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オープンハードウェアのQubieで選挙の待ち時間をモニタリング

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アメリカでの極めて重要な国政選挙を控え、有権者全員が投票すること、さらには彼らが投票できる環境を整えることが今までにないほど大事になっている。そこで、選挙関連テック企業のFree and Fairは、自動で待ち時間をモニタリングし、有権者と選挙スタッフに情報を提供するシンプルなオープンソースデバイスを使って、混雑が予想される投票場の運営をサポートしようとしている。

Free and Fairは投票場で利用できるオープンソースソフトを開発しており、同社のソフトには有権者のチェックイン機能や実際に投票・集計が出来る機能が備えられている。しかしQubieは同社初のオリジナルハードウェアで、Hackaday Prizeにむけて開発された。Free and Fair設立者のDaniel Zimmermanは、同社が時代遅れだと感じる投票プロセスの別の側面をQubieで解決しようとしていると説明した。

「ここ最近の選挙では、長い待ち時間に耐えかね、投票を諦めて家に帰ってしまう人に関する報告がなされていました」と彼はTechCrunchの取材に応えた。「選挙関連のテクノロジーはとても悲惨な状況にあります。私たちは、待ち時間のような選挙に関する逸話よりもデータの収集を行う方が有益だと考えていました」

トラッキングについては既にいくつかの試みがなされているが、往々にして場当たり的なものだった。大きな選挙では管理委員会とボランティアスタッフが忙しすぎて、毎時間何人かのために(カウンターや紙に書かれた番号を利用して)待ち時間の計算をするということの優先度が単純に低いのだ。

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Qubieのつくりはシンプルで、小さなWi-Fiアダプターを備えた、電池かUSB経由の電源で動くRaspberry Piで構成されている。QubieはWi-Fiシグナルを使って携帯電話を認識し、各携帯電話がQubieのモニタリング範囲内にどのくらい滞在しているかというのを記録することができるため、その場所で投票するのにどのくらいの時間がかかるかという平均値を割り出すことができる。

もちろん、携帯電話を使ったトラッキングというアイディアに眉をひそめる人もいるだろう。そのため、Free and Fairでは個人情報の収集や保存を行っていない。

「私たちがまず行うのは投票者の匿名化です。Wi-Fiシグナルを読み込んだ後に暗号化し、個人が特定できるような情報は記録しません」とZimmermanは語った。

具体的には、QubieはデバイスのMACアドレスを探知し、起動時に生成された一定時間有効なキーのハッシュ値をデバイスに割り当てる。このハッシュIDを、Wi-Fiチャンネルや電波の強さと共にソフトがトラックするのだ。

考えてみれば、選挙スタッフは投票場を訪れる有権者の名前を書きとめ、そもそも投票自体が公的な行為であることから、Qubieが必要とする情報というのは大それたものではない。それでもやはりFree and Fairは、Qubieが何をするデバイスで、詳しい情報はどこで手に入るのかなどが記載された紙をQubieと共に準備した。

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現時点でQubieは未だ開発途中の段階にあるため、データは全てローカル上に保存し、後で回収できるようになっている。しかし、もちろんこれではリアルタイムの情報が分からないため、Free and Fairは、情報の扱いに気を使いつつリアルタイムで待ち時間を知らせるための方法を現在模索している。Qubie上で情報を処理してその結果をスタッフに伝えることもできるし、クラウド上に一旦データを送ることでアプリやウェブサイトを介したライブ情報発信を行うこともできる。まだ大統領選までは時間があり、場所によって好みもあるため、この点については今後固まっていくだろう。

10台のQubieを使った実装テストは問題なく進み、実態に合ったデータを生成することができた。Free and Fairは現在、できれば11月のアメリカ大統領選に間に合うよう、Qubieをもっと普及させたいと考えている。

さらに同社は、Qubieが爆発装置と誤解されないよう、専用の筐体も製作する予定だ。

「Qubieが公共の場にポンと置いてあったら心配になる人もいると思います」とZimmermanは冗談抜きで話していた。多くの人が選挙日には神経質になるものだ。

Qubieはソフト・ハード共にオープンソースのため自分で作ることができるが、ゲリラ的に設置するのはオススメできない。それでもQubieのようなガジェットで、投票プロセスが少しでも簡単になったり、投票場で何が起きているかが分かりやすくなるのであれば、追求する価値がある。是非近くの選挙スタッフにこのようなデバイスが役に立つか聞いてみて欲しい。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter