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Pokémon GoはARゲームというより新たなポケモンシリーズに過ぎない

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Pokémon Goは現実の人の流れを作り出した―ポケストップ、ポケモン・ジムも登場

Twitterの情報によれば、大方みんなPokémon Goで遊んでいるようだ。電気や水といったインフラも主要な社員がピカチュウを捕まえに持ち場を離れてすぐに止まってしまうだろう。

しかし、AR(拡張現実)革命が来るというアポカリプスならぬポケポカリプスの予言に物知り顔でうなずく前に、一歩下がってPokémon Goの成功の要因と、その隠れた危険性について分析してみるのが良さそうだ。

1. ポケモン

Pokémon Goは、これまでに一番売れたビデオゲームのひとつであるポケモンのフランチャイズの上に成り立っている。ポケモンシリーズの販売数は現在までに2億7900万本を超え、メインシリーズ(ポケモン不思議のダンジョンなどのスピンオフを除く)だけでも2億本を超えている。

これまでの販売数という観点からリーダー的存在にあるマリオ(ポケモンの15年前に誕生した)とは違い、ポケモンはメディア資産(映画やテレビ)やトレーディングカードゲームとしても大成功を収めた。さらに私は、1980年代から2000年代前半に生まれた人たちにとって、ポケモンの感情的な重要性に匹敵するようなものはビデオゲームの歴史上ないとさえ思う。

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他のゲームやメディアのブランドももちろん大きな可能性を持っているが、ポケモンはPokémon GoのようなARを利用したゲームの仕組みにピタリとハマるユニークな存在だ。そもそもポケモン自体が、世界中を旅してポケットに収まるデバイスを使いながら偶然ある場所でみつけたものを集めるという仕組みになっている。1999年にNINTENDO64用ソフトとして発売されたスピンアウト作品のポケモンスナップでさえ、(レールの上を)移動しながら野生のポケモンの姿を信頼できるカメラで収めるという内容になっているのだ。

Jenn Frank氏のPaste Magazineに掲載された記事には、彼女と彼女の夫がPokémon GoをほぼライブアクションRPGのようにプレイする様子が書かれており、ポケモンの仕組みとARの相性の良さが純粋に表現されている。そして、その仕組みはこれまで発売されたポケモンシリーズの要となっており、ゲームの表面上にも現れていた。つまり、ポケモンファンはすぐにゲームの基本的なコンセプトを理解でき、現実の世界でポケモントレーナーを演じることを長年夢見てきたのだ。私もその例外ではないかった。

2. Ingress

Niantic Labが開発した最初のゲームであるIngressは、ARを利用したSF系のMMOで、もともとNianticがGoogleの社内スタートアップだった時代に作られた。2012年にAndroid向けのクローズドベータとして配布されて以降、今日まで続いている。実は、Ingress自体がPokémon Goの下地となっており、Ingressのプレイヤーがマッピングした位置情報を基に、Pokémon Go内のジムやポケモンセンターの場所が決められているのだ。

Ingressにはとても熱心なコアファン層が存在するものの、大ヒット作とはまだなっておらず、Pokémon Goの関連数値を見ると、発表から4年経ったIngressの存在が既に小さく見えてしまうことだろう。Ingressの推定プレイヤー数はソースによってかなりの差があり、正式な形で解明するための材料もあまりなかったため、一番多い推定数の700万人超よりも一番少ない推定数である約35万人の方に近い可能性が高いと思われる。

ここでのポイントは、IngressがPokémon Goとよく似た仕組みを持った直接の比較対象となるARゲームであり、4年も前に先手を打っていたが、Ingressではオリジナルのキャラクターが使われているということだ。

Ingress allowed you to create missions, which is what resulted in many of the locations used in Pokémon Go.

