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コンピューターアートをきっかけにロボットが受け入れられるようになる?

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【編集部注】執筆者のMotti Nisaniは、emazeのCEO。

多くの人は、ロボットで溢れる未来がゼロサムゲームだと考えている。つまり、人間かロボットのどちらかが世界を動かすことになるという考え方だ。陰謀論に関するウェブサイトだけでなく、ニュースのヘッドラインを見てみても「30年以内にほとんどの仕事がロボットに奪われてしまう」や「将来たくさんのロボットがいる中、人間の仕事は少ししか残されていない」といった悲惨な予測で溢れている。中には、自分の仕事が「クリエイティブ」や「人間中心」の分野だから大丈夫だと考えている人もいるかもしれないが、このリストを見るとそんな人たちも心配になるかもしれない。

もはやアートの世界でさえも安全ではないのだ。コンピューターがアルゴリズムを使って芸術作品をつくりだす「コンピューターアート」の技術が現在盛り上がっている。今年新たなプラットフォームであるMagentaを発表したように、Googleが関わりだすとその分野への取り組みが本気なのだと気付かされるだろう。「Magentaは、音楽やアートをつくるためのマシン・インテリジェンスに関する最新技術を推進する研究プロジェクトです。機械学習の技術は、既に音声認識や翻訳などの分野で、コンテンツを理解するために広く利用されています。私たちは、Magentaを使って現在行っていることの反対側、つまり音楽やアートのつくり方を学習し、最終的には人を惹きつけるような芸術作品を自分自身で生み出すことができるようなアルゴリズムの開発を行いたいと考えています」とGoogleはMagentaについて語っている。

では人間のクリエイティビティの時代は終わったのか、というとそうでもない(少なくともまだそうではない)。Googleが6月にMagendaを発表した際、その初めての作品となる1分23秒の曲も同時に紹介されていた。それを聞いた人は、ひとつの曲としてはそこまで評価していなかったものの、コンピュータ自らが作曲を行ったという事実には感銘を受けていた。Magentaやその他のコンピューターアート関連プロジェクトでは、ニューラルネットワーク技術を利用して作品が作られており、ルーブル美術館に展示されるほどのレベルにはまだ達していないが、そのソースとなっているものを考慮すると、なかなかの可能性を秘めている。

ロボットは多くのことに長けているが、全て上手くこなせるわけではないということが分かってきた。

しかし、人間もまだまだ終わりではない。ロボット技術は、多くの人が信じる程の脅威にはならないという議論も存在するのだ。このような意見を持つ評論家によれば、ページビューを目的としたジャーナリストやブロガー、もしくは、最低賃金や政府の補助金増額といった、ロボットに仕事が奪われるようになると当然必要になってくるお金を目的とした福祉国家賛成派によって、ロボットの脅威に関する情報は誇張されているかもしれない

ロボット技術にそろそろブレイクスルーが起き、人間の仕事を奪う(または人間を檻に閉じ込めてしまう)ことになると感じている人がいる一方、この盛り上がりは、投資家に今ロボット業界がアツいと信じこませるための策略に過ぎないのかもしれない。ちょうど同じようなことが数年前にビッグデータに関して起きていた(そしてこれもそこまで上手くいかなかった)。

というのも、ロボットは多くのことに長けているが、全て上手くこなせるわけではないということが分かってきたのだ。特に、地図を作ったり、ものをすぐに認識するなど、応用的な動作を行うのに必要な、基本的なタスクの処理にはまだ難点が残る。

MITの教授である、AI専門家のDavit Autorによると、「ジャーナリストやプロのコメンテーターは、機械による人間労働力の代替の度合いを誇張した議論を展開し、生産性の向上や、賃金の上昇、高い技術をもった労働者の需要の高まりといった、機械の発達に伴う補完性を無視しています。柔軟性や判断、常識といったスキルが必要となるタスクで、機械が人間に取って代わる上での課題は、未だに大きなものとして残っています」

それよりも、人間とロボットの「パートナーシップ」が今後発展し、ロボットや、ビッグデータ、拡張現実(AR)、さらには真価を発揮しつつあり、今後も進化を続けるであろうその他の最新技術の力を人間が利用することになるとAutorは考えている。そして、そのパートナーシップの最先端が、驚くべきことにアートなのだ。様々な分野のアーティストたちが、テクノロジーを駆使して、国際的な賞や称賛に値するくらいユニークで素晴らしい新たな作品を生み出している。

そこまでの才能に恵まれていない人も、オンライン・オフラインに関わらず、そこかしこに溢れている最新のツールを上手く利用することで、芸術力の底上げができる。

例えば、アメリカで最も有名なアーティストの1人であるJeff Koonsは、キャンバスアートや彫刻、「雑貨」の制作にテクノロジーを用いていることで有名だ。2013年に発表された彼の作品のひとつである「Balloon Dog Orange」がオークションで5840万ドルで落札され、彼は存命する中で最も作品に高値がつくアーティストとなった。2014年には、ニューヨークのホイットニー美術館で、Koonsの作品の回顧展が初めて行われた。初めてというのも、Koonsの作品をきちんと展示するのに必要なテクノロジーを用意するのは、とてつもなく大変な作業なのだ。なぜそこまでテクノロジーに頼った作品をつくるのかという理由に関して、あるインタビュー中にKoonsは、「私が作品の作りはじめに持っているビジョンが、制作中も、完成したときにも変わらずにあり続けることができると安心できるからです」と語った。

Koonsのように、コンピューターやテクノロジーを使って、美しくて素晴らしい芸術作品を生み出している人間のアーティストはたくさん存在する。もちろん、全てのアーティストがKoonsのようなキャリアを築けるわけではないが、そこまでの才能に恵まれていない人も、オンライン・オフラインに関わらず、そこかしこに溢れている最新のツールを上手く利用することで、芸術力の底上げができる。これは「イカサマ」ではなく、彼らはこれまでとは違う新しいメディア上で作品をつくっているに過ぎない。作品はアーティストが手がけており、もしもオンラインツールを使うことで作品がより良くなるのであれば、それを利用するまでだ。

Googleでさえ、アートを人間とテクノロジーのパートナーシップの賜物だと捉えている。Magentaは、現在自分で作品をつくれるように「トレーニング」されているところだが、Googleによると、このプラットフォームの本当の目的は、「アーティスト、コーダー、そして機械学習の研究者から成るコミュニティをつくることにあります。Magentaのコアチームは、今後音楽やアートをつくるためのオープンソースのインフラ開発を行う予定です。まずは、音声と動画を対象として、MIDIのようなフォーマットに対応したツールを準備し、さらにはアーティストと機械学習モデルを結びつけることができるようなプラットフォームをつくっていきます」

「アーティストやミュージシャンが新しいツールを使ってどのような事をするのかは分かりませんが、今後それを紐解いていくのが楽しみです」とGoogleは語る。人間のアーティストがテクノロジーを使って考えだす作品は、恐らくコンピューターだけでつくり出した作品よりもずっと面白いものになるだろう。結局のところ、RickenbackerやGibsonといったエレキギターブランドも、当時の革新的な技術が搭載された製品を開発した際に、「ジミ・ヘンドリックスやセイント・ヴィンセントなどの登場を予期していなかったんです」とGoogleは言う。

このように、アートは社会全体に手本を示すことさえできるのだ。ロボットだけでもできるが、ロボットと人間が一緒にやればもっと上手くできる。こんなにアートを身近に感じられることがあっただろうか。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter