アジア
インドネシア

Funding Societiesが750万ドルを調達、東南アジアで個人出資ローンサービスを展開

次の記事

日本のFinTechはいよいよ応用期に——その全体像を読み解く

また新たに東南アジアのフィンテック系スタートアップが、注目の投資ラウンドを終えた!シンガポールを拠点とするFunding Societiesが、同社のマーケットプレイスを介したローンサービスのため、シリーズAラウンドで750万ドルを調達したのだ。

本ラウンドでは、Sequoia Capitalが設立した、東南アジアを拠点とするスタートアップが対象のファンドであるSequoia Indiaがリードインベスターとなり、エンジェル投資家もそれに加わった。

2015年6月にローンチされたFunding Societiesは、Lending Clubを例としたアメリカに既に存在する企業のように、誰でも利子狙いで貸出資金を出資できるプラットフォームを運営している。Funding Societiesは、自分たちのプラットフォームを「Peer to Business(個人から企業へ)」プラットフォームと呼ぶことで、競合他社との差別化を図っている。つまり、現状彼らは消費者向けではなく、中小企業向けにローンを提供しているのだ。しかしターゲットについては、取引のボリュームが増加してくれば変わってくる可能性もある。

Funding Societiesは、シンガポールと(Modalkuと同じ)インドネシアで営業を行っている。シンガポールは、東南アジアの国々の中でも経済発展ではトップの地位にあり、インドネシアも経済規模では同エリアのトップだ。なお、両国にはCapital MatchMoolahSenseといった競合が既に存在する。

同社は、これまでに96件で合計870万ドルのローンを実行している。返済率は94%と発表されており、Funding Societies CEOのKelvin Teoは、返済率こそボリュームではなく信頼度を測れる意味で、重要なデータだと語っている。

「Funding Societiesは、シンガポールにある他社と比べ、サイズでは劣っていますが実行したタームローンの数では1番です。これには、度を越した貸付を行うといつか不渡りの形で返ってくるという私たちの考え方が反映されています」と彼は説明する。

詳細を説明すると、Funding Societiesは主に運転資金の貸出を行っており、シンガポールの平均ローン額は9万シンガポールドル(6万7000ドル)で、インドネシアは2万5000シンガポールドル(1万8500ドル)だ。

借り主にはローン組成費用(シンガポールで3〜4%、インドネシアで5〜6%)が発生し、貸し主は月々1%の利用料を支払わなければならない。同社によれば、ローン申請の審査通過率は15〜25%とのこと。

拡大と規制対応

Teoは、TechCrunchの取材に対し、Funding Societiesがマレーシアへの参入準備を進めていると語った。マレーシアには既に数人の従業員がいて、現地での営業許可に関する当局のフィードバックを待っている状況だ。

マレーシアへの展開と全般的な規制対応のふたつが、今回調達した資金の主な使い道だ。さらに彼は、東南アジアではP2Pローン市場がまだ成長過程にあり、Funding Societiesは新たな規制導入の需要を考慮して資金力を増強したと説明した。

また、コンプライアンスの重要性を強調し、投資家から資金を調達するのにも「信じられない程の」数の法律事務所に相談しなければならなかったと話した。

「私たちのいる業界に対する規制がシンガポールで発表されましたが、これに対応するには別途資金が必要になってくるでしょう」とTeoは語る。

Funding Societiesは、インドネシアでも同様に、当局と協力しながら個人出資ローンに関する規制のフレームワーク導入に取り組んでいる。

競争の激化

Teoは市場の競争激化を見越している。そのせいもあって、彼と共同設立者であるReynold Wijayaは、去年アメリカのハーバード大学を卒業する前に、100日間でFunding Societiesを立ち上げた。

「今年の卒業まで待っていたら、市場に遅れをとることになっていたでしょう」とTeoは話す。

素早く動く以外にも、商機を掴む上でタイミングがとても重要だったと彼は主張する。というのも、規制対応にかかる費用のせいで、資金力の無い会社は事業を続けられない可能性があるとTeoは考えているのだ。

「このタイミングで資金調達を行っていない企業は、東南アジアにあるプラットフォームで規制にのっとった営業を続けられなくなる恐れがあります。私たちは、今後6ヶ月のうちに競争が激化し、その後業界再編が起きると予想しています」と彼は付け加えた。

規制対応と拡大(ここにはインドネシアの首都ジャカルタ外の都市への拡大も含まれる)の他にも、Funding Societiesは製品への投資を考えている。現在、同社はiOSのアプリを貸し主向けに、そしてAndroidアプリを借入希望の企業に対して提供している。この決断は、アジア社会においてApple製品は富裕層に人気があるという無視しがたい状況に基づいている。しかし、今後借り主と貸し主向けのサービスを整備し、「個々の投資家のニーズに合った投資オプションをつくりだすような」サービスを増やしていく予定だとTeoは話した。

まだまだやるべきことは多いようで、Funding Societiesは既に約70人規模の企業に成長したが、Teoは同社のスタートアップらしい成長と、金融商品を扱うことの責任をすりあわせようとしていると強調した。

「私たちと投資家の方々は、爆発的な成長を推し進めて不渡りを発生させる代わりに、ゆっくりと確実に積み上げていくという姿勢をとっています。利益を生み出すためには、時間をかけてスケールしなければいけません」とTeoは、Funding Societiesが「2、3年」のうちの損益分岐点到達を目指すと説明しながら語った。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter