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インドアロケーション

ついにインドア・ロケーションの時代がきた

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編集部注:本稿を執筆したArif Janmohamedは、Lightspeed Venture Partnersでパートナーを務めている。

 

正確な情報を必要なときに必要なところで入手する。個別化されたエンゲージメントやエクスペリエンス。簡単に利用できるステップバイステップのナビゲーション。これらは屋内位置情報を利用したサービスのほんの一例だ。

GPSやGoogle Mapのおかげで、屋外ではこれと似たようなサービスが10年前から存在する。しかし、インドア・ロケーション技術の進歩は非常に遅かった。しかし今、その状況が変わりつつあり、2017年にはこの技術が主流となりつつあるのだ。

インドア・ロケーションの時代がついに到来した。この記事では、その理由について考えてみることにしよう。

第一にインドア・ロケーション技術の進歩の引き金となったのは、スマートフォンの進化だ。先日AppleはiBeaconを、GoogleはEddystoneをそれぞれローンチしている。これにより、Bloetooth Low Energy(BLE)が事実上すべてのスマートデバイスのスタンダード技術となったのだ。これが意味するのは、これからはスマートフォンの位置情報を屋内でも正確に割り出せるということであり、デパートや病院、学校、企業、博物館などのドアをくぐった顧客それぞれにカスタマイズされたサービスを提供することが可能になる。

私にとって、これローンチは2013年にIntelがCentrinoプロセッサーにWi-Fiを組み込んだとき以来の衝撃だった。いったんノートパソコンがユビキタス化されると、それに乗じて様々な技術がまるで山火事のように誕生していった。そして2017年、私たちはBLEによって当時と似た転換点に差し掛かろうとしているのだ。

第二の引き金は、BLEを利用した新しいワイアレス・インフラストラクチャーの登場だ。これにより、簡単に、そして安価にBLEの大規模導入が可能となった。第一の引き金も、これが無ければ成し得なかった。

モバイルユーザーはどんな所でもカスタマイズされたサービスを提供してほしいと思っている。

今日までBLEの導入が遅れた理由は、BLEユーザーの位置を探知し、そのユーザーと交信するためにはアイスホッケーのパック程の大きさのデバイスを約6メートル間隔で配置しなければならなかったからだ。この量のデバイスを配置するには時間もコストもかかる。また、環境が頻繁に変化するような場所ではデバイスの管理も困難となる。新しいワイアレス・インフラストラクチャーでは、ビーコンの機能を可視化することでこの問題を解決している。この業界の「400キロ級ゴリラ企業」であるCiscoは、つい先月このアプローチを採用した新しいプロダクトを発表している

BLEを導入する上で、次に大きな障害と考えられていたのが位置情報の精度だ。BLEを利用してナビーゲーション、アセットトラッキング、プッシュ通知などのサービスを実現するためには、位置情報の精度を誤差1メートルの範囲にまで高めなければならない。しかし、機械学習の進歩や、Wi-Fiシステムと統合されたBLEなどによってこの問題も解決している。

最後の引き金はモチベーションだ。モバイルユーザーはどんな所でもカスタマイズされたサービスを提供してほしいと思っている。室内でも屋外と同等のサービスを期待しているのだ。また、企業もよりユーザーに寄り添った形のモバイル体験を提供したいと思っている。ホテルは、ユーザーが玄関をくぐると即座にチェックインできるような仕組みや、客室やレストランまでの行き方をナビーゲーションするような仕組みを望んでいる。病院は手術室やカフェテリアまでのナビゲーションシステムや、車いすやインフュージョンポンプなどの場所を教えるようなサービスを望んでいる。スーパーやデパートなどでは、特定の棚の売れ筋情報を買い物客に伝えたり、近くのスタッフの位置を知らせたりする仕組みを望んでいる。

さらに、現代のような「データの時代」では、このようなサービスから得られるデータを分析することもできる。スーパーの買い物客はどこの棚の商品を立ち止まって見ているのか?どれくらいの時間をそこで過ごしているのか?どの場所で、どのような行動をしているのか?このような情報を分析することで収益を伸ばせるだけでなく、顧客がもつ実際のニーズに寄り添ったサービスを提供することが可能になる。

投資家たちはこのポテンシャルを見逃さず、今年には数多くのロケーション分野のスタートアップが資金調達を完了している。ターゲット広告のBlis MediaはシリーズBで2500万ドルを調達。ユーザーの位置情報を広告業者に提供するPlaceIQはシリーズDで2500万ドルを調達。Euclid AnalyticsはシリーズCで2000万ドルを調達。機械学習を応用した高精度の位置情報と、ビジネスに不可欠なWi-Fiサービスを提供するMist Systemsは、先日実施したシリーズBで2800万ドルを調達している(ディスクロージャー:私の会社はMistに出資をしている)。位置情報を駆使したモバイルアプリを製作するPhunwareは、先日2200万ドルの追加調達を完了し、同社の総調達金額は9000万ドルとなった。

「ロケーション・エコシステム」を創り出しているこれらの企業がもつ可能性に興奮させられるばかりだ。彼らが自分たちのポテンシャルを発揮することができれば、ユーザーである私たちは、自分用にカスタマイズされたサービスをどこに行っても受け取ることができるようになるのだ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter