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不動産投資の面倒な手続きを簡潔にする「Renosy(投資版)——AIと人力で最適な物件を紹介

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2017年に入って一層盛り上がりを見せているのが、ロボアドバイザーやソーシャルレンディングといった資産運用系のサービスだ。ITを活用して資産運用にかかる手間やリスクを削減しハードルを下げることで、投資経験者のみならず、従来は投資に積極的ではなかった若い世代からも関心を集めている。

それに比べればハードルは高いかもしれないが、不動産投資も人気の資産運用手段の1つ。特に民泊が本格的に普及し始め、不動産投資に興味を持ち始めた人も多いのではないだろうか。ただ不動産投資は、初期投資に必要な金額もさることながら、何より物件を購入するまでに手間がかかる。特にITにすっかり馴染んでいる若い世代にとって、対面での打ち合わせや書類のやりとりを重ねることは億劫だろう。

そんな不動産投資にかかる負担を削減するアプリが「Renosy(投資版)」だ。同サービスは3月27日、不動産Tech(Real Estate Tech)の領域でビジネスを展開するGA technologiesからリリースされた。同社はすでに2016年の8月から中古不動産市場において、AIを活用したリノベーションアプリ「Renosy(リノベ版)」を提供しており、今回リリースされたのは不動産投資用のものだ。

Renosyの特徴は、これまで対面での打ち合わせや書類での煩雑な手続きが必要とされていた不動産の購入プロセスを、アプリを用いてシンプルにするというもの。具体的には投資相談から物件提案、申し込みまでの工程を、チャットを用いたオンライン上のコミュニケーションで完結するようにしている。

GA technologies代表取締役社長の樋口龍氏によると「これまでこの業界ではほとんどIT化が進んでおらず、書類やFAXでのやりとりが一般的でせっかく不動産投資に興味をもったユーザーが離れてしまうことがよくあった」という。まずはプロセスをオンライン化することで、ある程度不動産投資に関する知識や情報は持ち合わせているものの、申し込みまでのプロセスを面倒に感じていたユーザーの悩みを解決していく。

AIと人の力を合わせ、アプリ上で効率よく最適な物件を紹介

現在は宅地建物取引業法により、宅地建物取引士が購入者に対し重要事項説明書を交付し、対面で説明を行わなければならないため、最終的な契約は実際に店舗へ訪れ書面で行う必要はあるが、そこに至るまでのプロセスはオンライン上のみで可能だ。加えて、膨大な数の物件情報から効率良く購入希望者にあったものを紹介するため、AIを使った物件のスクリーニングを行っている。

と、ここまで書くとTechCrunch Japanの読者ならば特に真新しいサービスではないと感じるかもしれない。確かにたとえば「ietty」は賃貸物件の紹介でチャットボットを活用しているし、他の分野でもそのような事例はそこまで珍しくないからだ。

この点に関しては、樋口氏から面白い話を聞くことができた。RenosyにおいてAIが物件をレコメンドするのは、購入希望者ではなく物件を紹介するコンシェルジュだというのだ。

「以前は購入希望者に対してAIを用いて自動で物件の紹介をしていたが、精度がそこまで高くなく購入に繋がりづらかった。特に不動産という高額の商材は、なおさらAIのレコメンドだけでは完結しない。だから私たちは『購入の意思決定のサポート』という考え方のもとで、まずAIである程度の数に物件をスクリーニングした後、最後は人力でプロのコンシェルジュが購入希望者にあった物件を丁寧に提案していく形に変えた」(樋口氏)

GA technologies代表取締役社長の樋口龍氏

AIだけでは完結しないとはいえ、最初から全て人力でやるとなるとそれはそれで膨大な時間を要すこととなり、購入希望者とコンシェルジュ双方の負担が大きくなる。そこで最初にAIの力である程度の数まで絞り込み、最後の一押しを人力で行うというのがRenosyの大きな特徴だ。

今後は5月〜6月を目安に、収支やリスクをシミュレーションできる機能や、周辺不動産のデータを基に家賃相場やリスクなどを提供し、不動産投資に興味はあるもののそこまで知識や経験がないユーザーでも使いやすいアプリを目指していくという。

ちなみに樋口氏は以前、J2リーグのクラブチームに育成選手として所属していた元サッカー選手という異色の経歴の持ち主。2007年に孫正義氏の著書を読み、ビジネスの世界に魅力を感じ、同年スティーブジョブズがiPhoneを発表したこともありIT事業での起業を決意。IT化が進んでおらずチャンスがあるとにらんだ不動産市場で、2013年にGA technologiesを創業している。なお同社は2016年8月、インベスターズクラウドおよびみずほキャピタルを引受先とした総額1億3500万円の第三者割当増資を完了している。