローンを潜在的なパイプラインが存在する地域の調査のために利用している。とりわけローカルエリアなどのアクセスが簡単ではない中国農村部などだ。

さらには、中国政府は中国の石油燃料とガス供給の多くを占めるナイジェリアにおいて、リソースの管理と支配をドローンを使って強めている。ドローンは中国がリーチすることが難しい地域で存在を示し、エネルギー資源を確保することを可能にする。

農業

農業を対象とするドローンが中国企業によって開発、発表されている。ドローン首位企業のDJIは1時間に7~10エーカーの土地に2.6ガロンの農薬をまくことができる農薬散布用のドローンを発表した。XAircraft Technologyはドローンテクノロジーを中国の農業市場に導入しようと試みている70社以上の企業のうちの1社だ。

中国政府は自然農業の持続的な発展計画を通して農業のドローン市場におけるイノベーションを奨励している。中国はドローン市場を開拓するために、1億2000万ヘクタールを超える農場を活用する。また、中国はドローン開発を行うために何百万もの資金を投入している。農業は中国経済の背骨であったし、ドローンのイノベーションはハイテクなアプローチを遅れた農業経済に導入することになる。

まとめ

中国のドローンを日常生活にすんなり取り入れることができていることは、中国政府の新しい技術を導入する意欲とこの種のテクノロジーを取り入れることができる中国人の新たな富の両者の存在を指し示している。

中国のテクノロジーへの関心はまだそこまで育っていない。テクノロジーの成長とイノベーションの可能性は巨大だ。現在、ドローン市場はいくらかニッチなものの1つである。しかし、正しく使えば、今後に続く中国経済の土台になるだろう。

現在、中国はドローンの世界首位メーカー、デペロッパー、消費者だ。スマートフォン、ソーラー発電車の国産のイノベーションと同様にドローン関連のイノベーションが次にこないと誰が言えるだろう?

原文

(翻訳:Shinya Morimoto)