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15万RPMで回る小型モーターが人工衛星の姿勢を保つ

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ASUのFemtosatのような小さな衛星の設計において空きスペースはとても貴重である。

これからの宇宙で必要なのは小さいことだ:トースターサイズのCubesatsや1インチのFemtosats混雑する宇宙を飛ぶさまを想像して欲しい。新しく発明された小さくて強力なモーターはそのビジョンとしっかり手を取り合い、燃料を使うことなく自身の位置制御を行うことができる小さな宇宙船を作ることを可能にする。

さてまずは、少々エンジニアリングのレッスンを。科学の時間だ!

高速モーターを製作中のTüysüz(写真手前)

高速モーターを製作中のTüysüz(写真手前)

人工衛星や探査機のようなユニットのうち、特に小さくて長距離の宇宙飛行ミッションを遂行するものにとって、クリティカルな加速や操作以外の目的に燃料を利用することは実際的ではない。結局のところ、ヒドラジン(燃料)が不足したからといってNew Horizons(NASAが運用している太陽系外縁天体の探査を行う無人探査機)に再び給油することはできないのだ。そこで宇宙船の姿勢の微調整を行うためには、しばしばリアクションホイールが利用されている。

基本的に、それは衛星の内部に取り付けられて一定の速度で回転するフライホイールである − そしてその速度を調節することによって(例えばY軸の周りの反時計方向の速度を落とすことによって)、衛星からの反力が生じる。全ての作用には反作用(リアクション)があるということを覚えているだろうか?この場合反作用は、どれくらいホイールの速度が変化したかに比例して、衛星を重心の周りに回転させる。

とても速く回転するものの例に倣い、リアクションホイールは、ボールベアリングを使用している。しかし、これらのベアリングは、時間の経過により磨耗するし、ダメージを与えるかもしれないものを取り除いて真空を保ちながら慎重に密封されなければならない。ハッブル宇宙望遠鏡では2つのホイールが交換されたし、探査機ケプラーの場合は姿勢制御ホイールの故障によって機能が失われてしまった。それだけではない、たとえ予定通りのオペレーション下でも、それぞれのベアリングのわずかな歪みの集積が、搭載科学機器に干渉し得る振動を発生させるのだ。

これは解くべき課題である 。

チューリッヒ工科大学(ETH)のArda Tüysüzと大学からスピンオフしたCeleroton社の彼の仲間たちは、もっと良い手段があるべきだと考えた。そして、それはあったのだ!実際、その解決法はとてもシンプルで、どうして何年も前からそうしなかったのかと不思議に思うほどなのだ:それはベアリングの代わりに磁石を利用するやりかただ。

「それについては特に新しいものは何もありません。電気工学、磁気軸受、基本的な物理的原理の理解 − すでにすべてがあったのです」と Tüysüzはチューリッヒ工科大学のニュースリリースで述べている

ホイールを磁気で浮揚させることで、あらゆる種類の問題が回避され、新たな可能性の扉が開いた。例えばそのひとつとして、ベアリングをなくすことにより、真空にした領域や、潤滑その他のことが不要になることが挙げられる。振動はなく、交換する必要もない。そしてもちろん浮遊するローターは摩擦や機械的磨耗にはほとんど影響を受けないため、これまでのリアクションホイールに比べて速く回転させることができるのだ、それもはるかに高速に。

Tüysüzが説明した、システムの初期のプロトタイプ。

Tüysüzが説明した、システムの初期のプロトタイプ。

ベアリングを使うホイールが一般的には数1000RPMで回るのに比べて、この浮遊ホイールは驚くべきことに最大15万RPMもの速さで回ることが可能である。このことが意味することは、同じサイズのベアリング式モーターに比べて10から20倍もの増幅したパワーを発揮することができるということだ。しかしより重要なことは、同じレベルのパワーを既存のものの10分の1のサイズで得ることができることを意味していることだ。

小さな宇宙船にとってこれはとても素晴らしいことである:コンパクトで、効率的で、決して磨耗しない強力な回転モーター。ほんの数立方インチを節約できるだけで、あらゆるミッションのために巨大な恩恵がもたらされるのである – その空間は他の機器やバッテリーや燃料などに使用することもできるし、打ち上げ重量を減らすために空のままにしておくこともできる。

欧州宇宙機関が、たとえ現在モーターがプロトタイプ段階であったとしても、このシステムに興味を持ったとしても不思議ではない。

TüysüzとETHの同僚たち、そしてCelerotonは共同で、その開発の詳細をカプリ島での会議で発表された論文の中で公開している。

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(翻訳:Sako)