Two Bit Circus
電通ベンチャーズ

テクノロジーに「感動」を加える ― 電通ベンチャーズがアミューズメントツール開発の米Two Bit Circusに出資

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家庭用ロボットのJibo、コオロギから抽出したタンパク質を使用した健康食品のExoなど、新しい事業領域にチャレンジするスタートアップを中心に投資する電通ベンチャーズ。今年9月にVRスポーツのLiveLikeへ、12月にはVRエンターテイメントのSurviousへ出資するなど、同社はここ最近「エンターテイメント」領域への出資を進めているようにも感じる。

本日電通ベンチャーズが出資することを発表したTwo Bit Circusも、エンターテイメント分野のスタートアップだ。

電通傘下のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンドである電通ベンチャーズは2017年1月18日、アミューズメントツール開発の米Two Bit Circusに出資することを発表した。金額は非公開。今回の調達ラウンドには電通ベンチャーズのほか、JAZZ Ventures Partners、Foundry Group、Techstars Ventures、Intel Capital、Georgian Pineが参加している。

Two Bit Circusが表舞台に現れたのは、2013年5月にKickstarterでエンターテイメント・イベント「STEAM Carnival」の運営資金を募ったときだった。STEAM Carnivalはその後、10万ドルの目標数字を達成している。

Science、Technology、Engineering、Mathematicsの頭文字をとった「STEM」という言葉がある。彼らのイベント名にある「STEAM」は、それにArtの頭文字を加えた言葉だ。その後STEAM Carnivalは2014年10月にロサンゼルスで開催され、1万3000人を動員している。

心を揺さぶるプロダクト

Two Bit Circusが得意としているのは、最新技術にアートやエンターテイメントの要素を加えたプロダクトの開発だ。これまで同社は、イベントなどで展示されるプロダクトの受託開発を主に手がけていた。下の動画は、Verizonと共同で開発したアメリカンフットボールの世界を体感できるVRギアだ。

電通ベンチャーズのPedro Ao氏は、心を揺さぶるプロダクトの開発力こそ同社がTwo Bit Circusへの投資に踏み切った理由だと語る。「技術が普及するためには、それがただ生まれるだけでは不十分。そのためには消費者の感情に訴えかけることが必要になる。Two Bit Circusはそこが上手い。彼らには、新しい技術を消費者ウケするものに変える力がある」。

Two Bit Circusの事業領域は電通ベンチャーズがフォーカスする投資分野でもある。電通ベンチャーズは2016年9月、VRでスポーツ観戦ができるLiveLikeに出資。その3ヶ月後の2016年12月にはVRゲーム開発のSurviosに出資している。

Two Bit Circusは必ずしもVRだけにフォーカスした企業ではないが、VRをはじめ新技術を利用したエンターテイメントという共通点はある。「電通ベンチャーズがフォーカスする領域の1つがニューメディアだ。特に、VRは電通がもつ力が活かしやすい領域だと思っている」とPedro氏は話す。

Two Bit Circusのビジネスは新しいフェーズに突入

今回の資金調達を経て、Two Bit Circusのビジネスは新しいフェーズに突入する。

これまで、彼らのメインビジネスは企業からの受託開発だった。しかし、STEAM Carnivalなどでプロダクト開発の経験を積んだ彼らは、今後自社のプロダクト開発に力を入れていくという。Arduinoを搭載した紙でつくられたロボット「Oomiyu」のほか、「大人も子供も楽しめるテクノロジー・アトラクション」を楽しめる自社のテーマパークを建設する予定だという。そのテーマパークは新しいプロダクトをテストする場にもなっていくようだ。

電通ベンチャーズがTwo Bit Circusへの出資に加わったことで、将来的にアジア地域へのビジネス拡大も可能性がありそうだ。実際、電通ベンチャーズやKDDIがJiboに資本参加したあと、Jiboは東アジア地域への拡大を本格化している。それについてPedro氏は、「当面はアメリカ市場にフォーカスしていく予定だが、電通のリソースを利用することで将来的にはアジア地域への拡大もありうるだろう」と話す。Two Bit Circus側も、以前からアジア地域には興味を示していたようだ。

どれだけ業界から注目される新技術でも、ビジネスとして成り立つには、その技術を消費者の心に届くプロダクトへと落としこむことが不可欠だ。業界で注目されるVRにしても、今後どれだけ消費者を振り向かせるコンテンツを生み出せるかどうかが普及への鍵なのかもしれない。電通ベンチャーズがTwo Bit Circusに期待するのはその役割だ。