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Flurryの調査結果:スマホアプリのゴールドラッシュ期は過ぎた模様

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10年前、AppleはiPhoneを発表した。その後アプリストアが誕生し、アプリエコシステムが創生された。そしてついにこの業界は成熟し、クリティカルマスに到達したと、今朝Flurryが出したレポートは示唆する。アプリ利用は昨年比で11%増加しているなど、まだ成長も見られるが、成長速度は鈍化している。前までは、すべてのアプリカテゴリーで成長が見られたが、今では成長しているアプリカテゴリーがある一方で、減退しているアプリカテゴリーがある。

これは、ユーザーがアプリを利用する時間の上限までアプリが浸透したことを示す。つまり、新しいアプリに注意を向けてもらうには、別のアプリから注意を奪わなければならない。これは新しいアプリビジネスにとって課題となる。特に2016年最も利用されたアプリであるFacebook、Messenger、Google、Gmail、Instagram、Amazon、Apple Musicなどからパイを奪おうとするものには難題だ。

Flurryはこのデータ分析のために、同社のアナリティクスプラットフォームにあるアプリを分析した。Flurryは21億台の端末における、94万以上のアプリの32億セッションをトラックできる。その結果から、アプリエコシステムの現状について深い洞察を得た。

全体のアプリ利用(セッション)は昨年比11%の増加で、少ししか上昇していないことがFlurryの結果から分かった。2015年の年間レポートでは58%の上昇が見られた。しかし、アプリの利用時間は急上昇していて、昨年比69%の増加だった。

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いくつかのアプリは抜群に伸びている。

SNSとメッセージアプリは、予想通り高い結果だった。セッション数は2015年比44%の上昇で、アプリの利用時間は昨年比394%と驚きの伸び率を達成した。

これらのカテゴリーの上昇にはいくつかの理由が考えられる。スマートデバイスがどこでも利用できるようになったこと、通信速度の早いモバイルブロードバンドの普及、音声通話や動画通話といった新機能の登場、コミュニケーションとエンターテイメントの両方をアプリで楽しめること、ライブコンテンツの追加、そして「I Generation(I世代)」が成長したことだ。「I 世代」は、スマホが出た時にはまだ子供だったが、現在ティーネイジャーとなり、スマホを所有している世代を指す。

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1つFlurryは言及していないが、ユーザーがより個人間のやりとりやシェアを望むようになったこともこのカテゴリーの上昇の理由に挙げられるだろう。これはインターネット全体においてユーザープライバシーが確保されていないこと、少なくともウェブにはどんなにプライバシーがないか理解が進んだことによる反応だ。ここ数年、ユーザーは各自のSNSがどれだけ見られ、分析され、パーソナルデータが集められ、マーケターや広告主に売買されているかを知るようになった(もちろん、政府が市民のやりとりをスパイしていることへの不信感もある)。

メッセージアプリは、他のオープンなSNSよりプライバシーが確保され、安全だとも言えない。それは、ユーザー個人の暗号化とセキュリティー対策にかかっている。しかし、少なくともそのように感じ、メッセージの利用率が上昇したと言える。

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しかし、この分野での上昇は、他のアプリ利用の減少を招いている。

例えば、最大の減少を見せたのはパーソナライズアプリのカテゴリーで、46%の減少だった。Flurryは、ユーザーにとってこれらのアプリの重要性が低下していることを理由に挙げる。

ゲームも利用時間は4%減少した。小幅な減少で、このタイプのアプリが短命であることを示している。ただ、ゲームの収益面は問題ないようだ。ポケモンGOのような大々的なヒットのおかげで、アプリストアは数々の記録を打ち立てた (スーパーマリオランのローンチは、Flurryのゲームカテゴリーの数字に影響を与える時期には間に合わなかった)。

2016年で他に上昇しているアプリカテゴリーはビジネスとファイナンスだった。この分野でのアプリ利用時間は43%上昇した。ショッピングも32%、スポーツも25%上昇している。

特にショッピングは、Eコマース業界の成熟の恩恵を受けることができた。Eコマースでのモバイルでの支払い方法が大きな進歩を遂げたからだ。Apple Payなど、モバイルネイティブの決済方法が台頭した影響もあるだろう。

また、FlurryはAmazonの存在を無視できないと指摘する。Amazonはホリデーシーズンの取引の38%を占めていたからだ。

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この調査ではアプリの他に、ユーザーの端末の傾向も分析している。2016年Q4までにファブレットがマーケットシェアの41%を獲得した。これはメディア消費とソーシャルエンゲージメントのカテゴリーと相関関係にあるとFlurryは指摘する。

総括するとアプリ利用は鈍化は、アプリのゴールドラッシュ期は過ぎ、市場が成熟したことを示す。今後新しいアプリは、アプリをインストールするユーザーベースの獲得が難しくなる。これは、例えばスタートアップがアプリをグロースさせるのに、連絡先からスパムを送るような強行手段を取るような事態を招くかもしれない。あるいは、アプリ業界でのM&Aが進んだり、VCから調達した資金が底をついたアプリ会社は撤退の判断をしたりすることも増えるかもしれない。

Apple、Google、Microsoftといったアプリプラットフォームの持つ大手テクノロジー企業は、モバイルエコシステムが成熟するほど、次の開発者プラットフォームを探すようになる。ウエアラブル、インターネット接続TVやメディアプレイヤー、ボットで使用するアプリなどが挙げられる。最も未来がありそうな次のフロンティアは音声コンピューティングだろう。2017年に「アプリ」エコシステムで大躍進するのはAlexaのアシスタントやアドオンを持つAmazonかもしれない。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website