Ingressでは自分でミッションを作成することができ、ここからPokémon Goでも使われている位置情報が生まれた。

他にも世界的に有名なキャラクターを使っていない類似ゲームは存在する。昔はロケーションベースゲームの成功例の筆頭であったShadow Citiesは、2013年10月にその幕を閉じた。ゾンビによる世界の終末を描いたロケーションベースMMOのPlease Stay Clamのサービスは現在も続いているものの、アクティブユーザーの数は少ないようだ(その代わりに開発者たちは、レトロなスペースシミュレーションゲームのHalcyon 6へ力を注ぐことになったようだ)。

ところで、Ingressは失敗作ではないということも理解してほしい。NianticがIngressのコアファン層と成し遂げたことは注目に値するし、ゲームの世界観を完全に再現したPokémon Goのローンチで発揮された彼らの能力からもそれが証明されている。しかし、どの側面からみてもIngressはポケモンではないというのも事実だ。実際、私の友人に簡単な調査をしたところ、Ingressというゲームを聞いたこともないという人が大半でも、ポケモンの認知度は100%であった。

3. 欠点はポケモンと違いどこにも逃げていかない

Pokémon Goを楽しむ人がたくさんいる一方で、ゲームを楽しむにあたって乗り越えなければならない潜在的なマイナス面もたくさん存在する。小さな例として、プレイヤーはゲームを進展させるために、実際にある場所から他の場所へと移動するというハードルを越える必要がある。熱狂的なポケモンファンにとっては問題とならないだろうが、中にはそのハードルさえ越えられない人もいるかもしれない。

私はある消費者ブランドの商品に不健康なほどハマっているので、ギャラドスを捕まえるチャンスのためなら3ブロックは歩くだろう。しかし同時に、ノスタルジックなモンスターが歩いた先で私の事を待っていないとしたら、わざわざ周り道をするようなことはないだろう。前述のロケーションベースMMOのひとつに運営として関わっている私の友人は以前、ユーザー行動について彼らが学んだ一番重要なことは、人は世界中を動き回ることなくある一か所でゲームをしたがっているということだと言っていた。

もうひとつの小さな欠点がバッテリー消費量だ。以前のPokémon Goに関する短い記事の中で、私のGalaxy S7のバッテリー残量が5分間で3%も減ったと伝えていた。こちらが、The Daily Dotの編集者Mike Wehner氏が公開した、Pokémon Goのインストールから数日間経った後のバッテリーの使用状況だ。

そして、ゲームに集中するあまり実際にケガをしてしまう可能性もある。過去にIngressが関連した実際の死亡事故も発生している。既にたくさんの人がソーシャルメディア上でPokémon Goプレイ中のケガについて報告しており、運転中に写真を投稿している人もたくさんいる(さらに運転中だということさえ投稿してしまうのだから狂っている)。確かに、中にはクリック数を稼ぐために大げさに言っている記事や投稿もあるが、その裏には本当にケガをする可能性が潜んでいる。ほとんどの人がゲームでケガまでしたくないだろう。もちろんそこに狙っているポケモンがいない限り。

Pokémon Goで遊ぶことが、ある特定の人たち地域にとってのリスクとなる理由は他にもある(またその逆もありえるが)。そして、これまでに挙げられている危険性のほとんどが可能性の域を出ない(そして皮肉にも誇張されている)一方、その全てをプレイヤーが想定しているわけでもない。さらにPokémon Goの人気は、その後に続こうとしている他のモバイルARゲームのための問題解決にはつながらない。

AR技術は、とてつもない可能性や本当の意味での変革を起こす力を秘めている。Pokémon Goとは全く違うが、MicrosoftのHoloLensがその好例で、今後数年の間にもっと磨きをかけてハードウェアの改良を重ねることでHoloLensがどんなものになるのかというのを考えただけでよろめきそうになる。しかし、Pokémon Goが実装しているような、スマートフォンだけを使ったAR技術が現在重大な分岐点に立っているというのは、ほぼ確実に言いすぎだ。

それではこれからポケモンを捕まえに行ってきます。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter