記憶させたことを自然言語で取り出すことのできるチャットボットのWonder登場

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ダイアル錠の組み合わせが思い出せなくなったことはおありだろうか。スターバックスでガールフレンドが大好きな商品を注文しようとしてわからなくなることは大いにありがちな話だ。プリンターのインクを買いに出て、そもそもどのインクだったかがわからなくなるなんてことは普通の話だ。覚えていないことは検索すればいいと思うかもしれない。ただ、Googleっても見つけられない情報というのも多い。

個人的な情報は個人で管理するしかないのだ。そうした情報はNotepadを利用して書き留めておく人もいるだろう。しかし「どのようにメモしたか」を忘れてしまって検索できなかったりもするものだ。そんな人のためにと登場してきたのがボットプログラムでWonderというものだ。必要な情報を何でも記憶しておき、必要なときにテキストメッセージ経由で情報を教えてくれるというものだ。

発想は簡単なものだが、なかなか面白いボットになっている。Wonderのサイトにいくと、まずスマートフォンの番号を入力するように促される。あとはテキストメッセージを通じてボットとやり取りをすることになる。

データの入力(伝達)に特別な形式はなく、あとで必要となりそうな情報を送るだけで良い。データは後に活用できるように記憶される。データが必要となったときには、Wonderに「会社の保険業務を担当しているのは誰?」とか、「全社ミーティングの日程は?」などといった質問を送るだけで良い。予めデータを与えていた場合には、該当する情報が送り返されてくる。

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Wonderを考えだしたのはアリゾナ大学の学生であるJordan Singerおよび卒業生のShivkanth Bagavathyだ。Bagavathyの方はアリゾナ州スコッツデールのRecruiting Venturesで働いていた。この二人はこれまでにもいろいろプロジェクトを世に問うている。多くはProduct Huntに取り上げられ、WonderボットももちろんProduct Huntに登場している。

Shivkanthによると、「Siri’s best feature is its reminders」(Siriの最高の魅力はリマインダー機能)という記事をみてインスピレーションを得たのだとのこと。そして、バーチャルアシスタントがどのような機能があれば、さらに便利に利用できるようになるかを考え始めたそうだ。

「これまでのように、メモを取るだけの機能を充実させるのでは十分でないと考えました。インタフェース的に間違っていると思ったのです。メモも量が膨大になれば、検索することが難しくなってしまうからです」とShivkanthは説明する。「自然言語処理とAIの技術が進化する中、そこにボットを結びつけるやり方が注目されつつあります。この組み合わせこそ、つい忘れてしまいがちなことを思い出すために最高の仕組みだと考えるにいたったのです」とのこと。

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ボットの開発にはRuby on Railsを使った。テキストメッセージのやり取りにはTwilioを使い、自然言語処理および機械学習の機能を実装するためにはWit.aiを用いた。これに自分たちのもつ構文解析や類似文字列検索の技術を組み合わせたのだ。機械学習の機能を持たせたことにより、使えば使うほどに性能が向上してくることになると説明されている。。

Product Huntにもあったが、WonderのMessenger、Slack、Alexa(Amazon Echoなどのデバイスでの利用が考えられている)など、他プラットフォームへの移植が進行中であるそうだ。またAPIを使う方法も用意されているところであるらしい。この中ではMessengerボットが最初に実現される予定で、数週間のうちには利用可能になる予定だとのことだ。

Wonderはサイドプロジェクトとして始められたものだ。しかし現在ではShivkanthおよびJordanの2人ともにビジネス的に大きなポテンシャルがあるはずだと考えているようだ。Slackなどのプラットフォームに移植することで、ビジネス的な利用法が広がるはずだと期待もしている。「Slack上でWonderを実装すれば、従業員たちは必要な情報や必要なタスクの情報を簡単に入手することができるようになります」とShivkanthは述べる。さらにインターナルサポートや新人の実習、などデータや情報を活用するさまざまなシーンで応用可能だと考えているらしい。

TechCrunchでWonderを使ってみたところ、なるほどこれはなかなか良くできているように思う。いちど伝えた情報について質問をすると、直ちに情報が戻ってくる。また、データを記憶させるさいに使ったのとは異なる言い回しを用いても、きちんとそれを理解して必要な情報を戻してくれる。

たとえば2つ上の図にあるように、ロッカーの鍵番号を「My gym locker combination is 9976」と記憶させた。そして情報を取り出す際には「What’s my gym locker combo?」と尋ねてみたのだが、問題なく応えてくれた。

現在公開しているSMSボットは、アメリカとヨーロッパでのみ利用することができる。しかしMessenger版は全世界で利用できるようになる見込みだ。ちなみにSMS版は無料で使うことができる。

(訳注:日本からも利用できた。こちらでは「妻が生まれたのはxx年xx月xx日」と入力して「妻の誕生日は?」と訪ねてみても正しい解答が得られた。ただしやり取りは英語で行っている)。

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(翻訳:Maeda, H